神戸で相続のご相談なら濱田会計事務所 各線三宮駅より徒歩5分
0120-932-116
平日9:00〜18:00 ※土日でも電話対応可能です。

お問い合わせ

相続の豆知識 財産評価




Q107 側方路線に他人が設定した「特定路線価」がある場合

DR184

 

 
今回は、「正面路線価」はあるものの、「側方路線価」がない場合の論点です。
こういったケースでも、路線価がない「側方路線」に、他の土地権者が「特定路線価」を設定している場合があります。
この場合、自分の土地の評価につき「側方路線影響加算等」は行うのでしょうか?


 

1. 側方の路線価が特定路線価の場合は、側方加算は行わない

結論的には、たとえ側方路線に「特定路線価」が設定されたとしても、正面路線価がある土地については、側方路線影響加算は行われません。
特定路線価は、あくまで路線価が設定されていない道路にのみ接している宅地を評価ための路線価であり、すでに路線価に接道している宅地には何ら影響を及ぼしません。
同様に、二方路線影響加算、三方又は四方路線影響加算も影響を及ぼしません。

 

2. 事例

 

下記のA土地の相続税評価はどのように行いますか?

  • 路線価なし通路Cは、隣接地Bの土地権者により、270千円/㎡の特定路線価が設定されている。
  • A土地には側方路線はないが、正面路線価300千円/㎡が存在している。
  • 路線価なし通路Cは、不特定多数通行の公道であり、B土地の専用道路ではない。

 
200625Q106_1


 

(1) 特定路線価の設定可否

 

A土地 側方路線には路線価は存在しないが、正面には路線価があるため、特定路線価の設定はできない。
B土地 路線価が設定されていない道路にのみに接しており、不特定多数が通行する通路のため、特定路線価の設定が可能。


 

(2) B土地の「特定路線価設定」の影響は受けない

A土地を評価するにあたって、たとえ、B土地権者が設定した特定路線価が存在していたとしても、正面路線300千円のみで評価します(側方路線影響加算は行わない)
特定路線価は、あくまで路線価が設定されていない道路にのみ接している宅地を評価ためのものであり(=B土地を評価するためのみに利用)、宅地Aのように既に路線価に接道している宅地の評価には、何ら影響を及ぼしません。
 

(評価対象地Aの相続税評価額)

300千円 × 1.00* × 300㎡ = 90,000千円
* 奥行15mに対する奥行価格補正率
(A土地評価上は、隣接地Bの特定路線価にかかる側方路線影響加算は行わない)


 

3. 注意事項

路線価がある道路に接道しているにもかかわらず、側方に路線価がないからといって、間違えて特定路線価の設定をしないよう注意しましょう。
税務署も、納税者からの申請があると、誤って「設定してしまう」場合があります。
誤って、ご自身の土地評価用に特定路線価を設定して、「側方路線影響加算」を行ってしまった場合は、税額がかなり高くなってしまうことになります。


 

4. 参照URL

(側方路線影響加算等の計算――特定路線価を設定した場合)

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hyoka/03/26.htm

 

Q106「配偶者居住権」を消滅させた場合の課税関係

DR183

 

 
「配偶者居住権」は、配偶者が亡くなるまで(or 当初設定期間)まで存続し、途中で譲渡することも、当初の設定期間を変更することもできません。
しかし、合意解除や放棄などにより、途中で「消滅」させることは可能です。
 
また、配偶者が勝手に賃貸・増築等をした場合などは、一定期間後、所有者側から配偶者居住権を消滅させることも可能です(民1032条Ⅲ、Ⅳ)。
このように、何らかの形で配偶者居住権を、「途中で消滅させた」場合、「課税関係」が生じる場合があります。
今回は、配偶者居住権を消滅させた場合の課税関係をまとめます。


 

1. 対価を得て消滅させたかどうか?

配偶者居住権を消滅させた場合、有償で消滅させたかどうか?により、課税関係が異なってきます。
 

取扱い 課税される人
有償で消滅 譲渡所得として課税。
現状は、「分離課税」の対象とはなっていないため、総合課税となる。
配偶者
無償で消滅
(低廉譲渡も含む)
原則として,配偶者から贈与があったものとみなされ,消滅直前の配偶者居住権等の価額に相当する利益の額に対し贈与税が課税(相基通9-13の2 )。 居住建物等所有者
(受贈者)

 

(通常の土地建物を譲渡した場合との比較)
通常の土地建物の譲渡 配偶者居住権の有償消滅
分離課税 総合課税

 
配偶者敷地利用権は、「小規模宅地等の特例」の適用が可能ですが、一般的な土地の譲渡の課税方式である「分離課税」ではなく「総合課税」になります。

 

2. 有償で消滅させた場合の譲渡所得算定方法

譲渡所得金額(総合課税)= 譲渡価額 -(取得費 + 譲渡費用)– 50万円


 

(1) 「短期」か「長期」かで課税対象が異なる

「短期譲渡所得」か「長期譲渡所得」か、で課税対象が異なります(所22、33、38)。
 

区分 課税対象
短期譲渡所得 全額
長期譲渡所得 2分の1が総合課税の対象


 

