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相続の豆知識




Q97 私道の評価

DR174

 

 
私道とは、個人が所有する道路のことです。道路には「公道と私道」があります。
公道か私道か?は、「公図」を見れば把握できます。
公図に「地番」が入っていれば「私道」、地番が入っていなければ「公道」となります。
私道の所有者は、登記簿謄本に記載されています。
 
「私道」は所有者がいるため、もちろん「相続税評価の対象」となります。
分譲住宅などでは、真ん中に私道が隣接しているような物件も結構ありますよね。
今回は、この「私道」の相続税評価について、以下にまとめます。


 

1. 私道の種類

私道は、一般の宅地と比べると評価額は低くなります。
「私道」といっても、通り抜けできる私道、行き止まり私道、専用通路など様々です。
相続税上は、それぞれのパターンごとに評価方法が定められています。
 
以下の3つです。

 

内容 内容 相続税上の評価
通り抜け私道(不特定多数の利用) 評価しない
行き止まり私道(特定の者の通行) 30%評価
専用道路 宅地に含めて評価

 
上記③については、宅地に含めて評価しますので、私道としての評価は行いません。

 

2. 通り抜け私道の評価(不特定多数の利用)

(1) 具体例

191011souzoku2_1
 

  • 上記のように、通り抜けできる私道は、公共性が高いことから「不特定多数の者の通行の用に供される私道」として「相続税評価額はゼロ」となります。(財基通24)
  • 建物建替え等でセットバックした前面通路なども、「通り抜け私道」として評価はゼロとなります。(建築基準法第42条2項)


 

(2) 「不特定多数の者の通行の用に供されている道路」の例

  • 公道から公道に通り抜けできる私道。
  • 行き止まり私道だが、その私道を通行して不特定多数の者が地域等の集会所や公園等の公共施設や商店街等に出入りしている場合。
  • 行き止まり私道だが、その私道を通行して私道の一部に公共バスの転回場や停留所が設けられており、不特定多数の物が利用している場合。


 

(3) 申告書の記載

通り抜け私道の場合、相続税評価額はゼロとなりますが、申告書第11表には、評価ゼロとして記載しておく方が安全です。

 

3. 行き止まり私道の評価

(1) 具体例

(普通住宅地区)持ち分1/6
191015souzoku2_4

  • 上記のような「行き止まり私道」は、不特定多数の通行の用ではなく、特定の者が通行するための私道で、各宅地所有者で私道を「共有」で所有している場合が多いです。このような行き止まり私道は、本体宅地と別に30%で評価を行います。
  • 私道の場合、自動車等の通りをスムーズにするように間口に「隅切り」が設けられている場合がありますが、間口には、隅切りは含めませんのでご留意ください。

 

行き止まり私道の評価 = 正面路線価×奥行価格補正率 × (A) × 30% × ㎡ × 持分

 
(A)・・以下のどちらか小さい方を選択適用可(0.60が下限)
 

① 不整形地補正率 × 間口狭小補正率(小数点第2位未満切捨)
② 間口狭小補正率 × 奥行長大補正率(小数点第2位未満切捨)


 

(2) 評価額

200千円 × 0.91(奥行価格補正率)× 0.84(※) × 30% × 200㎡ × 1/6 = 1,528.8千円
(※)
① 1.00(不整形地補正率) × 0.94(間口狭小補正率) = 0.94
② 0.94(間口狭小補正率) × 0.90(奥行長大補正率) = 0.846
小さい方の小数点第2位未満を切捨、
② 0.84(小数点2位未満切捨)

 
(ご参考・普通住宅地区)

奥行価格補正率 0.91(40m)
不整形地補正率 1.00(かげ地なし)
間口狭小補正率 0.94(4m以上6m未満)
奥行長大補正率 0.90(40m ÷ 5m = 8.0倍)

 

4. 専用道路

(1) 具体例

191011souzoku2_3
 
上記のように、宅地所有者のみしか利用しないような「専用道路」は、私道の評価ではなく、宅地に含めて評価します。
旗竿地」と呼ばれる地形となります。
私道としては評価しませんが、旗竿地として評価の際、不整形地補正が入りますので、整形地と比べると、相続税評価は下がります。


 

5. 小規模宅地等の特例との関係

私道であっても、その私道がないと公道へ出られないような宅地の場合は、要件を満たす場合は、小規模宅地等の特例の適用が可能です。


 

6. 参照URL

(私道の相続税評価額)~財産評価基本通達24
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/02/04.htm#a-24
 
(不特定多数の者の通行の用に供されている道路の例)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hyoka/04/06.htm
 
(間口距離の求め方)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hyoka/03/08.htm
 
(奥行価格補正率等)
http://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/02/07.htm

 

Q96 旗竿地の評価方法

DR173

 

 
旗竿地とは、名前の通り、間口が狭くなっていて、旗のような形状となっている土地のことです。
この旗竿地は、相続税上どのように評価するのでしょうか?


