相続の豆知識 申告手続全般




Q109 相続手続きに便利な「戸籍の附票」とは?

公開日:2020/07/21 最終更新日:2020/11/26

DR186

 


 

1. 戸籍の附票とは?

戸籍の附票とは、戸籍に記載されている方の住所の履歴を記録した文書のことです。
戸籍謄本とセットで、本籍地の役所に置かれています。
 
住民票の場合、現住所と1つ前の住所しか記載されていませんが、戸籍の附票は、戸籍が作成された時点からその後の住所が記載されています。
 
なお、住所変更があった場合、市役所等に「住所変更」を届け出ると、同時に「戸籍の附票」にも追加記載が行われます。


 

2. どういった場合に利用?

戸籍の附票は、戸籍に記載されている方の昔の住所をたどらないといけない場合に便利です。
具体的に必要な場面は、以下のとおりです。


 

(1) 現住所の分からない相続人が現れたとき

遺産分割協議などを行う場合、相続人全員での協議、署名が必要となりますが、相続人と連絡が取れず、その方の現住所がわからない場合があります。
この場合、「戸籍の附票」には、住所が記載されていますので、連絡の取れない相続人の住所を把握できる場合があります(「戸籍謄本」本体には住所は記載されていない)。
つまり、相続人の「本籍」さえわかれば、「戸籍の附票」で、その方の住所をたどることが可能です。


 

(2) 被相続人の財産名義が古い住所の場合

被相続人名義の不動産等を名義変更する場合、「登録されている不動産の住所」が、お亡くなりになった時点の住所と異なる場合があります。
登記手続では、記載されている所有者の住所と氏名が一致する「証明書類」が必要となります。
この場合、「住民票」では上記の証明ができませんので、過去に登録された「戸籍の附票」をもとに、不動産の相続手続を進めることになります。


 

3. 留意事項

戸籍の附票に記載されている住所は、その戸籍に本籍がある期間だけです。
例えば、結婚等により戸籍を抜けた場合、その後の住所は、新しい戸籍に記録されます。
 
また、戸籍と同様に、様式変更などにより「改製」されることがあります。
改製された場合、古い戸籍の附票(改製原附票)は5年を過ぎると破棄され、昔の住所の記録はなくなります。
「戸籍謄本」や「除籍謄本」の保管期間が150年であるのに対し、「戸籍の附票」の保管期間は、非常に短くなっています。


 

4. ご参考~戸籍の附票の除票(除附票)~

戸籍の附票の除票とは、「除籍謄本」に付随する附票のことです。
死亡、結構、離婚等により、その戸籍に記載されている人が誰もいなくなって「除籍謄本」となる場合、それに付随する附票も除票となります。
「戸籍の附表の除票」には、「戸籍作成から除籍」となるまでの「住所の履歴」が記載されています。

 

Q108 相続実務での「除籍謄本」の意味

公開日:2020/07/21 最終更新日:2020/11/26

DR185

 

 
相続財産の名義変更をする際に、銀行や法務局などから、「除籍謄本」の提出が求められる場合があります。
今回は、「除籍謄本」の内容と、相続実務で「除籍謄本」と言われた場合の実質的な意味を解説します。


 

1. 除籍謄本とは?

現在の戸籍は、「夫婦とその子供2世帯のみが単位」となっています。
子供が結婚した場合は、子供は親の戸籍から抜けて、子供夫婦が新しい戸籍を作ります。
そして、その子供夫婦に新たな子供(孫)が生まれると、その「新しい戸籍」に子供(孫)が入ってきます。
 
このように、「戸籍は最大でも2世帯まで」ですので、いずれは、戸籍には誰もいなくなります。
戸籍謄本に記載されている人が1人ずつ抜けていき、最終的に誰もいなくなると、その戸籍は閉鎖されます。
この閉鎖された戸籍を証明するものが「除籍謄本」となります。
 
まとめると、「除籍謄本」とは、死亡、結構、離婚等により、その戸籍に記載されている人が誰もいなくなった状態の戸籍の「証明書類」となります。


 