(2) 長短区分の判定方法

「長短」の判定は、結論的には「被相続人の取得時期」を引き継いで長短区分を行います。
 

短期譲渡所得 被相続人の取得時期より5年内の消滅
長期譲渡所得 被相続人の取得時期より5年超の消滅

 
原則的な長短区分は、「配偶者居住権等」の取得日以後5年内の譲渡かどうか?という条文構成となっていますが、一定の消滅の場合は、短期譲渡所得から除く規定があり(所施令82)、実質的には上記の判定となります。

 

3. 取得費の算定方法

(1) 配偶者居住権(建物)

居住建物等の取得費(※1)× 配偶者居住権等割合(※2)– 減価の額(※3)

(※1)建物取得日 ⇒ 配偶者居住権取得時までの「価値減少額」は減額する
(※2)配偶者居住権設定時における ①配偶者居住権等の価額 ÷ ②居住建物等の価額
(※3)配偶者居住権の取得費 ÷ 配偶者居住権の存続年数 × 取得時から消滅時までの年数


 

(2) 配偶者敷地利用権(土地)

居住土地の取得費(※)× 配偶者居住権等割合

(※)「配偶者敷地利用権の取得費 ÷ 配偶者居住権の存続年数 × 取得時から消滅時までの年数」は、取得費から控除する。


 

4. ご参考~配偶者居住権等消滅前に、対象建物等を譲渡した場合の取得費

配偶者居住権の目的となっている建物や土地等を、配偶者居住権等が消滅する前に譲渡した場合、「取得費」は以下で算定します。
 

居住建物等の取得費 – 配偶者居住権等の取得費

 

Q105 無道路地評価の方が特定路線価設定より節税?

DR182

 

 
以前お伝えしたとおり、「特定路線価」の設定は、義務ではありません。
今回は、「路線価のない道路のみに接している土地」の評価につき、①特定路線価を設定して評価した場合と②無道路地で評価した場合を比較してみます。


 

1. 事例

下記の対象地Bの相続税評価を行ってみましょう。

  • 路線価なし道路Cは、不特定多数の者の通行の用に供されている公道、建築基準法上の道路とします(対象地Bの専用道路ではない)。
  • 対象地Bは、路線価が設定されていない道路にのみ接しています。

 

(普通住宅地区)

200519Q105_1


 

2. 特定路線価の設定可否

  • 対象地Bは、路線価が設定されていない道路Cにのみに接している。
  • 道路Cは、不特定多数の通行用である。

 
要件を満たすため、特定路線価の設定が可能


 

3. 特定路線価を申請した場合

特定路線価を申請した場合、一般的には高めの路線価がつくことが多いです。
(「近隣土地」の路線価や「固定資産税評価額の倍率」を用いて算定する場合が多い。)
 
今回の例では、近隣路線価200千円を参考に、道路Cの特定路線価は、180千円/㎡と設定されたものとします。
 

(対象地Bの評価額)

 180千円 × 0.95(※)× 600㎡ = 102,600千円
(※)奥行30m奥行価格補正率(普通住宅地区)

 

4. 無道路地(旗竿地)として評価した場合

(1) 差引計算

① 想定整形地(赤線部分)

200千円(正面路線価)× 0.91(40m奥行価格補正率)× 1,400㎡ = 254,800千円

 

② かげ地部分(黒塗部分)
  • 隣接地A・・200千円(正面路線価)× 1.00(20m 奥行価格補正率)× 600㎡ = 120,000千円
  • 路線価なし通路C・・200千円(正面路線価)× 0.91(40m 奥行価格補正率)× 200㎡ = 36,400千円

 

③ 評価対象地Bの評価(青塗部分)不整形地補正前

(254,800千円 – 120,000千円 – 36,400千円)= 98,400千円
98,400千円 ÷ 600㎡ = 164千円/㎡

 

(ご参考・普通住宅地区)
奥行20mの奥行価格補正率 1.00
奥行40mの奥行価格補正率 0.91


 

(2) 不整形地補正(不整形地補正率表 注3参照)

上記(1)の差引計算後、不整形地補正等を行います。
不整形地補正は、以下のどちらか小さい方の選択が可能です(0.60が限度)。
 

① 不整形地補正率 × 間口狭小補正率 (小数点第2位未満切捨)
② 間口狭小補正率 × 奥行長大補正率 (小数点第2位未満切捨)

 
① 0.78(不整形地補正率)× 0.94(間口狭小補正率)= 0.7332
② 0.94(間口狭小補正率) × 0.90(奥行長大補正率) = 0.846
 
小さい方の小数点第2位未満を切捨、
① 0.73(小数点2位未満切捨)

⇒ 164千円 × 0.73 = 119.72千円/㎡
 

(ご参考・普通住宅地区)
不整形地補正率 0.78(普通住宅地区B(600㎡ + 200㎡)÷ 1,400㎡ = 0.5714)
間口狭小補正率 0.94(4m以上6m未満)
奥行長大補正率 0.90(40m ÷ 5m = 8倍)


 

(3) 最終的な無道路地(旗竿地)の評価

119.72千円/㎡ × 600㎡ = 71,832千円


 

5. 結論

対象地Bの相続税評価額は、それぞれ以下となります。
 

特定路線価を設定した場合 102,600千円
無道路地評価(旗竿地評価)した場合 71,832千円

 
無道路地(旗竿地)として評価したほうが、評価額は大幅に低くなりました。


 

6. 注意事項

特定路線価の申請は義務ではありませんので、一般的には「無道路地(旗竿地)」で評価した方が、相続税評価額は低くなる可能性が高いです。
ただし、対象地の場所が、路線価設定道路から大きく離れている場合(奥行が長い)、著しく相続税評価が低くなってしまうケースがあります。
その場合は、税務署から「不合理な評価方法」と判断される場合もありますので、注意しましょう。


 

7. 参照URL

(不整形地の評価)

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hyoka/03/16.htm
 

(奥行価格補正率等)

http://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/02/07.htm

 

Q104 配偶者居住権で相続税が大幅に安くなる?