 

1. 旗竿地の相続税上の評価は低い

旗竿地は、一般の整形地と比べると用途が限定されるため、相続税評価額は下がります。
相続税上は、以下の補正を行います。
 

奥行価額補正率・間口狭小補正率 間口が狭く、奥行価額が長いため、奥行価額補正率、間口狭小補正率の適用により評価が下がる。
不整形率補正 整形地ではないため不整形地補正率の適用により評価が下がる。


 

2. 旗竿地の評価

 
191010souzoku1_1
 
旗竿地は、以下の方法で評価を行います。
 

① 「想定整形地」の評価額から「かげ地」の評価額の差引計算を行う。
② 上記①差引後の評価額につき、不整形地補正等を行う。

 
「想定整形地」とは、評価対象地の全域を囲む、最小面積の長方形(赤線部分)のことをいい、「かげ地」とは、想定整形地の中で評価対象地以外の部分(黒塗部分)を指します。


 

3. 具体例

 
(普通住宅地区)
191010souzoku1_2


 

(1) 差引計算

想定整形地、かげ地それぞれの評価額は、奥行価格補正率を考慮して算定します。
 

① 想定整形地の評価(赤線部分)
200千円(正面路線価) × 0.95(奥行価格補正率) × 720㎡ = 136,800千円
② かげ地の評価(黒塗部分)
200千円(正面路線価) × 1.00(奥行価格補正率) × 300㎡ =   60,000千円
③ 旗竿地の評価(青塗部分)
(136,800千円 – 60,000千円) ÷ 420㎡ = 182.8千円

 
(ご参考・普通住宅地区)

奥行30mの奥行価格補正率 0.95
奥行15mの奥行価格補正率 1.00

 
上記差引計算の結果、旗竿地の1㎡あたりの評価額は、182.8千円/㎡となり、想定整形地の1㎡あたりの評価額190千円/㎡(200千円 × 0.95)よりも、評価額は低くなりました。


 

(2) 不整形地補正(不整形地補正率表 注3参照)

上記(1)の差引計算後、不整形地補正等を行います。
不整形地補正は、以下のどちらか小さい方の選択が可能です。(0.60が限度)
 

① 不整形地補正率 × 間口狭小補正率(小数点第2位未満切捨)
② 間口狭小補正率 × 奥行長大補正率(小数点第2位未満切捨)

 

① 0.85(不整形地補正率) × 0.94(間口狭小補正率) = 0.799
② 0.94(間口狭小補正率) × 0.90(奥行長大補正率) = 0.846
小さい方の小数点第2位未満を切捨、
① 0.79(小数点2位未満切捨)

182.8千円 × 0.79 = 144.4千円/㎡

 
(ご参考・普通住宅地区)

不整形地補正率 0.85(普通住宅地区A 300㎡ ÷ 720㎡ = 0.4166)
間口狭小補正率 0.94(4m以上6m未満)
奥行長大補正率 0.90(30m ÷ 4m = 7.5倍)


 

(3) 最終的な旗竿地の評価

144.4千円/㎡ × 420㎡ = 60,648千円


 

4. かげ地部分の「奥行価格補正率」が1.00未満の場合

例外的に、かげ地の奥行が短いため、「かげ地の奥行価額補正率」が1.00未満」の場合は、かげ地部分の奥行価格補正率を1.00で計算できる規定があります。
単純な差引計算では「不合理な結果になるため」ですね。以下の例題で解説します。
 
(普通住宅地区)
191010souzoku1_3


 

(1) かげ地の奥行価格補正率の把握

かげ地奥行5m(奥行価格補正率0.92) < 1.00未満のため、かげ地部分の奥行価格補正率は0.92ではなく、1.00で計算を行う。


 

(2) 差引計算

想定整形地、かげ地それぞれの評価額は、奥行価格補正率を考慮して算定します。
 

① 想定整形地の評価(赤線部分)
200千円(正面路線価) × 0.95(奥行価格補正率) × 720㎡ = 136,800千円
② かげ地の評価(黒塗部分)
200千円(正面路線価) × 1.00(補正後奥行価格補正率) × 100㎡ = 20,000千円
③ 旗竿地の評価(青塗部分)
(136,800千円 – 20,000千円) ÷ 620㎡ = 188.3千円

 
仮に、かげ地の本来の奥行価額補正率0.92を用いて差引計算すると、評価額は190.9千円/㎡となり、通常の路線価計算190千円/㎡(200千円 × 0.95)よりも評価が高くなるという不合理が生じます。
そこで、こういった場合は、上記のように1.00(補正後奥行価格補正率)で計算します。

 
(ご参考・普通住宅地区)

奥行30mの奥行価格補正率 0.95
奥行5mの奥行価格補正率 0.92


 

(3) 不整形地補正(不整形地補正率表 注3参照)