2. 相続実務での「除籍謄本」

相続実務では、「除籍謄本」という単語が、正式な意味での「除籍謄本」ではなく、単に「被相続人の死亡が記載された戸籍謄本」を指すものとして使われる場合が多いです。

 
例えば、銀行や法務局などで名義変更する場合には、「その人が亡くなったことを証明する書類」が必要となります。
その際、単に「除籍謄本をお願いします」と言われた場合は、その戸籍に記載されている人が誰もいなくなった状態の「除籍謄本」が要求されているわけではなく、単に「被相続人の死亡により除籍となった旨が記載されている戸籍謄本」を提出すれば事足ります。相続人が死亡したからといって、すべての戸籍が「除籍謄本」になっているとは限りませんので。
 
このように、実務では、単に「除籍謄本」という言葉が、「その人が亡くなったことを証明する書類」として利用されている点に注意しましょう。
単に「除籍謄本」といわれた場合は、「その人が除籍されている戸籍謄本または除籍謄本」を指しているものとして理解すれば、問題ありません。


 

3. 除籍謄本が必要になるケース

相続財産を名義変更する場合や、相続人確定、相続税申告書を提出する際に必要となります。
例えば、預金通帳、不動産、自動車、株などを名義変更する際、相続人が亡くなったことを証明する(=相続が発生したことを証明する)書類として、提出が要求されます。

 

Q87 法定相続情報証明制度とは?取得方法は?

公開日:2019/03/30 最終更新日:2019/07/21

DR163
 

 
「法定相続情報証明制度」とは、相続手続に必要な出生から死亡に至るまでの戸除籍謄本」を、1枚の紙にまとめることができるという制度です。
料金は無料で、何枚でも発行してくれますが、1枚の紙に集約するために必要な資料は、利用する側が準備・提出しなければいけません。


 

1. 「法定相続情報」とは?

「法定相続情報」は、被相続人の出生から死亡までの戸除籍謄本や住民票の除票、相続人の戸籍謄抄本、住民票の写し、本人確認書類などが、すべて1枚にまとまった資料です。
 
こんな感じの資料です。
 
190328_Q87
 
主な法定相続一覧図は、法務省HPをご参照ください


 

2. どんな場面で使う?

相続の際の名義変更など「戸籍謄本」が必要な場面で、戸籍謄本の代わりに「法定相続情報」が代用できます。
不動産や金融機関口座が多い場合など、名義変更の機会が多い場合はメリットが大きい制度ですね。
具体的には、以下の場合に利用できます。


 

(1) 名義変更時

  • 銀行口座や、株式、投資信託等の名義変更や解約
  • 不動産の名義変更登記
  • 自動車、船舶の名義変更登記
  • 生命保険の名義変更


 

(2) 相続税申告書の提出時(税務署への提出)

 

3. メリットは?

(1) 名義変更時

通常、さまざまな名義変更等の都度、戸籍謄本が必要となり、各提出先で被相続人(亡くなられた方)と相続人(残された方)の関係性がチェックされます。
この点、「法定相続情報」があれば、提出先でのチェックの時間を短縮することができます。


 

(2) 同時並行で名義変更手続等が可能

例えば、不動産名義変更のために提出した「戸籍謄本」は、手続が完了するまで返却されず、その間、他の名義変更(銀行など)が滞ってしまいます。
「法定相続情報」があれば、返却をまたず、同時並行的に複数の名義変更等が可能となります。
 
ただし、一般的に、名義変更等の際には、「戸籍謄本」以外に「遺産分割協議書」や「印鑑証明」なども必要となりますので、単純に「法定相続情報」があれば完結というわけではありません。


 

4. 取得方法

以下の3ステップです。
なお、これらの手続は、すべて代理人に委任することも可能です。
代理人は、申出人(相続人)の親族のほか、資格者(弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、行政書士)がなることができます。

 

(1) 必要書類の収集
(2) 法定相続情報一覧図の作成
(3) 申出書の記入&登記所へ提出


 

