Q76 【わかりやすく】不整形地の評価方法は4つ。実務上の評価方法は?奥行距離の計算や、「かげ地割合」を具体例で解説

 最終更新日:2022/08/09 閲覧数:4,003 views

路線価地域の土地については、相続税上、「土地面積×路線価」で評価を行います。
ただし、すべての土地がきれいな正方形や長方形(整形地)の土地とは限りません。現実的には、形が「いびつ」な「不整形地」も存在します。不整形地の場合、整形地と比べると土地の使い勝手が悪いため、相続税評価上は、最大40%の減額が可能です。
今回は、不整形地の評価方法につき、具体例を交えて解説します。

 

1. 国税庁上の不整形地の評価方法は4つ

国税庁上は、不整形地の評価方法として以下の4つが定められています。

不整形地を区分して求めた「整形地」を元として計算する方法
不整形地の地積を「間口距離」で除して算出した「計算上の奥行距離」を基として求めた整形地により計算する方法(実務はこれがほとんど)
不整形地に近似する整形地(近似整形地)を求め、その設定した近似整形地を基として計算する方法
近似整形地を求め、隣接する整形地と合わせて全体の整形地の価額の計算をしてから、隣接する整形地の価額を差し引いた価額を基として計算する方法(旗竿地)

実務上は、圧倒的に②で行うケースが多いです。申告ソフトも、基本的には②で自動計算されるソフトが多いです。したがって、今回は、上記②の方法を中心にお伝えします。以下「実務上の評価方法」と略します
なお、上記④の評価方法は、「差引計算により評価する方法」です。「旗竿地の評価」の場合に利用されます。こちらについては、Q96で解説していますので、ご参照ください。

 

2. 実務上の評価方法

不整形地の「実務上の評価方法」(上記②)の計算ステップは、以下となります。

(1) 計算上の奥行距離の算定
(2) 奥行価格補正率等の選択
(3) 不整形地補正率を算定
(4) 不整形地補正率と奥行長大補正率の選択適用
(5) 上記の補正率をもとに不整形地を評価

 

(1) 計算上の奥行距離の算定

不整形地の相続税評価にあたっては、まず最初に、「奥行価格補正率」を選択する必要があります。奥行距離が、標準的な宅地に比べて、長い場合や短い場合は、土地の利用価値が低くなるため、「奥行価格補正率」で評価額の減額を行います。「奥行価格補正率」は、①地区ごと②奥行距離ごとに区分された率となりますので、まず、不整形地の「奥行距離」を算定する必要があります。
ただし、不整形地の「奥行距離」は、実際の奥行距離を選択するとは限りません。「不整形地」にかかる「奥行距離」は、下記のどちらか短い方を選択する必要があります。一般的には②実際の奥行距離よりも①計算上の奥行距離になるケースが多いです。
 

計算上の奥行距離 = 不整形地面積 ÷ 間口距離)(道路に面している長さ)
実際の奥行距離(想定整形地・不整形地の実際の奥行)

 

計算上の奥行距離は、小数点第2位以下の処理方法は決まっていないため、自由に選択(切上、切捨、四捨五入)可能です。

 
具体例

 

① 計算上の奥行距離 180㎡(不整形地の面積)÷20m(間口距離)=9m
② 実際の奥行距離(想定整形地) 12m
結論 ① <②のため、短い方①計算上の奥行距離9mを採用

 

(2) 奥行価格補正率等の選択

上記で算定された「奥行距離」に基づき、「奥行価格補正率」「奥行長大補正率」を「間口狭小補正率」、がけ地の場合は「がけ地補正率」を選択します。

 

(3) 不整形地補正率の選択

不整形地は、標準的な宅地に比べて土地の利用価値が低いため、「不整形地補正率」を用いて、土地の評価額を減額します。相続税上、①地区ごと②かげ地割合に応じた、「不整形地補正率」が定められています。以下の表になります。横軸は地区、縦軸はかげ地割合、交わったところが、適用すべき「不整形地補正率」となります。また、横軸のA,B,C区分は、不整形地の「面積」による区分です。所定の「地積区分表」に基づき、選択します。