上記(2)の差引計算後、不整形地補正等を行います。
前段落の不整形地補正と同様に、どちらか小さい方の選択が可能です。(0.60が限度)
 

① 不整形地補正率 × 間口狭小補正率(小数点第2位未満切捨)
② 間口狭小補正率 × 奥行長大補正率(小数点第2位未満切捨)

 

① 0.98(不整形地補正率) × 0.94(間口狭小補正率) = 0.9212
② 0.94(間口狭小補正率) × 0.90(奥行長大補正率) = 0.846
小さい方の小数点第2位未満を切捨、
② 0.84(小数点2位未満切捨)

188.3千円 × 0.84 = 158.1千円/㎡

 
(ご参考・普通住宅地区)

不整形地補正率 0.99(普通住宅地区A 100㎡ ÷ 720㎡ = 0.1388)
間口狭小補正率 0.94(4m以上6m未満)
奥行長大補正率 0.90(30m ÷ 4m = 7.5倍)


 

(4) 最終的な旗竿地の評価

158.1千円 × 620㎡ = 98,022千円


 

5. 想定整形地の奥行価額が短い場合

・・ただし上記4の例外の規定があります。
例外の例外で、ちょっとややこしいですが。
 
想定整形地の奥行が短い結果、想定整形地の奥行価格補正率が1.00未満となる場合は、かげ地部分の奥行価格補正率は、たとえ1.00未満であっても1.00に調整せず、想定整形地と同一の奥行価格補正率を用いて計算します。
 
(普通住宅地区)
191010souzoku1_4
 
(ご参考・普通住宅地区)

奥行8mの奥行価格補正率 0.97(普通住宅地区) < 1
⇒ 1.00で計算する
奥行5mの奥行価格補正率 0.92(普通住宅地区)


 

6. 参照URL

(不整形地の評価)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hyoka/03/16.htm
 
(奥行価格補正率等)
http://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/02/07.htm

 

Q95 個人年金・退職年金は相続税の対象?

DR172

 

 
「個人年金」や「退職年金」の受給期間中に死亡した場合、遺族がその「受給権」を承継し、残りの期間の「年金」を受給できます。また、「死亡保険金」や「満期保険金」も、一時金ではなく「年金形式」でもらう場合は、同様に「受給権」を承継します。
 
この「年金受給権」は、相続税法上は「定期金に関する権利」と呼ばれます。
 
では・・この「年金受給権」には、相続税がかかるのでしょうか?
(今回の「個人年金」は、保険料負担者 = 被保険者 = 年金受取人を前提とします。)

 

1. 個人年金・退職年金って?

(1) 個人年金

個人年金とは、公的年金(国民年金や厚生年金等)を補填する目的で、生命保険会社と契約する「私的年金」の一種です。

     

  • 生死に関わらず一定期間「年金」が受け取れる「確定年金」
  • 生存している限り一生涯「年金」が受けとれる「終身年金」
  • 生存している限り一定期間「年金」が受け取れる「有期年金」
  •  

など、様々な種類があります。


 

(2) 退職年金

退職年金とは、「企業年金制度」のある勤務先に勤めていた被保険者が死亡した場合、退職金の一部を「年金」として受け取るものです。


 

2. 受給者が死亡した場合の取扱い

個人年金・退職年金とも、受給者が死亡した場合、遺族は「年金受給権」を承継し、残りの期間の「年金」を受け取ることができます。

 

3. 相続税上の取り扱い(個人年金・退職年金共通)

(1) 年金受給権は「みなし相続財産」

「年金受給権」は、被相続人から取得するわけではなく、「保険会社等」から取得するものですので、本来は相続財産を構成せず、相続税の対象とならないはずです。
しかし、「将来年金をもらえる権利」(= 財産価値)を取得する経済的実態に着目し、相続税上は、「みなし相続財産」として相続税の課税対象になります。(相続税法第3条1項5号、6号)


 

(2) 非課税限度額の対象にはならない

「年金受給権」は、同じ「みなし相続財産」である「生命保険金の死亡一時金」などとは異なり、死亡保険金非課税限度額(500万円 × 法定相続人の数)の対象にはなりません。


 

(3) 遺産分割の対象にはならない

「みなし相続財産」ですので、「生命保険の死亡一時金」などと同様、保険金受取人の固有財産となり、遺産分割の対象にはなりません。

 

4. 所得税上の取り扱い

(1) 所得税上の取り扱いは異なる

相続後に遺族が受け取る「個人年金」「退職年金」にかかる所得税上の取扱いは、それぞれ異なります。
 

個人年金 雑所得として所得税が課税
退職年金 非課税(所得税基本通達9-2)


 