(1) 必要書類の収集

必要書類は、以下の通りです。
 

書類 取得先 返却
有無
被相続人 出生から死亡までの戸除籍謄本 被相続人の本籍地役所
住民票の除票(※2) 被相続人の最後の住所地役所
相続人全員 現在の戸籍謄本 or 戸籍抄本
住民票記載事項証明書(住民票の写し)(※1) 各相続人の住所地の役所
申出人 本人確認書類

  • 運転免許証コピー(※3)
  • マイナンバーカード表面コピー(※3)
  • 住民票記載事項証明書など
×
代理人の場合 委任状

  • 親権代理人の場合
    ⇒親族関係がわかる戸籍謄本
  • 資格者代理人の場合
    ⇒資格団体身分証明書写し等(※3)
  • 法務省HP
  • 被相続人の本籍地の役所
  • 各資格団体
  • ×

     
    (※1)任意。法定相続情報一覧図に「相続人の住所」を記載したい場合のみ提出。
    (※2)取得できない場合は、代わりに、被相続人の「戸籍の附票」が必要。
    (※3)原本と相違がない旨を記載し、申出人の記名押印が必要(=原本証明といいます)。


     

    (2) 法定相続情報一覧図の作成

    法定相続情報一覧図(被相続人と相続人の関係を一覧にした図)を作成します。
    フォームは、法務局HPにあります。
     

    • 相続放棄者、相続欠格者、遺産分割協議の結果相続しない法定相続人なども記載します(相続割合は、記載必要なし)
    • 生きていれば相続人であったが、既に亡くなっている人や、廃除を受けた人は記載しません
    • 数次相続の場合に、すべての相続をまとめて記載することはできません(1つの一覧図は、1つの相続のみ)

     
    (不備で返却されないための留意事項)

    • 法定相続情報一覧図は、「法務省所定のフォーム」がベター
    • 代理人の場合は、「司法書士」、「税理士」などの肩書を記載しないと×
    • 法定相続情報一覧図の作成日付は、戸籍謄本取得日以降の日付でないと×


     

    (3) 申出書の記入&登記所への申出

     

    交付申出書の作成
    • フォームは、法務省HPにあります。
    • 代理人の場合は、「行政書士」、「税理士」「司法書士」などの肩書記載を忘れずに。
    提出する登記所 下記、いずれかの「登記所」の選択が可能です。
    ① 被相続人の死亡時の本籍地
    ② 被相続人の最後の住所地
    ③ 申出人の住所地
    ④ 被相続人名義の不動産の所在地

     

    • 交付までの期間は、概ね1週間程度。不備がある場合は、1か月程度かかります。
    • 郵送での申出の場合は、返信用封筒と切手を同封する。(現地で交付を受ける場合は「申出書に押印した印鑑」を持参)

     

    5. 注意事項

    (1) 一度は「戸除籍謄本」等の必要書類を全部集めなくてはならない

    結論的には、相続手続きを進める上で、一度は「戸除籍謄本」等の必要書類を集めなくてはなりません。
    つまり、「法定相続情報」を入手すれば、名義変更等の手続のつど「戸除籍謄本」を持参する必要はなくなりますが、
    最初に被相続人や相続人全員の戸除籍謄本等を集めなくてはいけない手間は変わりません。


     

    (2) 法定相続情報一覧図を作成する手間

    法定相続情報一覧図は、自分で作成しなければいけません。
    専門家(行政書士、税理士、弁護士、司法書士、土地家屋調査士など)へ依頼する場合は、別途費用がかかります。
    「戸除籍謄本」の取得などをセットで依頼する場合は、依頼の価値もありますね。


     

    6. 結論

    「法定相続情報制度」は、金融機関口座や、不動産が複数ある場合など、
    名義変更の機会が多い場合はメリットが大きいと思います。
     
    ぜひ一度、検討されてみてはいかがでしょうか?
     