 
付表5

 
【地積区分表】

付表4

例えば、普通住宅地区で不整形地の面積が300㎡の場合は、Aとなります。

 

【かげ地割合とは?】
かげ地割合とは、想定整形地に対して、実際の地積以外の部分(かげ地)の割合です。不整形地の評価は、不整形地全体を囲む四角形(想定整形地)と比較して、対象の土地がどれくらい、「かげ」になってるのか?の割合(かげ地割合)を算定し、当該「かげ地割合」に応じた補正率を用いて、評価額の減額を行います。
 
かげ地割合とは?
かげ地割合は、以下の式で算定されます。

かげ地割合 =(想定整形地面積 - 不整形地面積)÷ 想定整形地面積

 

例えば、上記の「不整形地」の場合の「かげ地割合」は以下となります。

① 想定整形地面積 240㎡(20m × 12m)
② 不整形地面積 180 ㎡
① かげ地割合((①‐② /①)) (240㎡-180㎡)÷ 240㎡=25.0%
小数点以下切り捨て 25%

 

(4) 不整形地補正率と奥行長大補正率の選択適用

不整形地補正率と、奥行長大補正率は、重複適用はできません。間口距離とのバランスの違いにより、形式的に両者の補正率が区分されているだけであり、不整形地補正率には「奥行長大補正率」の調整が含まれていると考えられるためです。
したがって「不整形地補正率」は、以下のどちらか「小さい方」の選択適用となります。また、限度額は0.6とされています。

 
【不整形地補正率の選択】

① 間口狭小補正率 × 不整形地補正率(小数点第2位未満切捨)
② 間口狭小補正率 × 奥行長大補正率(小数点第2位未満切捨)

つまり、上記②の場合は、不整形地補正率は使わないことになります。

 

(5) 不整形地の評価

上記の補正率の選択が完了すれば、不整形地の評価は以下の式で算定します。
 (がけ地補正率、規模格差補正率、特別警戒区域補正率等は除く)
 
【不整形地の評価額】以下のうちどちらか小さい方

路線価 × 奥行価格補正率 × 間口狭小補正率 × 不整形地補正率 × 面積
路線価 × 奥行価格補正率 × 間口狭小補正率 × 奥行長大補正率 × 面積

 

3. 不整形地評価の具体例

● 宅地Aは、普通住宅地区。路線価は300千円/㎡。
● 路線には、1路線しか面していないものとする(がけ地ではない)

 
不整形地評価の具体例

 

(1) 計算上の奥行距離の算定

計算上の奥行距離を算定します。180㎡(不整形地面積)÷20m(間口距離)=9m ⇒ 実際の奥行距離12mと比較して短い方 9m

 

(2) 奥行価格補正率等の選択

奥行価格補正率(9m) 0.97
奥行長大補正率(※) 1.00(なし)
間口狭小補正率(20m) 1.00(なし)

(※)9m(奥行)÷ 20m(間口)=0.45(倍) ⇒奥行長大補正なし

 

(3) 不整形地補正率の選択

不整形地補正率の選択

 

かげ地割合の算定 ● 想定整形地の面積 20m×12m=240㎡
● 不整形地の実際面積 180㎡
● (240㎡ - 180㎡)÷ 240㎡ = 25.0%
⇒小数点以下切り捨て 25%
地区の選択 普通住宅地区、180㎡ ⇒ 地区区分A
不整形地補正率 0.92

 

(6) 不整形地の評価

300,000円/㎡ ×0.97(奥行価格補正率)× 0.92(不整形地補正率)×180㎡= 48,189,600円

 

4. 参照URL

(奥行価格補正率表)

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/02/07.htm

(不整形地の評価)

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/02/03.htm

(差引計算により評価する場合)

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hyoka/03/16.htm

 

5. 不整形地の「角地」の場合

不整形地の角地の場合、側方路線に「宅地の一部分のみしか」接していない場合があります。この場合は、側方路線影響加算率の調整が必要です。詳しくは、Q77で解説していますので、ご参照ください。

 

6. YouTube

 

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