(2) 個人年金は「所得税課税対象」が調整される

相続等により取得した「個人年金等の年金受給権」は、取得時に「みなし相続財産」として相続税が課税され、遺族が実際年金受取時に「所得税」が課税されますので、二重課税となっています。
そこで、二重課税排除の観点より、実際年金受取時の所得税は、「相続税課税対象部分」を差し引いて算定します。
(2010年7月6日 最高裁判決)


 

5. 年金受給権の評価方法(個人年金・退職年金共通)

「年金受給権」の評価方法は、大きく、以下の2つに分かれます。
(ただし、実務上は、生命保険会社等が計算してくれます。)


 

(1) 有期定期金

年金支給期間が決まっているタイプのものです。(確定年金など)
評価額は、下記①~③のうち、最も高い金額となります。
 

① 解約返戻金
② 一時金の金額(定期金の代わりに受け取れる場合の金額)
③ 年あたりの平均給付額 × 残存期間に応ずる予定利率による「複利年金現価率」


 

(2) 終身定期金

亡くなるまでの間、終身で年金を受け取れるタイプのものです。
評価額は、下記①~③のうち、最も高い金額となります。
 

① 解約返戻金
② 一時金の金額(定期金の代わりに受け取れる場合の金額)
③ 1年あたりの平均給付額 × 平均余命に応ずる予定利率による「福利年金現価率」

 
なお、「終身定期金」というのは、個人年金の種類の1つである「終身年金」のことではありません。
「終身年金」は被相続人が生きている限り受給できる年金ですので、被相続人の死亡により受給は終了し、相続税課税関係は生じません(保険契約者 = 被保険者 = 年金受取人の場合)。
 
上記のほか、「無期定期金」(永久に定期金を受けることができるもの)もありますが、実務上は、ほとんどありませんので、今回は省略します。


 

6. 参照URL

(No.1620 相続等で取得した年金受給権の所得税調整)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1620.htm

 

Q94 相続税の対象となる年金の範囲

DR170

 

 
年金にはさまざまな種類のものがあります。
国民年金や厚生年金、遺族年金、個人年金、退職年金などですね。
これらの年金は、相続税の対象になるのでしょうか?


 

1. 公的年金(の未支給年金)

公的年金の未支給年金は「遺族の生活保障」の観点から相続税は非課税となります。
ただし、遺族が実際年金受取時は、「一時所得」として所得税が課税されます。
未支給年金については、Q93で詳しく記載しています。ご参照ください。


 

2. 遺族年金(国民年金・厚生年金等)

遺族年金は「国民年金」や「厚生年金」の受給者が死亡した場合、受給要件を満たす遺族が受け取ることができる年金です。
遺族年金も、「遺族の生活保障」の観点から相続税は非課税となります。
遺族年金は、
「公的年金の未支給年金」と異なり、所得税も課税されません。
 
非課税対象の「遺族年金」として認められるのは、国民年金法、厚生年金保険法、恩給法、旧船員保険法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法、旧農林漁業団体職員共済組合法となっています。


 

3. 寡婦年金

寡婦年金は、国民年金1号被保険者(自営業者)で、10年以上保険料を納めた夫が亡くなった際に受け取ることができる年金です。
10年以上連れ添った奥様に対してのみ支払われる年金です。
この寡婦年金も、「遺族年金」と同様の趣旨で、相続税及び所得税上も非課税となります。
なお、一定要件を満たす寡婦は、「寡婦控除」という所得税上の恩典もあります。


 

4. 退職年金(企業年金)・個人年金

「みなし相続財産」として相続税の課税対象となります。
この論点については、次回、詳しく解説いたします。


 

5. 参照URL

(相続税の課税対象になる年金受給権)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4123.htm

 

Q93 高額医療費・未支給年金・還付金に相続税はかかる?

DR169
 

 
お亡くなりになられた後に、「被相続人が受け取るべき」お金が入金される場合があります。
例えば「高額医療費の返戻金」や「未支給年金」、「保険料還付金」などです。
これらは・・相続税の課税対象となるのでしょうか?
(相続後に、被相続人が「支払うべき取引」は「債務控除」をご参照ください)


 

1. 保険関係

 

名称 内容 相続財産か? 理由
高額医療費 生前に支払済の医療費のうち、「自己負担限度額」を超えた分が返戻されるもの 相続財産
  • 高額医療費は、過去の支払額の返金に過ぎないため
  • 所得税上は非課税(健康保険法第62条)
過誤納還付金
(国民健康保険料、介護保険料、後期高齢者医療保険料等)
生前に支払済の保険料で、「納めすぎ」の金額が還付されるもの 相続財産
  • 同上(過去の支払額の返金に過ぎない)(※)
葬祭費・埋葬費等給付金
(国民健康保険や厚生年金等)
葬儀を行った遺族等に「葬祭費等」として支給されるもの 該当しない
  • 本人ではなく、葬儀や埋葬を行った人が受けとるべき給付のため
  • 所得税上は非課税(健康保険法第62条他)

