Q57 代襲相続と数次相続の違い

 最終更新日:2022/02/25 閲覧数:3,260 views

 

1. 代襲相続と数次相続

代襲相続」とは、被相続人が亡くなった時点で、本来相続人になるはずだった人が既に亡くなっている場合に、その本来相続人になるはずだった人の子や孫などが、本来の相続人に代わって相続人になる制度です。
 
一方、「数次相続」とは、被相続人が亡くなった時点では相続人は生きていたが、「当初相続発生、遺産分割協議確定」に、相続人が亡くなってしまった場合、当該相続人の「法定相続人」が権利を受け継ぐことをいいます。
 

 

2. 両制度の違い

両制度の違いは、「相続人の死亡時期」が、被相続人より前か?後か?という点になります。
 
「代襲相続」の場合は、本来の相続人が、被相続人よりも先に死亡しているため、その代わりに本来の相続人の子が法定相続人になるケースです。
 
一方、「数次相続」の場合は、被相続人が亡くなった後に、相続人が亡くなるケースですので、被相続人死亡時には「相続人」は生存しています。
 
この結果、以下の違いが生じます。
 

 

(1) 相続財産の取得者の違い

それぞれの場合、「相続財産を直接取得する人」が異なってきます。
代襲相続の場合、相続財産を直接取得する方は「代襲相続人」になります。
一方、数次相続の場合は、相続財産を直接取得する方は、「死亡した相続人」になります。
数次相続は、あくまで死亡した相続人に代わって、「相続人の法定相続人」が遺産分割協議を行っているにすぎません。


 

(2) 相続人の配偶者の取扱い

代襲相続の場合、既に死亡している本来の相続人の「配偶者」に代襲相続権はありません。
この結果、代襲相続の場合、被相続人の遺産分割協議を行う者には、「本来の相続人の配偶者」は含まれません。
一方、数次相続の場合は、あくまで、死亡した相続人が保有していた「第一次相続の相続人としての地位」を相続するのが誰か?というお話です。
つまり、配偶者は、相続人の「法定相続人」ですので、元々亡くなった相続人が保有していた「第一次相続の相続人としての地位」は、法定相続人としてそのまま引き継ぐことになります。
この結果、数次相続の場合、第一次相続の遺産分割協議を行う者には、「相続人の配偶者」が含まれることになります。

 

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57-2

 


 

3. まとめ

まとめると以下の通りです。

 

代襲相続 数次相続
ケース 被相続人より前に、相続人が死亡していたケース 被相続人死亡後に、相続人が死亡したケース
相続財産の直接取得者 代襲相続人が相続財産の取得者
(亡くなった相続人ではない)
亡くなった相続人が相続財産の取得者
(数次相続人ではない)
相続人の配偶者の取扱い 被相続人の「遺産分割協議」を行う者には、本来相続人だった方の配偶者は含まれない。
(配偶者は代襲相続人にはなれない)
第一次相続の被相続人の「遺産分割協議」を行う者には、相続人の配偶者が含まれる。
(配偶者は相続権を引き継ぐ)

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