    Q86 相続に必要な戸籍の入手方法

    公開日:2019/03/27 最終更新日:2019/04/05

    DR162
     

     
    相続の場面では、被相続人の「出生から死亡に至るまでのすべての戸籍」を揃えなければいけません。
    具体的に・・この「戸籍謄本」は、どのように揃えるのでしょうか?


     

    1. どうやって揃える?

    大きな考え方として、戸籍は「新しいものから古いものへと遡って取得」していきます。
    被相続人(お亡くなりになられた方)の最後の本籍地で「最後の戸籍謄本」をとり、
    そこから順次さかのぼっていき、出生まで「すべての戸籍」を揃えるという作業です。
     
    想像以上に、結構な手間になるかもしれません。
    なお、被相続人の「本籍地」がわからない場合は、被相続人の「住民票の除票」を「本籍表示あり」で取得すると、
    本籍が記載されています。(「死体埋葬火葬許可証」にも本籍地は記載)


     

    (1) 「最後の戸籍謄本」を取得

    亡くなった時の本籍地で「最終の戸籍謄本」を取得します。
    この「戸籍謄本」には、死亡届受理後は「亡くなった事実」が記載されています。


     

    (2) 最後の戸籍謄本の「戸籍事項」欄を確認

    戸籍謄本の「戸籍事項欄」(上の方)には、その戸籍謄本の「作成日」が記載されています。
    また「戸籍事項欄」には、作成日のほか、以下3つのどれかが記載されています。

     

    記載内容 摘要
    「改製」の記載
    • 法改正によって、戸籍の様式が変更されたことを示します。
    • この「改製」の場合は、同じ本籍地に一つ前の戸籍「改製原戸籍」がありますので、「改製原戸籍」を入手します。
    • 入手した「改製戸籍簿」の上あたりに「改製によりこの戸籍が消除された日付」が記載されています。
      この日付が、最終の戸籍謄本の「改製日」と一致していれば、連続しています。
    「編製」の記載
    • 婚姻・離婚・養子縁組などによって変動があった場合を示します。
    • この「編製」の場合、そこに記載された本籍地( = 婚姻前の父母の本籍地など)に対して、婚姻前の父母等が筆頭者である戸籍謄本( or 除籍謄本 or 改製原戸籍)を申請します。
    • 「最終の戸籍」の戸籍作成日(編製日)と、ひとつ前の戸籍謄本の「身分事項欄」の「新戸籍編成により除籍」の日付が一致していれば、連続しています。
    転籍
    • 他の市町村から戸籍を移した場合です。
    • この「転籍」の場合、転籍前の本籍地の役所で「除籍謄本」をとります。
    • 最終の戸籍の戸籍作成日(転籍日)と、除籍謄本の「戸籍事項欄」の「除籍日」が一致していれば、連続しています。

     
    上記のように、「最後の戸籍」の内容を把握し、その「前の戸籍」との連続性を確認しながら、順に古い戸籍をたどっていきます。
    そして、被相続人の出生日よりも前の戸籍にたどり着けば、「出生から死亡に至るすべての戸籍」を入手したことになり、戸籍の入手が完了します。
    この時点でようやく「相続人が確定」します。
    一般的には、被相続人が10歳未満程度までわかる戸籍にたどり着けば、問題ありません。

     

    2. 実務上の流れ

    (1) 実務上の流れ

    • まずは、被相続人の最後の「本籍地役所」で、「相続手続で、一生分の戸籍謄本を揃えたい」とお伝えすれば、その役所で揃えられる戸籍はすべて用意してくれます。
    • 入手した戸籍の内容を確認し、「編製」や「転籍」等がある場合は、その役所では一生分の謄本が揃いません。
      その場合、次はどこで戸籍を取得すればよいか?を教えてもらい、次の場所に戸籍をもらいに行きます。

     
    以下同様・・
    こんな感じで「一生分の戸籍謄本」を揃えます。


     

    (2) 戸籍謄本を入手するために準備する資料

     

    メモ
    取得先 被相続人の最終本籍地 原戸籍は本籍地でないと取得できません
    提出物
    • 戸籍証明等交付請求書
    • 印鑑(自署の場合は不要)
    各自治体HPから取得可能
    (記載上の留意事項)