(※)逆に、納付の場合(例 未納国民健康保険料等)は「債務控除」の対象。


 

2. 年金関係

例えば、国民年金の場合は、お亡くなりになられた月(相続発生月)分まで受給する権利があります。
また、国民年金は、偶数月に「前月分と前々月分」が支給されます。
例えば、7月死亡の場合、6・7月分の支給は8月 ⇒ 相続開始時点では「未支給の年金」が存在します。

 
(例 7月5日に死亡した場合)

受給可能な年金 支給時期 未支給年金
7月分まで受給可能 8月15日(6・7月分) 6・7月分

(※)6月15日支給分(4・5月分)は、生前に受取済のため、「未支給年金」の取扱いとはなりません。

 
なお、「未支給年金」とは、「相続発生時点で受給していない年金」のことを指しますので、「受給権」の有無ではなく、「生前に、実際に受取ができていない年金」を意味します。
(「個人年金」受給中の相続で、遺族が相続する「年金受給権」は別の論点になります。この「年金受給権」は相続財産に含まれます。)

 
「未支給年金」や「その他の一時金等」の相続税課税関係は、以下の通りです。
 

名称 内容 相続財産か? 理由
未支給年金 死亡した者に支給すべき公的年金給付で、生前に支給されていない年金 該当しない
  • 未支給年金は「遺族固有の権利」として保障されているため(最高裁判決 平成7年11月7日)
  • 所得税上は遺族の「一時所得」として課税対象(※)
死亡一時金
(国民年金)
遺族一時金
(国民年金基金)
家族が死亡したときに支給される一時金 該当しない
  • 相続人が受け取るべき給付のため(国民年金法第133条、国民年金法第25条)
  • 所得税上は遺族の「一時所得」として課税対象

(※)死亡時までに「実際支給済の年金」は、被相続人の「準確定申告」(雑所得)で申告し、「死亡時までの未支給年金」は、相続人の「確定申告」(一時所得)として申告します。
 
未支給年金の範囲・・国民年金法、厚生年金保険法、恩給法、旧船員保険法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法、旧農林漁業団体職員共済組合法
 

 

3. 税金関係

 

名称 内容 相続財産か? 理由
所得税等の還付金 生前に支払済の所得税等で、「納めすぎ」の金額が還付されるもの 相続財産
  • 生存中の潜在的な請求権が、死亡により顕在化したため(※)
還付加算金
(確定申告)
確定申告書提出後に「還付される税金」に対応する利息的なもの 相続財産
  • 暦年終了時に、被相続人に「還付請求権」が潜在的に存在しているため
還付加算金
(準確定申告)
準確定申告提出後に「還付される税金」に対応する利息的なもの 該当しない
  • 準確定申告の場合は、相続人が申告することで「還付加算金請求権」を原始的に取得するもののため
  • 所得税上は遺族の雑所得として課税対象

(※)逆に、納付の場合は「債務控除」の対象。


 

4. 勤務先等

 

名称 内容 相続財産か? 理由
弔慰金・花輪・葬祭料 亡くなった人の功労や家族へのお見舞として支給されるもの 該当しない
  • 名目は弔慰金であっても、実質上「退職手当金等」に該当するものは相続税の課税対象
  • 所得税は非課税(所施令30条)
療養補助金・入院見舞金 被相続人に対し生前の療養や入院見舞金として支給されるもの 相続財産
  • 生前に本人が受け取るべき給付のため


 

5. 役所関係

 

名称 内容 相続財産か? 理由
重度心身障害者医療費助成金 障害者本人と家族の負担を軽減するため、医療費の一部を県や市で助成するもの 相続財産
  • 生前に本人が受け取るべき給付のため
  • 所得税上は医療費控除のマイナス


 

6. 参照URL

(未支給国民年金)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/sozoku/02/09.htm
 

(確定申告書提出後に死亡した被相続人に係る還付加算金の課税関係)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/sozoku/02/04.htm
 

(被相続人の準確定申告に係る還付金等)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/sozoku/02/01.htm
 

(弔慰金)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4120.htm

 

Q92 代償分割の利用場面と所得税・贈与税との関係

DR168
 

 
代償分割は、遺産分割方法の1つです。
代償分割とは、いったん特定の相続人が相続分を超える「遺産現物」を相続し、その代わりに、相続超過分(もらいすぎた分)を、他の相続人に金銭で支払う方法です。
 
相続財産に「不動産」が多く含まれる場合は、「代償分割」を活用することで、「金銭による弾力的な遺産分割」が可能となり、相続人間に不公平が起こりにくいと言われています。


 

1. 代償分割の利用場面

代償分割を利用する場面は、以下のようなケースです。
 

ケース 具体例
現物分割ではうまくいかない場合
  • 遺産の多くが「不動産」など換金性の低い財産の場合
  • 相続人全員が取得を希望しない相続財産が含まれている場合
特定の相続人に引き継がせたい場合
  • 事業用の不動産や自社株式など、事業を承継する相続人に引き継がせたい場合
不動産を利用する予定がない場合
  • 不動産に居住する予定の相続人がいない場合
  • 不動産の維持・管理が負担になる場合