DR181

 

 
前回お伝えした通り、「配偶者居住権」については相続税上一定の評価が行われるため、「相続税額」にも影響を与えます。
今回は、「配偶者居住権」と相続税額に与える影響につき、具体例を用いて解説します。


 

1. 配偶者居住権評価により「その他の権利」の相続税評価額は低くなる

配偶者居住権とは、「配偶者」が、相続後も家に住み続けることができる権利です。
配偶者居住権の設定により、従来の所有権が
①配偶者所有権と②所有権(以下「その他の権利」といいます)に区分されます。
 
従来の所有権の相続税評価額は、上記①+②ですので、①「配偶者居住権」に相続税上の評価額が付されると、必然的に②「その他の権利」の評価額は、その分だけ低くなります。
 
200519Q104_1


 

2. 「配偶者居住権」は死亡により消滅し、相続税はかからない

「配偶者居住権」は、配偶者死亡時点で消滅するため、「配偶者居住権」にかかる相続は発生しません。
つまり、「配偶者居住権」にかかる相続税課税関係は生じないことになります。


 

3. 相続税額の節税につながる?

「配偶者居住権」が消滅すると、「その他の権利」所有者は、元の制約のない「完全な所有権」を取得することになります。
先ほどお伝えしたとおり、当初「配偶者所有権」を設定した時点では、「その他の権利」は、「配偶者居住権」の評価額だけ、相続税評価額が低くなります。
 
一方、将来配偶者死亡により「配偶者居住権」が消滅すると・・?
「その他の権利」は、「完全な所有権」に戻るにもかかわらず、「配偶者居住権」に相続税の課税関係は生じません。
つまり、当初「その他の権利」を相続した時点では、低い相続税評価額で相続が可能・・ということになりますよね。
具体例で解説します。

 

4. 具体例

(1) 配偶者居住権を設定しない場合

  • 夫、妻、子供1人。夫が亡くなり、その後、妻が亡くなったケース。
  • 夫名義の自宅の相続税評価額は100,000千円(評価額は二次相続時も同様とする)。
  • 一次相続では妻が全額相続、二次相続は子が全額相続。
  • 妻固有の財産はゼロとする。

 

① 一次相続

妻が全額相続しますが、妻には相続税上「配偶者控除」がありますので、課税価格160百万円までは相続税がかかりません。
したがって、一次相続での相続税額はゼロとなります。

 

② 二次相続

お子様は、母親の相続財産100,000千円につき相続税が課税されます。
 

課税遺産総額 100,000千円 -( 30,000千円 + 6,000千円 × 1人)= 64,000千円
子の相続税額 64,000千円 × 30% – 700万円 = 12,200千円

 

③ 相続税総額

一次及び二次相続トータルでの相続税額は、12,200千円となります。


 

(2) 配偶者居住権を設定した場合

  • 上記自宅につき、「配偶者居住権」を設定した。
  • 「配偶者居住権」評価額は90,000千円、「その他所有権」評価額は10,000千円とする。
  • 一次相続では、妻は「配偶者居住権」を相続し、子は「その他の所有権」を相続する。
  • 妻固有の財産はゼロとする。

 

① 一次相続

妻は「配偶者控除」適用により相続税がかからない点、上記(1)同様です。
一方、お子様は「その他の所有権」を相続しますので、相続税が課税されます。
 

課税遺産総額 100,000千円 -( 30,000千円 + 6,000千円 × 2人)= 58,000千円
法定相続割合での相続税総額 妻58,000千円 × 1/2 × 15% – 500千円 = 3,850千円
子58,000千円 × 1/2 × 15% – 500千円 = 3,850千円

合計 7,700千円
妻の相続税額 7,700千円 × 9,000/10,000 = 6,930千円 ⇒ 配偶者控除により税額ゼロ
子の相続税額 7,700千円 × 1,000/10,000 = 770千円

 

② 二次相続

「配偶者居住権」は、配偶者死亡により消滅しますので、二次相続でお子様が相続する財産は0となり、相続税はかかりません。

 

③ 相続税総額

一次及び二次相続トータルでの相続税額は、770千円となります。


 

(3) 結論

「その他の権利」は、「配偶者居住権」の分だけ評価額が低くなるため、「一次相続」で相続するお子様の相続税額は低く抑えられます。
一方、二次相続時には、配偶者居住権は既に消滅しているため「配偶者居住権」にかかる相続税は課税されません。
 
つまり・・お子様が相続した「その他の権利」は、配偶者死亡後、元の完全な所有権に復活し「価値が増加する」にもかかわらず、相続税がかからない(=「配偶者居住権」に相続税が課税されない)という不思議な結論になります。
同じ所有権を取得するはずなのに、上記(1)と(2)では、相続税額が大きく異なっています。
 