    • 請求の理由・・相続のため
    • 必要な証明書種類・・「改製」を選択
    添付書類 本人確認書類 運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど(顔写真付きの場合は1点でOK)
    提出方法
    • 役所に直接提出
    • 郵送で提出
    (郵送の場合の注意事項)

    • 返信用封筒同封(切手貼付)
    • 手数料、郵便定額小為替750円
    • 郵送の場合「戸籍証明等交付請求書」が別フォームの場合あり
    請求可能な方 筆頭者(夫)、配偶者(妻)、直径卑属(子、孫など)直系尊属(父母、祖父母等) 代理人委託も可能(※)

     
    (※)代理人に委任する場合
    代理申請の場合は、請求者からの「委任状」が必要です。
    委任状は「提出する自治体」HPでダウンロードできる所が多いです。

    • 「依頼する方」の氏名・住所を記載し、捺印
    • 「依頼される方」の氏名・住所を、依頼人が記入
    • 代理人の「本人確認書類」が必要


     

    3. 留意事項

    「戸籍謄本」を読み解く作業は、結構手間がかかります
    前の戸籍謄本との連続性を確認しながら、遡っていかなければいけません。
     
    また、誰が相続人か?という判断も必要になります。
    例えば、相続人が死亡している場合は、代襲相続の知識など、法律上の知識も必要となります。
     
    特に相続人が多い場合は、以下の状況も考えられますので、十分ご留意ください。
     

  • 必要な戸籍が多く、読み解くのが困難となり、相続人の特定ができない。
  • 顔も知らない相続人に連絡を取らなければいけないケース。
  •  
    相続人が多い場合は、割り切って専門家(行政書士、税理士、司法書士等)に依頼する方が、時間や正確性の点で、効率的かもしれません。


     

    4. 法定相続情報制度の利用

    「出生から死亡に至るまでの戸籍謄本」は、相続では様々な場面で利用します。
    相続税の申告だけでなく、銀行口座の変更(銀行)、不動産の名義変更(法務局)、自動車名義の変更(陸運局)などで必要となります。
    時間をかけて入手した「戸籍謄本」ですので、1つの手続きで利用した後は、必ず返還をしてもらうようにしましょう。
     
    また、名義変更の内容によっては、完了するまで「戸籍謄本」を返却してもらえない場合もあります。
    こういった場合は、他の名義変更が滞ってしまいますので、「法定相続情報証明制度」を利用するのもありだと思います。
     

    Q85 相続の際に必要な戸籍の種類

    公開日:2019/02/28 最終更新日:2019/03/27

    DR159
     

     
    相続の場面では、被相続人の「出生から死亡に至るまでのすべての戸籍」が必要となります。
    また、相続する側の方は、「戸籍謄本」も必要となります。
     
    なぜ、相続の場面では、「戸籍」が必要となるのでしょうか?
    今回は「相続に必要な戸籍」の内容についてまとめます。


     

    1. 相続ではなぜ戸籍がいるの?

    相続でなぜ戸籍が必要か?・・結論を先に言うと「相続人を確定するため」です。
    相続人は、民法で決められています。
     
    例えば、配偶者とお子様だけの場合、相続人は、この2人(配偶者と子)になります。
    でも・・被相続人には前妻がいて、その間に「お子様」がいるかもしれません。
    その場合は、前妻との間のお子様も「相続人」の1人になります。
     
    このように、相続の場面では、誰が「相続人」になるのか?を確定していかなければいけません。
    「戸籍」は、「正確な相続人を確定する」ために入手します。


     

    2. 戸籍とは?

    戸籍とは、生まれてから死亡までの血縁関係や、出来事を記録した公的な文書です。
    一般的に、日常で戸籍を取得する場合は「戸籍謄本」が多いですが、相続の場合には「戸籍謄本」だけでは足りません。
     
    戸籍には、大きく4種類あります。
    ①戸籍謄本、②除籍謄本、③改製原戸籍、④戸籍の附票。
    (なお、①戸籍謄本、②除籍謄本には、それぞれ「戸籍抄本」「除籍抄本」という書類もあります)
     
    相続の場合は、①だけでは足りません。
    なぜなら・・
    ①には「出生から死亡までのすべての情報が記載されていないから」なんです。


     

    3. 相続の際に必要な戸籍って?