 

2. 代償分割のメリットデメリット

 

メリット デメリット
  • 金銭での「柔軟な遺産分割調整」が可能
  • 一人の相続人が不動産を相続することで、「小規模宅地等の特例」の利用場面が増える
  • 代償分割での「金銭の分配」には譲渡所得税がかからないため、換価分割に比べると税額が安く収まるケースが多い
  • 代償金の支払をするため、相続人自らが資金を準備する必要がある
  • 代償金を将来支払う場合は、相続人間で争いが生じる可能性がある

 
 


 

3. 所得税・贈与税との関係

「代償分割」による資金の移動には、所得税や贈与税はかかりません。
ただし、「遺産分割協議書」に、代償金の支払方法等は、明確に記載しておく方が安全です。


 

4. 相続税との関係

代償分割を実行しても「遺産の総額」は変わらないので、相続税の「総額」は変わりません
ただし、各相続人間の相続税負担割合は、代償金によって変わってきます

 
代償分割実行後の相続税の負担割合(按分割合)は、以下の通りとなります。

代償金を支払った相続人 相続した遺産 - 支払った代償金
代償金を受け取った相続人 相続した遺産 + 受け取った代償金


 

5. 代償金を「他の財産」で渡す場合

代償金は、金銭に限らず、相続人が所有する「他の財産」で支払うことも可能です。
ただし、金銭以外の資産を交付した場合は、「資産の時価相当額の収入」があったこととして、譲渡所得税が課税されます。
金銭以外の交付の場合は、注意が必要です。


 

6. 生命保険の活用

代償分割の場合は、代償金を支払うための「資金を準備」する必要があります。
この点、資金を確保するために、生前に「生命保険」を活用することが考えられます。
 
例えば、生前に「被相続人」が生命保険に加入し、当該保険の受取人は、将来、「分割困難な財産を相続する相続人」に指定しておきます。
 

  • 生命保険金は、「相続人固有の財産」のため、遺産分割に受け取ることが可能。
  • 生命保険金は、一定限度まで「相続税の非課税限度額」がある。

 
生命保険金は、「相続税の非課税限度額を活用しながら、資金を確保することができる」点で、「代償分割」との相性は非常によいと思います。

 

Q91 換価分割の際の「単独登記」と贈与税の関係

DR167
 

 
「換価分割」を行う場合は、不動産を売却する手続が生じます。
この点、売却する際の不動産名義は、「共同相続人の全員名義より、代表者単独名義」の方が、押印や資料準備等の面で、スムーズに手続を進めることができます。
 
そこで、換価分割の実務では、
①便宜上、一旦「代表者名義」で単独相続登記を行い代表者が売却、
②その後に、売却代金を他の相続人に遺産分割割合で金銭を配分する
 
といった方法が採られる場合があります。
いわゆる「単独登記」呼ばれるものです。
 
しかし、この「単独登記」の場合、「売却代金を各相続人に配分する行為」が「贈与」に該当し、「贈与税」が生じないのか?という疑問が生じます。


 

1. 換価分割とは?

換価分割とは、相続不動産を売却し(換価)、その売却代金を相続人で分割する方法です。
 


 

2. 換価分割の不動産登記名義

換価分割を活用して「相続不動産」を売却するには、一旦不動産を、被相続人名義から相続人名義に変更(相続登記)しなければ売却ができません。
 
登記名義の変更には、①共有登記②単独登記の2種類があります。
以下、それぞれに分けて説明します。


 

(1) 共有登記

「法定相続分」による共有名義で相続登記を行い、共有名義のまま売却を行います。
共有名義での売却の場合、共有名義人全員の承諾が必要となりますので、相続人が多数存在する場合などは、実現が困難な場合があります。


 

(2) 単独登記

共同相続人のうち代表者を決め、便宜上「代表者単独名義で相続登記」を行い、代表者名義で売却を行います。
共同相続人が多数存在する場合は、共有登記よりも単独登記の方が、スムーズに手続を進めることが可能です。


 

3. 単独登記と贈与税の関係

単独登記の場合、形式上は「単独登記名義」の人が不動産の売主となり、売却後に他の共同相続人に代金を配分することになります。
 
この、売却後の配分は「贈与」に該当し、贈与税は生じないのでしょうか?
(共有登記の場合は、「贈与税」の問題は生じません)
 
この点、換価分割のための「単独登記」による売却&配分に関しては、国税庁に以下の回答があります。

 

【照会要旨】
遺産分割の調停により換価分割をすることになりました。
ところで、換価の都合上、共同相続人のうち1人の名義に相続登記をしたうえで換価し、その後において、換価代金を分配することとしました。
この場合、贈与税の課税が問題になりますか。
 