現状は「配偶者居住権」に「みなし相続財産」としての課税規定もありませんので、「配偶者居住権」設定により、大幅な相続税節税ができる可能性があると考えられます。


 

5. 小規模宅地等の特例の適用も可能

配偶者居住権については、「小規模宅地等の特例」の適用が可能です。
小規模宅地等の特例は、居住用土地等につき評価額が80%減額できる制度です。


 

6. 注意事項~合意解除と放棄の場合は贈与税が課税される

配偶者死亡時に相続税が課税されることはありませんが、配偶者居住権の「合意解除」と「放棄」があった場合には、「贈与税」が発生することが明文化されています。

 

Q103 配偶者居住権の具体的評価方法

DR180

 

 
前回お伝えしたとおり、民法改正により、2020年4月以後の相続より「配偶者居住権」という新たな権利が認められます。
「配偶者居住権」を設定する場合、従来の不動産所有権が「配偶者居住権」と「その他の権利」に区分されます。
今回は、この「配偶者居住権」「その他の権利」の相続税上の評価方法を解説します。


 

1. 配偶者居住権の存続年数により評価がかわる

「配偶者居住権」は、存続年数を自由に設定できます。
例えば、「任意の年数」も可能ですし、「死ぬまで一生涯の年数」を存続年数として設定することも可能です。
この「配偶者居住権」の存続年数によって、相続税評価額はかなり変わってきます。

 

2. 配偶者居住権がある場合の建物の評価方法(相23条の2)

(1) 一般的な建物の相続税評価額

一般的に、建物は「固定資産税評価額」をもとに、相続税評価額を計算します。


 

(2) 配偶者居住権がある場合

建物全体の「固定資産税評価額」(上記(1))を、①その他の権利部分と②配偶者居住権」部分に区分して評価します。
計算方法は、最初に①その他の権利部分の評価額を算定し、差引で②配偶者居住権の評価額を算定します。

 
200416Q103_3
 

① 「その他の権利」の評価

以下の式で評価を行います。
 
200416Q103_1_3
(A) 建物残存耐用年数 = 建物法定耐用年数 – 経過年数
⇒居住用のため、通常の耐用年数 × 1.5倍で計算
(B)「配偶者居住権の存続年数」に応じた民法法定利率による複利現価率
⇒2020年4月以後の民法法定利率は、「年3%」となります

 
式は難しいですが・・ イメージは以下です。
 

分母 現在の建物に、あと何年くらい住めるのか?(建物残存耐用年数)
分子 配偶者居住権消滅時の「残存耐用年数」を示します。
建物残存耐用年数のうち「配偶者居住権の存続年数」を引くと、残りどれくらいの年数住めるのか? (=その他の権利部分)
上記分数の意味 配偶者居住権設定時の「残存耐用年数」に占める「消滅時の残存耐用年数」を示します。

 
この分数割合に、完全な所有権の価値である「固定資産税評価額」を掛け合わせることにより、「配偶者居住権消滅時の建物の価額」を算定しています。

 

  • 配偶者居住権の存続年数
  • 「終身」にした場合は、「平均余命年数」(厚生労働省 完全生命表 )より算定します。
    終身以外の場合は、「遺産分割協議等により定められた」配偶者居住権の存続年数となります
    (上記の平均余命年数が上限)。

  • 複利原価率
  • 年3%の複利原価率は、国税庁HPに記載されています。

 

③ 「配偶者居住権」の評価

固定資産税評価額 – 上記①となります。

 

3. 配偶者居住権がある場合の土地の評価方法

(1) 一般的な土地の相続税評価額

「路線価」あるいは「固定資産税評価額」をもとに相続税評価額を計算します。


 

(2) 配偶者居住権がある場合

土地全体の「路線価」あるいは「固定資産税評価額」(上記(1))を、①その他の権利部分と②配偶者居住権部分に区分して評価します。考え方は、建物と同じです。

 
200416Q103_3
 

① 「その他の権利」の評価

以下の式で評価を行います。
200416Q103_4

 

② 配偶者居住権の評価

土地の相続税評価額 – ①


 

4. 具体例

 

  • 相続時の配偶者(妻)の年齢 80歳
  • 配偶者居住権の年数 終身
  • 建物 鉄筋コンクリート(法定耐用年数70年)築年数20年
  • 建物 相続税評価額3,000万円 土地相続税評価額4,000万円
  • 80歳女性の平均余命年数12年(複利原価率0.701)


 

(1) 建物

① 「その他の権利」の評価

200416Q103_2
 

② 配偶者居住権の評価

3,000万円 – 1,598.28万円 = 1,401.72万円


 

(2) 土地

① 「その他の権利」の評価

4,000万円 × 0.701 = 2,804万円

 

② 配偶者居住権の評価

4,000万円 – 2,804万円 = 1,196万円


 

(3) 評価額まとめ

全体 その他の権利 配偶者居住権
建物 3,000 1,598.28 1401.72
土地 4,000 2,804 1,196

 
なお、「経過年数」が「法定耐用年数」を超えている場合など、結果的に計算式がマイナスになる場合もありえます。
その場合、「その他の権利の評価」はゼロで計算します。
したがって、計算式がマイナスの場合は、全額が「配偶者居住権の評価」になります。
 

Q102 2020年4月から認められる配偶者居住権とは?

