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相続税上の土地の評価は、ほとんどの場合「路線価」をもとに行います。
では・・「角地」の場合は、具体的にどのように評価するのでしょうか?
角地は、2つの道路と接しています。
つまり路線価も2つ・・どっちの路線価を使うのか?迷いそうですね。
1. 正面と側方に路線がある場合の宅地の評価
2路線と接している「角地」は、一般的に、他の土地と比べて利便性が高いため、土地の評価額も高くなります。
角地の場合、相続税上は、「側方路線影響加算率」という率を用いて、土地の評価を高めます。
具体的には、以下の計算で角地の評価を行います。
- ① 正面路線価×奥行価格補正率
- ② 側方路線価×奥行価格補正率×側方路線影響加算率(円未満切捨)
- ③ 角地等の評価=(①+②)×地積(㎡)
- 「奥行価格補正率」は、国税庁HPで、所在する地区ごとに定められています。
- 「側方路線影響加算率」も同様に、国税庁HPで定められています。
「側方影響路線加算率」は、所在する地区、及び角地か準角地かによって異なってきます。
2. 正面の判定
次に、上記式に出てくる「正面路線価」とは、2路線どっちの道路を指すのでしょうか?
実は・・「正面路線価」をどちらにするか?については、以下のようなルールがあります。
それぞれの路線価×奥行価格補正率⇒金額が高い方が「正面」となる
正面路線価をどちらにするか?で、土地の評価額はかなり変わってきますので、この判定は非常に重要です
(実際に正面として利用しているかどうか?は全く関係ありません)
(角地の具体例) ~普通住宅地区~
(正面路線の判定)
路線価 × 奥行価格補正率 ⇒ 高い方
- 250千円 × 1.00(奥行20mの奥行価格補正率)= 250千円
- 260千円 × 0.94(奥行36mの奥行価格補正率)= 244.4千円
250千円 > 244.4千円のため、金額の高い250千円の路線が「正面路線価」となります。
3. 角地か?準角地か?
角地とは、2系統以上の通行方法があるもので、準角地とは、1系統の通行方法しかないものをいいます
(準角地のイメージ ⇒ 1つの道路の曲がり角の内側にある土地)。
先ほどの具体例は「角地」となります。
一方、準角地は・・こんな感じです。
(準角地の具体例) 普通住宅地区
角地、準角地どちらも、2路線と接している共通点はありますが、角地の方が2系統の運行方法があるので、利便性が高そうですね。一般的に、準角地よりも、角地の方が利便性が高いことから、「側方路線影響加算率」も、角地の方が高くなります。
(側方路線影響加算率)
地区区分 | 加算率 | |
---|---|---|
角地(高) | 準角地(低) | |
・・ | ・・ | ・・ |
普通商業・併用住宅地区 | 0.08 | 0.04 |
普通住宅地区・中小工場地区 | 0.03 | 0.02 |
・・・ | ・・ | ・・ |
- 角地の方が、加算率は高い!
4. 土地評価額の具体的算定
先ほどの具体例をもとに、実際の「土地の評価額」を算定します。
正面路線価は、250千円の方と判定されました(2.参照)
例題は「普通住宅地区」ですので、評価額は、以下の通りとなります。
(1) 正面路線価×奥行価格補正率
250千円 × 1.00(奥行20mの奥行価格補正率)= 250千円
(2) 側方路線価×奥行価格補正率×側方路線影響加算率(円未満切捨)
① 角地の場合
260千円 × 0.94(奥行36mの場合の奥行価格補正率)× 0.03(角地の側方路線影響加算率) = 7,332円
② 準角地の場合
260千円 × 0.94(奥行36mの場合の奥行価格補正率)× 0.02(準角地の側方路線影響加算率)= 4,888円
(3) ((1)+(2))×地積(㎡)
① 角地の場合
( 250,000円 + 7,332円 )× 720㎡ = 185,279,040円
② 準角地の場合
( 250,000円 + 4,888円 )× 720㎡ = 183,519,360円