【回答要旨】
共同相続人のうちの1人の名義で相続登記をしたことが、単に換価のための便宜のものであり、その代金が、分割に関する調停の内容に従って実際に分配される場合には、贈与税の課税が問題になることはありません。

 
単に「換価のための便宜」での単独登記であれば、その後の代金が実際、遺産分割協議(調停)に基づいて配分されたなら、贈与税の問題は生じないということですね。


 

4. 遺産分割協議書での記載

贈与税の問題が生じないように、便宜上単独名義で不動産を売却する場合は、「遺産分割協議書」で、その旨を記載しておくことが必要です。
例えばこんな感じです。
 
(単独登記での「遺産分割協議書」の例)

被相続人00の遺産相続につき、相続人Aと相続人Bは遺産分割協議を行い、本日、次のとおり合意した。
一.相続人Aは、次の相続財産を相続する。
  (00不動産)
二.相続人Aは、前項の不動産を速やかに売却・換価するものとし、売却代金から売却に関する一切の費用(仲介手数料、登記費用、譲渡所得税等)等を控除した残額を、全相続人の間で法定相続割合に従って分割、取得する。
三.売却の便宜のため、Aが本件土地につき単独相続の登記を行うことをBは承諾する。


 

5. 参照URL

(遺産の換価分割のための相続登記と贈与税)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/sozoku/13/01.htm
 

Q90 換価分割の利用場面と譲渡所得税

DR166
 

 
「換価分割」とは、相続不動産を売却して金銭に換えた後、その売却代金を相続人間で分割する遺産分割方法です。
 
相続財産に不動産が多く含まれる場合は、「換価分割」を活用することで「金銭による弾力的な遺産分割」が可能となり、相続人間に不公平が起こりにくい方法と考えられています。


 

1. 換価分割の利用場面

換価分割を利用する場面は、以下のようなケースです。
 

ケース 具体例
現物分割ではうまくいかない場合
  • 遺産の多くが「不動産」など換金性の低い財産の場合
  • 相続人全員が取得を希望しない相続財産が含まれている場合
代償分割ではうまくいかない場合
  • 相続人に資金がなく、代償分割の代償金の支払いが困難な場合
不動産を利用する予定がない場合
  • 不動産に居住する予定の相続人がいない場合
  • 不動産の維持・管理が負担になる場合


 

2. 換価分割のメリットデメリット

 

メリット デメリット
  • 金銭に換えることで、不動産評価が明確になり、相続人間の不公平が生じにくい
  • 金銭での「柔軟な遺産分割調整」が可能
  • 納税資金等の確保が可能
  • 利用予定のない不動産を処分することで、資産の有効活用ができる
  • 金銭に換わるため、相続前の用途(不動産)では活用できない
  • 売却代金には「譲渡所得税」がかかる

 
 

 

3. 譲渡所得税との関係

(1) 譲渡所得税がかかる

「換価分割」による不動産の売却には、譲渡所得税がかかります。
各相続人は、相続発生時点(被相続人の死亡時点)で、相続財産を取得します。
つまり、換価分割による不動産の売却は、「相続開始時点で既に取得済の財産」を譲渡する行為であることから、「譲渡所得税」の対象となります。


 

(2) 譲渡所得税の計算

換価分割で売却した「譲渡所得税」の計算は、換価時に「代金の分割割合が確定しているかどうか?」で各人の税額が変わってきます。
 

換価時に換価代金の取得割合が確定している場合 あらかじめ確定済の「取得割合で分割」したものとして譲渡所得税を計算する。
換価時に取得割合が確定しておらず、後日分割する場合 原則として「法定相続分で分割」したものとして、譲渡所得税を計算する。
ただし、確定申告期限までに、換価代金が分割され、相続人全員がその代金の取得割合に応じて確定申告した場合は、その申告も認められる。

 
(ご参考~単独登記者に譲渡所得税が全額課税された判例)
過去の判例で、換価分割を行うために、「便宜上単独名義で売却した人に全額譲渡所得税が課税」された、
という結論の事例があります。以下抜粋です。
 
10908 広島地方裁判所 不当利得返還請求事件 平成20年2月29日棄却・確定 抜粋

・・・表面的には原告があえて単独相続するという形式を採っていること、・・・
相続人間の潜在的な合意についてあずかり知らない税務署としては、原告が本件不動産を単独取得したとの前提で申告を指導したとしても、やむを得ないところである。
原告としては、あえて単独相続の形式を採るからには、・・不利益も勘案し・・他の相続人との間で調整して対処しておくべきであった。

 
ただし、この判例は、純然たる相続分に応じた分配がされていなかったケースですので、例外的なケースだと思われます。
とはいえ、換価分割を行う場合は「遺産分割割合」を明確にして、きっちり各人が所得税確定申告を行う必要がある、とは言えますね。