    相続の際に必要な戸籍をまとめると、以下の通りです。
     

    対象 必要な戸籍
    被相続人 出生から死亡までの戸籍(戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍)
    相続人 相続人全員の現在の戸籍(戸籍謄本)


     

    (1) 戸籍謄本(被相続人・相続人どちらも必要)

    現在の戸籍に記載されているすべての家族情報が記載された公的な文書です。
    「現在の本籍」がある役所で発行してくれます。
     
    相続の場面で、「戸籍謄本」が必要な理由は、以下の通りです。
     

    対象 必要な理由
    被相続人 被相続人の死亡及び相続開始を確認するため。
    (被相続人が死亡した場合、戸籍謄本に死亡された旨が記載されています)
    相続人 相続人の身元を特定するため。


     

    (2) 除籍謄本(被相続人のみ)

    除籍謄本は、戸籍を除籍された全ての家族情報が記載されている公的な文書です。
    例えば、結婚や離婚、死亡などの場合には、「戸籍」から除籍されます。
     
    相続の場面では、被相続人の「除籍謄本」を取得する必要があります。
    なぜなら、現在の戸籍謄本(上記(1))には「現在の情報しか記載されていない」ためです。
     
    (戸籍法の話)
    戸籍法上、現在の戸籍は「夫婦とその子供の2世帯のみが単位」となっています。
    例えば、子供が結婚した場合は、子供は親の戸籍から抜けて、子供夫婦が新しく戸籍を作ることになります。
    この「新しくできた戸籍」には、古い戸籍の情報は一部しか転記されません。
    例えば、婚姻前や、転籍前の情報は、新しい戸籍には記載されません。
     
    また、離婚して夫婦でなくなったときは、戸籍から抜け、元の戸籍に戻ります。
    例えば、子供がいる奥様が離婚した場合、子供は夫の戸籍のまま、自分だけが元の戸籍に戻る場合を考えます。
    奥様の現在の戸籍では、自分の子どもの記載がありません。
    つまり、結婚や離婚、養子縁組等のたびに戸籍が出来たり、戻ったりしますので、
    現在の戸籍だけを見ていても、その方にお子様がいるか?までの情報は・・読み取れないのです。
     
    そこで、「除籍謄本」を取り寄せることにより、「除籍前のすべての家族情報を確認し、その方の正確な相続人の情報を確定する」必要がある、ということです。


     

    (3) 改製原戸籍

    「はらこせき」と呼ばれるものです。
    「改製原戸籍」は、戸籍法の改正等で戸籍のフォーマットが変更された際の「変更以前の戸籍」を指します。
    戸籍法の改正は、昭和32年、平成6年に行われ、その都度、新しい法律に合わせた新しい「戸籍」がつくられ、書き換えられています。
     
    しかし、この書き換えは、過去に記載されていたすべての内容をそのまま書き写すわけではなく、「その時点で有効な事項」しか、書き替えません。
    例えば、戸籍法改正前に離婚した場合、改正前の「原戸籍」には、奥様やお子様の欄には×印がつけられ、父の欄にも離婚についての事項が記載されます。
    ところが、その後の法改正では、新しい戸籍が作られると、父の欄の離婚の記載はなくなり、奥様や子供の記載もなくなってしまいます。
     
    つまり・・法改正による「戸籍の書き換え」が行われる場合、それ以前の「離婚」「死亡」等による除籍情報は省略されてしまうため、最新の戸籍だけみても、その履歴がわからないのです。
     
    そこで、法改正前の「改製原戸籍」を取り寄せることにより、改正前のすべての家族情報を確認し、その方の「正確な相続人の情報を確定する」必要があります。


     

    4. ご参考~死亡届~

    ご家族が亡くなった後、最初にするべきことは、「死亡届」の提出です。
    死亡届は、故人の本籍地、届出人の所在地(住所地)、死亡地のいずれかの役所に、死亡後7日以内に提出します。
    死亡届が受理されると、戸籍謄本にも死亡の事項が反映されます。
    その後に、死亡後のさまざまな手続きを行います。
     

    Q2 生活費や教育費に贈与税はかかるの?