DR179

 

 
民法改正により、2020年4月以降の相続より「配偶者居住権」という権利が認められるようになりました。
最近、新聞でも、ちらほら名前が出るようになりましたね。
名前の通り、配偶者自身に認められる権利ですが、この権利の創設により、相続税上の評価及び税額への影響もあります。
今回は「配偶者居住権」の概要をまとめます。


 

1. 配偶者居住権とは?

簡単に言うと、「配偶者」が、相続後も家に住み続けることができる権利です。
配偶者が家に住み続けるのは当然では・・?と思われる方もいるかもしれません。
しかし、配偶者が、家の「所有権」を相続しない場合、家には住み続けられません。
 
そこで今回、民法改正により、所有権とは別に「配偶者居住権」という新たな権利を創設し、所有権を相続しなくても「配偶者居住権」を相続すれば、家に住み続けることが可能となりました。
図で示すと以下になります。
(以下、配偶者居住権以外を「その他の権利」(=所有権)と略します)
 
200416Q102_1
 
従来の所有権が、「配偶者居住権」と「その他の権利(所有権)」の2つに分かれるイメージです。
「その他の権利」には、従来の所有権のうち、「住む権利」以外すべてが含まれています。
例えば、家を売却して代金を受け取る権利などは「その他の権利」の方に含まれています。
ただし「住む権利」だけが認められていないのです。


 

2. なぜ配偶者居住権が必要?

でも・・なぜ「従来の所有権」を「配偶者居住権」と「その他の権利」に区分する必要があったのでしょうか?
いまいち・・状況が浮かばないかもしれませんね。
簡単な例で説明します。
 

  • 同居する夫と妻(後妻)のうち、今回、夫が亡くなった。
  • 夫には「実子」が1人いるが、妻(後妻)と実子は、ほとんど面識がない。
  • 夫の相続財産は、不動産3,000万円のみしかない(極端な例です)。
  • 妻は、現金をほとんど所有していない。

 
上記のように血のつながらない「後妻」と「子」の場合、公平に「法定相続分」(2分の1ずつ)で相続することになるかと思います。しかし、夫の財産は「不動産」のみで、妻は現金を保有していません。
この状況だと・・妻は、不動産を売却して、1,500万円の現金を作って、子に渡すしかありません。
 
この点「配偶者居住権」がある場合はどうでしょう?
仮に「配偶者居住権」の価値が1,500万円の場合、「その他の権利」の価値は、1,500万円(3,000-1,500)になります。
「配偶者居住権」が権利価値として認められる場合、妻は家を売却することなく、妻「1500万円の配偶者居住権」、子「1,500万円のその他の権利」を相続することが可能です。
 
その結果、奥様は住み慣れた家に住み続けることが可能ですし、お子様も「1,500万円の価値があるその他の権利」を相続することが可能になります。
 
「配偶者居住権」は、最低限、住む権利だけは配偶者に残してあげよう!という、配偶者を手厚く保護する制度となります。


 

3. 配偶者居住権の効果

「配偶者居住権」を活用すると、一般的に、以下の効果が見込まれます。

 

  • 配偶者に「居住権」という手厚い権利が保護される。
  • 遺産分割がスムーズになる場合がある。
  • 従来の所有権相続税評価額よりも、分割された「配偶者居住権」「その他の権利」各々の評価額は低くなるため、各人の相続税が安く収まる場合がある。
  • 配偶者が、低い相続税評価額の「配偶者居住権」を相続すれば、法定相続分に達するまで「他の現金等の相続財産」を取得することが可能になる。


 

4. 配偶者居住権を取得できる要件

配偶者の居住権確保と、第三者を保護する観点で、以下の要件が必要となります。

 

  • 相続発生時点で、自宅に居住していた配偶者にのみに認められる。
    賃貸部分は×。別居している場合も×。
  • 相続発生時点で、建物が配偶者以外の共有名義の場合は×
  • 対抗要件として「配偶者居住権」の登記が必要。


 

5. 配偶者の死亡により消滅

「配偶者居住権」は、配偶者のみに認められた権利ですので、配偶者が死亡すると消滅します。
「配偶者居住権」は、相続財産として誰かに引き継ぐことはありません。
「配偶者居住権」が消滅すると、「その他の権利」所有者が、制約のない「完全な所有権」を取得することになります。
したがって「配偶者居住権」消滅後は、住む権利はもちろん、完全な自由な権利を行使できることになります。


 

6. 相続税上の評価が行われる

配偶者居住権は、「配偶者」以外には認められませんので、売却価値自体はありません。
しかし、相続税上、この「住む権利」には何らかの財産価値があるものとして、「一定の評価額」が算定されます。
 
「配偶者居住権」に相続税評価が行われるということは・・?
必然的に、もう片方の「その他の権利」の評価額は、その分下がることになります。
「所有権」と「借地権」の関係に似ていますね。
これはつまり・・完全な「所有権」よりも低い相続税評価額で収まる「その他の権利」を取得すれば、従来の所有権を相続する場合と比べて、相続税が下がることを意味します。
「将来、完全な所有権に戻る」んですよ??だいぶ得だと思いませんか?