 

4. 相続税が課税される対象

相続税は、相続開始時点における相続財産の評価額で計算されますので、相続後に換価分割した場合でも、換価後の現金に相続税が課税されるわけではありません。
相続税の課税対象は、あくまで「相続時の不動産評価額」となります。


 

5. 単独名義の換価分割と贈与税の関係

換価分割に際し、便宜上、不動産名義を「単独名義」で行う場合があります。
この場合は、「贈与税との関係の論点」が生じます。この点に関しては、次回解説します。


 

6. 参照URL

(換価分割と譲渡所得税)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/joto/09/01.htm
 
(10908 広島地方裁判所 不当利得返還請求事件 平成20年2月29日棄却・確定)
https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/soshoshiryo/kazei/2008/index.htm
 

Q89 遺産分割の種類(現物分割・換価分割・代償分割)

DR165
 

 
遺産分割の代表的な方法には、「現物分割」「代償分割」「換価分割」の3種類があります。
3種類それぞれの方法を組み合わせることも可能です。


 

1. 現物分割とは?

遺産を、物理的にそのままの形で分割する方法です。
例えば、「A銀行の預金は長男に分割」、「1筆の土地を2筆に分割して兄弟で分割する」などです。
 
現物分割は、最もシンプルで簡単な方法ですが、それぞれの財産価値がバラバラな場合は、相続人の間で公平に分割できない場合もあります。
 
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2. 代償分割とは?

代償分割とは、一度、特定の相続人が相続分を超える「遺産現物」を相続し、
その代わりに、もらい過ぎた分(超過分)を、他の相続人に金銭で支払う方法です。
 
例えば、「会社の工場や非上場株式」などの相続財産は「分割」せず後継者である相続人が一括で相続する方が有用です。
そこで、これらの財産は後継者がすべて引き継ぎ、もらいすぎた分(超過分)を、その他の相続人に金銭等で支払い、相続配分を調整します。
 
代償分割では、金銭での調整が可能な点で柔軟な遺産分割が可能ですが、
受け渡す資金(代償金)を確保しなければいけない、というデメリットがあります。
なお、「代償分割で支払われる金銭」には「譲渡所得税」はかかりません。
 
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3. 換価分割とは?

換価分割とは、分割対象の「遺産現物」を売却して金銭に換えた後、相続人間で分割する方法です。
遺産が「不動産」など換金性の低い財産の場合、そのままの状態では「現物分割」はうまくいきません。
そこで、前もって不動産等を売却し、「売却代金」を各相続人の遺産分割割合に応じて、金銭で配分します。
また、相続財産の中に相続人全員が相続を希望しない財産がある場合や、代償分割の代償金の確保が難しい場合にも利用されます。
 
換価分割では、相続人間の公平性は確保できますが、いったん不動産等を売却して金銭の形に換えることになるため、相続前の用途で利用を継続できないというデメリットがあります。
なお、「遺産現物」を売却した代金には「譲渡所得税」がかかります。
 
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Q88 遺産の一部分割って?

DR164
 

 
すべての遺産分割を行う前に、遺産の一部だけを先に「遺産分割協議」で決定することも可能です。
「一部分割」と呼ばれます。(⇔すべての遺産の分割は「全部分割」)


 

1. 遺産の一部分割とは?

「一部分割」とは、相続人全員の合意のもと、遺産の一部を分割する方法です。
例えば、相続財産のうち、預金だけを先に「遺産分割協議」で相続人を決定する場合などです。
相続人全員が合意済の場合は、「一部分割」を行うことも可能です。
 
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2. どういう場合に行われる?

「一部分割」を行うことで、実務上は、柔軟な対応が可能となります。
例えば、相続財産全体をどのように分割するか?までは決まっていないが、
取り急ぎ、預金口座だけを分割して支払手段を確保したい場合などには有用ですね。
 

一部分割対象資産 ケース
預 金 先に預金口座のみを分割し、相続税納付用資金を確保したい場合
不動産 先に不動産を売却して現金に換えた上、各相続人への配分額を調整したい場合(換価分割
その他 分割が困難な遺産や、争いのある遺産の分割は後回しにして、先に簡単な遺産だけを分割してしまいたい場合


 

3. 留意事項

「一部分割」の場合、全相続財産のうち「一部分のみ」の相続人が確定し、その他の財産の相続人は確定していない状態です。
したがって「一部分割」の時点で、相続人間の話し合いにより、将来分割予定の財産につき「一定の取り決め」をしておくことが多いです。
 
このような「取り決め」については、将来、相続人の間での争いが生じないように「一部分割協議書」に記載しておく必要があります。
また、分割しやすい「預金」などだけを先に「一部分割」した場合は、分けにくい「不動産」などの分割が後回しになりますので、後々の遺産分割で協議がうまく進まない可能性もある点にも留意しましょう。