Q53【外貨建て相続財産・贈与財産】外貨預金・外貨建て生命保険等の相続税評価方法/海外口座や海外不動産も相続税の対象か?

 最終更新日:2023/09/22 閲覧数:10,660 views

 

相続財産に「外貨の財産」が含まれていると、相続税申告の際、どのように評価するのか?悩まれる方もいるかもしれません。
相続税の申告は「日本円」で行う必要がありますので、外貨建ての財産は「日本円」に換算する必要があります。
また、海外に所在する財産も、原則として相続税の課税対象となります。こういった「海外財産」も、日本円での換算が必要となります。
今回は、相続税上の「外貨財産の換算方法」や、「海外資産と相続税の関係」につきお伝えします。

1. 外貨建て相続財産・贈与財産の具体例

外貨預金や、トラベラーズチェック、外貨建有価証券、外貨建保険証券、外貨建年金などが代表例です。
また、海外に所在する資産も、原則として相続税の課税対象となります。

2. 外貨建て資産の換算方法

(1) 外貨建て資産の換算方法

相続税上は、下記のように決められています。(No4665)
原則として、納税者の取引金融機関が公表する課税時期(相続又は遺贈の場合は被相続人の死亡の日、贈与の場合は贈与により財産を取得した日)における最終の対顧客直物電信買相場(TTB)又はこれに準ずる相場により行います。
対顧客直物電信買相場とは、金融機関が顧客から外貨を買って邦貨を支払う場合(顧客側にとっては外貨を邦貨に交換する場合)の相場をいいます。課税時期にその相場がない場合には、課税時期前の相場のうち、課税時期に最も近い日の相場によります。

【POINT】
●死亡した日(or贈与日)のTTB(最終値)(※)により算定
●TTBは、亡くなった方(被相続人)ではなく、納税者(相続人)の取引金融機関。ただし、メインバンクがなかったり、過去の為替相場を公表していない場合は、任意の金融機関の為替レートでも実務上は問題ない
●死亡日が、土日祝日の場合や、取引所の相場がない場合は、原則として、その相続開始日前のレートで換算。

(※)銀行が外貨を買い取る際の適用レート

(2) 例題

相続開始日:202×年12月31日
外貨普通預金残高 : 5,000 US$
202×年12月31日に相場がなく、前日の相場は以下の通り

(12月30日の相場)

TTS TTB TTM
104.5 102.5 103.5

(計算式)
5,000×102.50(TTB)=512,500円 となります。

3. 外貨建て債務の場合・先物外国為替契約の場合は?

外貨建ての借入金等の債務は、相続税上「債務控除」をすることができます。当該外貨建債務も、外貨建資産と同様に円に換算が必要となりますが、TTS(対顧客直物電信売相場)での換算が可能です(財産基本通達4-3)。

(財産基本通達4-3)
・・(注)外貨建てによる債務を邦貨換算する場合には、この項の「対顧客直物電信買相場」を「対顧客直物電信売相場」と読み替えて適用することに留意する。

また、先物外国為替契約の締結により、その財産につき決済相場が確定している場合は、当該先物外国為替契約により「確定している為替相場」によって換算します(同4-3)。

4. 海外資産も課税

(1) 原則 海外資産も課税

海外では相続税自体がない国もあります(シンガポール、マレーシア、オーストラリア、中国、香港など)。こういった海外に財産を保有している場合でも、日本の相続税は、原則として全世界の資産に対して課税されます。
例えば、海外に所有する外貨預金や不動産なども相続税が課税されます。

ただし、相続開始前10年を超えて外国に住んでいる場合等、外国財産につき日本の相続税が課税されないケースがあります(令和3年改正)。

 

(2) 海外不動産の評価は?

海外の不動産を相続税評価する場合も、日本の「財産評価基本通達」に基づき、相続開始日のTTBで円換算を行います。ただし、海外では「路線価」のない国もあり、国内の不動産と同じように評価できないケースがあります。その場合は、「市場での売買価格」や、現地の不動産会社に査定を依頼、不動産鑑定士等の専門家に鑑定を依頼することになります。

(3) 外国税額控除あり

海外の財産については、現地所在地国で「相続税相当額」の課税がある場合があります(アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ等)。この場合、二重課税排除の観点から、外国で納税した相続税相当額につき、日本の相続税額から控除可能です。

 

(4) 申告しなくてもばれないか?

原則として、「海外の財産」も相続税の課税対象となります。
現在は、世界各国の税務当局が、各地の預金情報を交換していますので、海外の金融機関の外貨預金の情報も、日本の税務当局は把握していると思われます。つまり・・申告漏れは、ばれる可能性は高いと思われます。
なお、被相続人の海外資産については、所得税申告書に添付される「財産債務調書」「国外財産調書」との整合性もチェックされます。

 

財産債務調書 その年の所得金額が2,000万円を超え、かつ年末時点の財産価額3億円以上(or1億円以上の有価証券等の国外転出財産)有する方が、保有財産につき、税務当局に報告が義務付けられる制度。
国外財産調書 居住者(非永住者を除く)の方で、年末時点で5,000万円を超える国外財産を有する方が、国外財産財産につき、税務当局に報告が義務付けられる制度。

 

5. 参照URL

(国税庁 No4665  外貨(現金)の邦貨換算)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4665.htm

(財産評価基本通達4-3(邦貨換算))

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/01/01.htm#a-4_3

(外貨(現金)の評価)

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hyoka/15/05.htm

(No.4138 相続人が外国に居住しているとき)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4138.htm

(No.7457 財産債務調書の提出義務)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hotei/7457.htm

(No.7456 国外財産調書の提出義務)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hotei/7456.htm

6. YouTube

 
YouTubeで分かる「外貨建て相続財産・贈与財産」