 

7. 留意事項

「配偶者居住権」は、配偶者にとっては、非常に「優遇された権利」を取得できることになりますが、逆に言うと「その他の権利」を取得した方は権利が制限されるため、ある意味、不公平な制度とも言えます。
 
先の例の場合、お子様は「その他の権利」をもらったところで、住むことができないだけでなく、実質売却もできません。
にもかかわらず「その他の権利」も、相続財産として課税対象となります。
こういった例の場合、お子様は何の活用もできない家を相続する意味はなく、しかも、その時点で相続税が発生する可能性もある・・ばからしいと思うでしょうね。
そういった意味で、「配偶者居住権」は、相続人同士でもめる原因になりかねません。
 
「配偶者居住権」の設定は任意ですので、この辺りも十分に考慮して選択する必要があると思われます。
場合によっては、「配偶者居住権」を活用せず、遺言で「完全な所有権を奥様に相続させる」と記載しておく方が、無難な場合もあるでしょうね。


 

8. 修繕費や固定資産税の負担は?

「現状維持に必要な修繕費」の負担は、「配偶者居住権者」となります。
また、「毎年の固定資産税」の負担も、「配偶者居住権者」となります。
しかし、税法上の所有者は、あくまで「その他の権利保有者」となるため、固定資産税課税通知などは「その他の権利者」に通知され、その後、実質負担者である「配偶者居住権」保有者に請求する形になります。

 

Q101 特定路線価は設定申請するべきか?

DR178

 

 
実務上、路線価地域内でも、土地の「路線価」が設定されていない道路があります。
こういった、土地の「路線価」がない場合、どうやって相続税評価をするのでしょうか?
今回は、路線価が設定されていない場合に、税務署に申請して設定する「特定路線価」につき解説します。


 

1. 特定路線価って?

路線価がついていない土地は、税務署に「路線価設定の申し出」をすることができます。
この「申し出」により、税務署が設定した路線価は、「特定路線価」と呼ばれます。
特定路線価は、通常、約1ヶ月程度で設定されるのが一般的です。

 

2. 特定路線価を設定できるケース

(1) 不特定多数の通行用の道路のみ

特定路線価が設定できるのは、「不特定多数の者の通行の用に供されている」道路だけです。
「特定の者」の通行の用に供されている道路(専用通路)には、特定路線価は設定できず、宅地の一部として一体評価することになります。
 

路線価は宅地の価額がおおむね同一と認められる一連の宅地が面している路線ごとに設定する・・路線とは、「不特定多数の者の通行の用に供されている道路をいう」(財基通14)


 

(2) 建築基準法上の道路が対象

特定路線価が設定できる道路は、「建築基準法」の道路です。
「建築基準法上の通路に接していない土地」には、建物自体の建設ができませんので、特定路線価を設定したとしても、そこまでの価値があるとは思えません。
そこで、「建築基準法の道路に接していない土地」は、一般的には特定路線価の設定申請はせず、無道路地として評価します。
 

(建築基準法上の道路)
建築基準法42条Ⅰ①~⑤、42条Ⅱ、43条Ⅰ但書の許可を受けた道路


 

(3) 側方路線や裏面路線には設定できない

「路線価の設定されていない道路のみに接している宅地」しか、特定路線価は設定できません。
例えば、路線価がある道路と、路線価のない道路の両方に接道している土地については、特定路線価の設定はできません。
逆に言うと、「側方路線」や「裏面路線」には、特定路線価の設定はできないということですね。
 

路線価地域内において・・路線価の設定されていない道路のみに接している宅地を評価する必要がある場合には、・・・「特定路線価」・・を納税義務者からの申出等に基づき設定することができる(財評基通14-3)

 

(正面路線価はあるが、側方に路線価がない土地の評価)

この場合、正面路線価のみで評価します。
つまり、側方路線影響加算、二方、三方又は四方路線影響加算は適用されず、相続税評価額は低く抑えられます。
公道でもない道路に接しているからと言って、評価が加算されるのも・・変ですよね。
 
なお、特定路線価は、評価する対象の土地専用のものです。
たとえ、隣接する他の土地に設定された「特定路線価」が存在したとしても、当該特定路線価は、自分の土地を評価する際の路線価としては利用しません。
つまり、設定された特定路線価は「他の土地の評価」には影響を与えません。

 

3. 特定路線価は設定すべきか?

(1) 特定路線価は「高め」に設定される

特定路線価を申請した場合、通常は「高めに設定」されることが多いため、特定路線価を申請した結果、相続税評価額が高くなってしまう可能性は高いです。
 
路線価がついていない道路は、「私道」や「建築基準法上の道路ではない」場合がほとんどです。
こういった道路には、本来、特定路線価は設定できないはずなんですが・・税務署に申請すれば、実務上は、特定路線価が設定されてしまうことが多いです。
 
しかも・・特定路線価は、近隣土地や固定資産税評価額等を参考に設定されるため、思った以上に「高い金額」で設定されてしまいます。
 
特定路線価の設定は、「強制ではなく、あくまで任意」ですので、むやみやたらに申請するのが得策とは限りません。


 

(2) 実務上は?