    公開日:2017/01/16 最終更新日:2020/01/13

    DR005

    例えば、親から子供に金銭等を渡した場合は、「贈与税」の課税対象となります。
    でも、お子さんを育てるための「生活費」や「教育費」はどうでしょうか?
    もしこれらに税金がかかるのなら・・お子さんを育てること自体大変ですよね?
    そこで、税法上は、「扶養義務者相互間」における「生活費」や「教育費」には税金がかからないことを定めています。
    具体的に見ていきますね。

    1. 扶養義務者相互間における生活費又は教育費

    • 「通常の日常生活を営むために必要な費用」は、贈与税の課税対象とならない。
    •  教育費は「義務教育費」に限られませんので、高校や大学なども含みます。
    •  「生活費」には、治療費や養育費なども含みます。

     

    2. 「扶養義務者」って誰?

    では・・ここでいう「扶養義務者」は、誰のことを指すのでしょうか?
     
    「扶養義務者」とは、以下の方を指します。
    ① 配偶者
    ② 直系血族及び兄弟姉妹
    ③ 家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった三親等内の親族
    ④ 三親等内の親族で生計を一にする者
     
    例えば、夫から奥さんへの生活費、祖父からお孫さんへの教育費などは、扶養義務者相互間のため税金がかかりません。
    お子さんから親への生活費も同様です。
     

    3. 子供の家賃等を親が負担した場合は?

    家賃も「生活費」なので、原則、贈与税がかかりません。
    ただし、あくまで、「社会通念上適当と認められる範囲」の家賃等です。
    金額基準は特にありませんが、贈与者と受贈者の資力等を勘案して個別に判断します。
    「通常の日常生活を営むのに必要な費用」であれば、当然に税金がかかりません。
     

    4. 結婚・赤ちゃん関連

    (1) 結婚式の費用は?

    結婚式などの費用を、そもそも誰が負担するか?は、状況によってさまざまです。状況によっては、親が負担すべき場合もあります。その場合は、そもそも贈与には当たらない=贈与税の課税対象となりません。
     

    (2) 結婚後の生活資金は?

    結婚後に「通常の日常生活を営むため」に必要な家具や、購入するための金銭は、贈与税の対象となりません。
     

    (3) 出産費用・ベビー用品は?

    「生活費」には、治療費や養育費等も含まれます。例えば、検査・検診代、分娩・入院費などは、「治療費」に準ずる扱いとなり、贈与税の課税対象となりません。(保険等補てん分を除く)
    また、ベビー用品を購入するための金銭の贈与も、「通常の日常生活を営むために必要な費用」ですので、贈与税の課税対象となりません。
     

    (4) 結婚のご祝儀や出産祝いは?

    個人から受ける、「結婚や出産などのお祝い金」は、「社会通念上相当と認められる」範囲であれば、贈与税の課税対象となりません。
     

    5. 一括で支払った場合は?

    最後に注意点ですが、「生活費」や「教育費」として贈与税の対象とならないものは、必要な都度、直接贈与を行ったものが対象となります。
    例えば、数年分の「生活費」や「教育費」を一括で贈与した場合は、原則的に贈与税がかかることになります。
    例えば、親が子供に大学4年間の生活費として一括で支払った場合などは×です!
    一括で支払った場合、①預貯金で残っている部分や②生活費又は教育費に充てられなかった部分が、贈与税の対象となります。

    なお、教育資金については、一括贈与の非課税枠(租法第70条の2の2)という特例がありますので、こちらもご参照ください。
     
    ~参照URL~
    扶養義務者からの「生活費」又は「教育費」の贈与Q&A