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Q90 換価分割の利用場面と譲渡所得税

DR166
 

 
「換価分割」とは、相続不動産を売却して金銭に換えた後、その売却代金を相続人間で分割する遺産分割方法です。
 
相続財産に不動産が多く含まれる場合は、「換価分割」を活用することで「金銭による弾力的な遺産分割」が可能となり、相続人間に不公平が起こりにくい方法と考えられています。


 

1. 換価分割の利用場面

換価分割を利用する場面は、以下のようなケースです。
 

ケース 具体例
現物分割ではうまくいかない場合
  • 遺産の多くが「不動産」など換金性の低い財産の場合
  • 相続人全員が取得を希望しない相続財産が含まれている場合
代償分割ではうまくいかない場合
  • 相続人に資金がなく、代償分割の代償金の支払いが困難な場合
不動産を利用する予定がない場合
  • 不動産に居住する予定の相続人がいない場合
  • 不動産の維持・管理が負担になる場合


 

2. 換価分割のメリットデメリット

 

メリット デメリット
  • 金銭に換えることで、不動産評価が明確になり、相続人間の不公平が生じにくい
  • 金銭での「柔軟な遺産分割調整」が可能
  • 納税資金等の確保が可能
  • 利用予定のない不動産を処分することで、資産の有効活用ができる
  • 金銭に換わるため、相続前の用途(不動産)では活用できない
  • 売却代金には「譲渡所得税」がかかる

 
 

 

3. 譲渡所得税との関係

(1) 譲渡所得税がかかる

「換価分割」による不動産の売却には、譲渡所得税がかかります。
各相続人は、相続発生時点(被相続人の死亡時点)で、相続財産を取得します。
つまり、換価分割による不動産の売却は、「相続開始時点で既に取得済の財産」を譲渡する行為であることから、「譲渡所得税」の対象となります。


 

(2) 譲渡所得税の計算

換価分割で売却した「譲渡所得税」の計算は、換価時に「代金の分割割合が確定しているかどうか?」で各人の税額が変わってきます。
 

換価時に換価代金の取得割合が確定している場合 あらかじめ確定済の「取得割合で分割」したものとして譲渡所得税を計算する。
換価時に取得割合が確定しておらず、後日分割する場合 原則として「法定相続分で分割」したものとして、譲渡所得税を計算する。
ただし、確定申告期限までに、換価代金が分割され、相続人全員がその代金の取得割合に応じて確定申告した場合は、その申告も認められる。

 
(ご参考~単独登記者に譲渡所得税が全額課税された判例)
過去の判例で、換価分割を行うために、「便宜上単独名義で売却した人に全額譲渡所得税が課税」された、
という結論の事例があります。以下抜粋です。
 
10908 広島地方裁判所 不当利得返還請求事件 平成20年2月29日棄却・確定 抜粋

・・・表面的には原告があえて単独相続するという形式を採っていること、・・・
相続人間の潜在的な合意についてあずかり知らない税務署としては、原告が本件不動産を単独取得したとの前提で申告を指導したとしても、やむを得ないところである。
原告としては、あえて単独相続の形式を採るからには、・・不利益も勘案し・・他の相続人との間で調整して対処しておくべきであった。

 
ただし、この判例は、純然たる相続分に応じた分配がされていなかったケースですので、例外的なケースだと思われます。
とはいえ、換価分割を行う場合は「遺産分割割合」を明確にして、きっちり各人が所得税確定申告を行う必要がある、とは言えますね。


 

4. 相続税が課税される対象

相続税は、相続開始時点における相続財産の評価額で計算されますので、相続後に換価分割した場合でも、換価後の現金に相続税が課税されるわけではありません。
相続税の課税対象は、あくまで「相続時の不動産評価額」となります。


 

5. 単独名義の換価分割と贈与税の関係

換価分割に際し、便宜上、不動産名義を「単独名義」で行う場合があります。
この場合は、「贈与税との関係の論点」が生じます。この点に関しては、次回解説します。


 

6. 参照URL

(換価分割と譲渡所得税)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/joto/09/01.htm
 
(10908 広島地方裁判所 不当利得返還請求事件 平成20年2月29日棄却・確定)
https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/soshoshiryo/kazei/2008/index.htm