私道」は宅地に含めて評価、「建築基準法上の道路でない」場合は、無道路地として評価した方が、ほとんどの場合、相続税評価は安くなります。無道路地の場合は、「旗竿地」評価で、相続税評価額を下げることができる場合もあります。
 

結論ですが・・特定路線価を設定申請する前に、まずは「無道路地、旗竿地としての評価ができないか?」を検討することが、相続税評価の観点からは有用かなと思います。
 
なお、「建築基準法上の道路かどうか?」は、役所などで確認ができます。

 

Q100 土地の間口距離の算定方法 / 迷いやすい事例

DR177

 

 
相続税上、路線価地域の土地は、原則として「土地の面積×路線価」で評価を行います。
しかし、実際の土地の形状は、きれいな「整形地」とは限りません。
「不整形地」の場合は、利用使途が限定されるため、相続税評価額が一定額減額されます。
そこで今回は、「不整形地」を評価する際に必要となる「間口距離」につき解説します。


 

1. 間口距離って?

間口距離とは、土地が「道路に接している」長さのことです。
例えば、左の土地は間口距離20m、右の土地は間口距離10mです。
 
191220Q100_1


 

2. 間口距離が必要な場面

「間口距離の長さ」は、不整形地を評価する際の「計算上の奥行距離」を算定する場面で利用します。
 

計算上の奥行距離 = 土地面積 ÷ 間口距離(道路に接している長さ)

 
上記式を見ると、「計算上の奥行距離」を算定するためには、「間口距離」の情報が必要となることがわかりますね。


 

3. 迷いやすい具体例~曲がった道路に面している場合~

実際の土地の形状は、さまざまなパターンがありますので、実務上、「間口距離」の把握に迷うことは多くあります。
以下、「迷いやすい間口」の事例を記載します。
 

下記の土地の「間口距離」は・・? 間口が途中で曲がっています

 
191220Q100_2

 
上記のような土地の場合、以下の2ステップにより「間口距離」を確定します。

(ステップ1)
各路線価を基準とした「想定整形地」を作成し、面積が小さい方の間口を採用
 
(ステップ2)
ステップ1で採用した間口距離と、実際面している間口距離の短い方を採用


 

(1) ステップ1 各路線を基準とした「想定整形地」を作成

間口距離を計算するために、「想定整形地」と呼ばれる長方形の土地を作成します。
路線①を基準にした「想定整形地」と、路線②を基準にした「想定整形地」を作成し、いずれか面積が小さい方の「間口距離」が採用されます。

 

① 路線①を基準とした想定整形地

191220Q100_3

 

② 路線②を基準とした想定整形地

191220Q100_6

 

③ 結論

①300㎡ < ②600㎡のため、小さい方①300㎡(路線①を基準とした想定整形地)を採用し、間口距離は20mとなります。


 

(2) ステップ2 実際面している間口距離と比較し、短い方を採用

次に、実際に道路に面している間口距離の長さと、ステップ1で採用した間口距離と比較し、短い方を採用します。
 

① 実際面している間口距離 17m + 5m = 22m

 

② ステップ1で採用した間口距離 20m

 

③ 結論

① > ②のため、短い方②を採用⇒ 20mとなります。

 

Q99 相続税法上の奥行距離の求め方

DR176

 

 
路線価地域の土地の場合、相続税上は、「土地の面積 × 路線価」で算定します。
しかし、土地の奥行が長い場合や短い場合は、土地の利用価値が下がるため、相続税評価額は、その分下がります。
一般的に「奥行価格補正」と呼ばれています。
 
(なお、倍率方式の評価に使用する固定資産税評価額は、奥行価格補正など土地の形状による価値の減少をすでに織り込んでいるため、奥行価格補正を行う必要はありません。)


 

1. 奥行価格補正率

評価対象地の奥行の長さに応じて、相続税法上は、奥行価格補正率が定められています。
以下の表になります。
横軸は地区、縦軸は奥行距離、交わったところが「奥行価格補正率」となります。
 
191110Q99_1


 

2. 具体例

  • 下記の土地ABは、同地域(普通住宅地区)、同㎡数(400㎡)、路線価同じ(200千円/㎡)
  • 異なる点は、奥行のみ(土地A 20m、土地B 40m)
  •  
    (普通住宅地区)
    191114Q99_2_3


     

    (1) 評価対象地A(奥行20m)


      200千円 × 400㎡ × 1.00(20mの奥行価格補正率)= 80,000千円


     

    (2) 評価対象地B(奥行40m)


      200千円 × 400㎡ × 0.91(40mの奥行価格補正率)= 72,800千円

     
    どうですか?
    土地A、Bはどちらも400㎡ですが、奥行40mの土地Bの方が、相続税評価額は、かなり下がりましたね。
     
    (ご参考)

    奥行20mの奥行価格補正率 1.00
    奥行40mの奥行価格補正率 0.91


     

    3. 不整形地の場合

    実際の土地は、正方形や長方形といったキレイな土地(= 整形地といいます)とは限りません。
    三角形や旗竿地など地形は様々です。
    こういった場合に、奥行距離をどうやって求めるのか?・・迷いそうですね。


     

    (1) 結論

     奥行距離は、下記①②のどちらか短い方と決められています。
     

      ① 計算上の奥行(土地面積 ÷ 間口距離(道路に面している長さ))
      ② 実際の奥行(想定整形地の奥行)


     

