相続人が未成年者の場合や、障害をお持ちの場合、相続税が安くなります。
未成年者控除・障害者控除という制度です。
1. 未成年者控除って?
制度概要 | 20歳になるまでの年数分(※)、相続税が安くなる制度 |
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適用対象者 | 20歳未満の法定相続人(日本に住所がある方) |
控除額 | (20歳-相続開始時の年齢)×10万円 |
(※)1年未満の端数は、1年となります。
相続人が未成年者であるケースは、限られた場面が多いですが、「孫を養子に入れた」場合などは、未成年者控除が利用できることが多いですね。
2. 障害者控除って?
制度概要 | 85歳になるまでの年数分(※)、相続税が安くなる制度 |
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適用対象者 | 85歳未満の法定相続人で障害を持つ方(日本に住所がある方) |
控除額 |
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(※)1年未満の端数は、1年となります。
「障害者控除」が適用できる「障害の種類」は、多岐にわたっています。
詳しくは国税庁HPをご確認ください。
一般的には、「身体障害者手帳」などによって判断されます。
3. 控除額を引き切れない場合は?
「未成年者控除」や「障害者控除」が適用できるにもかかわらず、相続財産及び相続税額が少なく、本人から引き切れずに「税額控除が余ってしまうケース」があります。
こういった場合は、余った部分を「扶養義務者の相続税」から差し引くことが可能です。
(扶養義務者って??)
配偶者又は民法で規定する親族(直系血族、兄弟姉妹及び三親等以内親族のうち一定の者)を指します。
- 実際に扶養しているかどうかは関係ありません。
- 扶養義務者が2人以上いる場合は、それぞれの協議により金額配分します。
4. 留意事項
未成年者控除、障害者控除どちらも、以下の点に留意する必要があります。
(1) 遺産を取得することが必要
「相続又は遺贈により、財産を取得したこと」が要件となります。未成年者や障害者が、相続財産を全く取得しなかった場合には、本人だけでなく、扶養義務者からも控除することができませんので、注意しましょう。
なお、金額基準はありませんので、1円でも遺産を取得していれば適用可能です。
(2) 過去の相続で「控除適用」している場合は、金額調整される
過去の相続で未成年者控除・障害者控除を適用している場合は、 今回の控除額が制限される場合があります。
(3) 相続放棄との関係
未成年者や障害者である相続人が「相続放棄」を行った場合でも、相続税計算上は、「相続放棄がなかったもの」として計算しますので、未成年者控除・障害者控除を行うことが可能です。
5. 参照URL
(No.4164 未成年者の税額控除)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4164.htm
(No.4167 障害者の税額控除)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4167.htm