Q84 土地と建物の共有割合が異なる場合の評価

公開日:2019/02/28 最終更新日:2020/06/16

DR158
 

 

共有名義の不動産を相続した場合、相続税の関係は「複雑」になります。
今回は、土地と建物、それぞれの共有割合が異なる場合の、土地の評価及び小規模宅地等の特例の関係をまとめます。

 

1. 土地と建物の共有割合が「同じ」場合

最初に、土地と建物の共有割合が「同じ」場合を例題で解説します。
 

  • 父が亡くなり、すべて母が相続することになった(父母は生計一親族)。
  • 生前、土地・建物とも父と母の共有名義(50%ずつ)で登記されている。
  • 土地建物は、「自宅」として利用、小規模宅地等の特例要件は満たす。
  • 土地の全㎡数 100㎡とする。
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    (イメージ図)
    190303Q84_1
     

  • 父所有土地共有持ち分は、「自宅」として利用していますので、「自用地評価」となります。
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  • 「小規模宅地等の特例」との関係は、父の土地共有割合が全体の50%ですので、
    父共有持ち分 50㎡( 100㎡ × 1/2 )だけが小規模宅地等の特例の対象となります。
    (母土地共有持ち分 50%は、もともと父所有ではないので、もちろん対象外です)
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    生前区分 対象 評価区分 小規模宅地等との関係 利用区分
    父所有土地 50㎡ 自用地 特定居住用宅地等 本人利用
    母所有土地 50㎡

     

     

    2. 土地と建物の共有割合が「異なる」場合

    続いて、土地と建物の共有割合が「異なる」場合は、どうなるでしょうか?
    被相続人の「土地建物」の共有割合が、それぞれどういう状況か?によって、パターンが2つに分かれます。

     

    (1) 被相続人共有土地㎡数 > 共有建物㎡数 の場合

     

  • 父が亡くなり、すべて母が相続することになった(父母は生計一親族)。
  • 生前、土地は、父70%、母30%の共有名義で登記されている。
  • 生前、建物は、父50%、母50%の共有名義で登記されている。
  • 土地建物は「自宅」として利用、小規模宅地等の特例要件は満たす。
  • 土地の全㎡数 100㎡とする。
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    (イメージ図)
    190303Q84_2
     
    まず、父と母は、それぞれ自分の土地の上に、自分の建物を建築しているものと考えます。
    上記では、父所有建物は、すべて自分所有の土地上に建築されています。
    一方、母所有建物のうち、30%は自分所有の土地上、残りの20%は父所有の土地上に建築されていると考えます。
    以下、上記「イメージ図」に示した「①~③の土地」ごとにまとめます。
     
    ① 「父所有建物」下の土地(50㎡)
    父所有建物下の土地は、すべて父所有の土地となります。
    「自宅」利用していますので、「自用地評価」、「小規模宅地等の特例」の対象となります。
     
    ② 「母所有建物」下の土地の内、父持分(20㎡)
    母所有建物下の土地のうち、20㎡は父所有の土地です。(母は所有権を有していない)
    当該部分は、母が父から土地を無償で借りて(=使用貸借)、自分の建物を建築していると考えます。
    使用貸借の場合、「借地権はゼロ」で評価しますので、この20㎡の部分については「自用地」評価となります。
    ・この「自用地部分」は「被相続人と生計一である母の居住用」ですので「特定居住用宅地等の特例」の対象となります。

     
    ③ 「母所有建物」下の土地のうち、母持分(30㎡)
    この部分は、母が自分の土地上に自分の建物を建築していると考えます。
    ただし、当該部分は母所有ですので、そもそも今回の相続の対象になりません。
     
    ④ 結論・まとめ
    結論、被相続人共有土地㎡数>共有建物㎡数の場合は、
    被相続人共有土地(70㎡)すべてが「居住用小規模宅地等の特例」の対象となります。(同一生計親族の場合)

     

    生前区分 対象 評価区分 小規模宅地等との関係 利用区分
    父所有建物下の土地 50㎡ 自用地 特定居住用宅地等 本人利用
    母所有建物下の土地 父土地部分 20㎡ 自用地 特定居住用宅地等 同一生計親族利用
    母土地部分 30㎡ 相続対象外

     
    なお、土地を使用貸借している場合、当該土地は「自用地評価」を行いますが、
    父と母の「生計が別」の場合は、たとえ「自用地評価」でも小規模宅地等の特例の対象となりません。

     

    (2) 被相続人共有土地㎡数 < 共有建物㎡数 の場合

     

  • 父が亡くなり、すべて母が相続することになった(父母は生計一親族)。
  • 生前、土地は、父30%、母70%の共有名義で登記されている。
  • 生前、建物は、父50%、母50%の共有名義で登記されている。
  • 土地建物は「自宅」として利用、小規模宅地等の特例要件は満たす。
  • 土地の全㎡数 100㎡とする。
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    (イメージ図)
    190303Q84_3
     
    上記(1)と同様に、父と母は、それぞれ自分の土地の上に、自分の建物を建築しているものと考えます。
    父所有建物の内、30%は父自身所有の土地上、残りの20%は母所有の土地上に建築されていることになります。
    一方、母所有の建物は、すべて母所有の土地上に建築されていると考えます。
    以下、上記「イメージ図」に示した「①~③の土地」ごとにまとめます。
     
    ① 「父所有建物」下の土地の内、父持分(30㎡)
    父所有建物下の土地の内、30㎡は父所有の土地となります。
    「自宅」利用していますので、「自用地評価」、「小規模宅地等の特例」の対象となります。
     
    ② 「父所有建物」下の土地の内、母持分(20㎡)
    父所有建物下の土地の内、20㎡は母所有の土地です。(父は所有権を有していない)
    当該部分は、父は母から土地を無償で借りる(使用貸借)のが一般的です。
    ただし、当該部分は母所有ですので、そもそも今回の相続の対象になりません。
     
    ③ 「母所有建物」下の土地(50㎡)
    この部分は、母が自分の土地上に自分の建物を建築していると考えます。
    ただし、当該部分は母所有ですので、そもそも今回の相続の対象になりません。
     
    ④ 結論・まとめ
    結論、被相続人共有土地㎡数<共有建物㎡数の場合も、
    被相続人共有土地(30㎡)すべてが「居住用小規模宅地等の特例」の対象となります。(同一生計親族の場合)

     

    生前区分 対象 評価区分 小規模宅地等との関係 利用区分
    父建物下の土地 父土地部分 30㎡ 自用地 特定居住用宅地等 本人利用
    母土地部分 20㎡ 相続対象外
    母建物下の土地 50㎡ 相続対象外