    (2) 具体例

    下記の不整形地の奥行距離は?
    (図の表現上、キレイな三角形に見えますが、実際はきれいな三角形ではない

     
    (普通住宅地区)
    191111Q99_3

    ①計算上の奥行

      330㎡(実際㎡数)÷ 20m(間口距離)= 16.5m

    ②実際(想定整形地)の奥行

      30m

    ③小さい方

      16.5m < 30m ⇒ 短い方16.5m
      ⇒ 奥行16.5mの奥行価格補正率は、1.00となります。

     
    通常は、実際の奥行(想定整形地)より、計算上の奥行の方が短くなるケースが多いです。
    上記の例では、実際奥行は30mですが、計算上の奥行16.5mを採用しますので、結論、奥行価格補正率は1.00となり、奥行価格による補正はありません。
    (ただし、この後、不整形地としての評価は可能ですので、最終的な評価は下がります。)


     

    4. 参照URL

    (不整形地の奥行距離の求め方)
    https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hyoka/03/11.htm

     

    Q98 無道路地の評価

    DR175

     

     
    土地については、相続税上「路線価」や「固定資産税評価額」をもとに評価を行います。
    しかし、道路に面していない土地( = 無道路地)は、そもそも「路線価」が設定されていません。
    こういった「無道路地」は、どのように評価を行うのでしょうか?


     

    1. 無道路地とは?

    無道路地とは、建築基準法上の道路に面していない土地のことです。
    道路に直接接していても、接道義務(※)を満たしていない宅地も、無道路地に含まれます。(財評通20-2)
     
    「建築基準法」上の道路に面していない場合は、新たに建物建築や取り壊しができません。
    したがって、無道路地は、その分利用価値が低くなるため、相続税上の評価も下がります。
     
    (※)接道義務とは?
    建築物の敷地は、道路に2m以上接しなければならない。(建築基準法第43条)
    ただし、一定の場合、地方公共団体は条例で必要な制限ができる(同43条第2項)
    地方公共団体によっては、接道義務が2m以上に設定されている地域もあります。


     

    2. 無道路地の評価方法(財評通20 – 2)

    具体的な評価は、以下の2ステップとなります。
     

    ・無道路地(評価対象地)と道路に面している隣接地を一体の土地として評価する。
    ・上記「一体土地評価額」から「隣接地評価額」を差し引く。
    ・上記差引後、評価対象地を不整形地とみなして、不整形地補正を行う。
    ・無道路地(評価対象地)から建築基準法上の道路につながる仮定の通路を作る。
    ・上記①の評価額から、仮定通路の評価額を差し引く(最大4割

     
    なお、既に建物建築済の土地の場合は、無道路地でない可能性が高いです。
    無道路地の場合は、相続税評価額が低くなりますので、事前に無道路地かどうか?( = 建築基準法の道路に接していないか)を、役所等に確認しておく方がよいと思います。


     

    3. 具体例

  • 以下の評価対象地A(青い土地)は、相続税上どのように評価しますか?
  • 隣接地Bは、建築基準法上の道路に面しています。(路線価200千円/㎡)
  •  
    (普通住宅地区)
    191114Q98_1_2


     

    (1) ステップ1 一体評価額から隣接地評価額を差し引く

    まず、①無道路地Aと隣接地Bを「一体の土地」として評価し、②隣接地Bの評価額を差し引き、③最後に、不整形地補正等を行います。
     

     ① 一体土地(A + B)の評価額(奥行価格補正後)

       200千円 × 0.91(40mの奥行価格補正率) × 800㎡(無道路地 + 隣接地)= 145,600千円

     ② 隣接地の評価額(奥行価格補正後)

       200千円 × 1.00(20mの奥行価格補正率) × 400㎡(隣接地のみ)= 80,000千円

     ③ 差引(① – ②)

       145,600千円 – 80,000千円 = 65,600千円

     ④ 不整形地補正(又は間口狭小・奥行長大補正)

       65,600千円 × 0.71(※)= 46,576千円
     
    (※)
      ① 0.79(不整形地補正率)× 0.90(間口狭小補正率)= 0.711
      ② 0.90(間口狭小補正率)× 0.90(奥行長大補正率)= 0.81

    小さい方の小数点第2位未満を切り捨て ⇒ ① 0.71

     
    (ご参考・普通住宅地区)

    奥行価格補正率 0.91(40m)、1.00(20m)
    不整形地補正率 0.79(普通住宅地区A かげ地割合50%)
    (800㎡ – 400㎡)÷ 800㎡ = 50%
    間口狭小補正率 0.90(2m)
    奥行長大補正率 0.90(40m ÷ 2m = 20倍)


     

    (2) ステップ2 仮定通路評価額を差し引く

    建築基準法の接道義務(2m)を満たすよう、便宜上、無道路地Aから建築基準法上の道路に面する通路(幅2m)を、隣接地B上に開設すると仮定します。(通路C)
    この「仮定通路C」を開設するためには、隣接地Bの所有者から土地を買い取る必要があるため、買い取り諸費用部分を、ステップ1で算定した評価額から差し引きます。
     
    (普通住宅地区)
    191114Q98_2_2
     
    「仮定通路開設諸費用」は、仮定通路の評価額(路線価 × 通路面積)で算定します。
    ただし、上限は評価対象地の評価額の4割が上限となります。
     

    ① 仮定通路の評価額(奥行価格補正率は考慮しない

    200千円 × 40㎡ = 8,000千円

    ② 限度額の比較

    8,000千円 < 18,630千円(= 46,576千円 × 40%)⇒ 全額差引可能

    ③ 評価額

    46,576千円 – 8,000千円 = 38,576千円


     

    4. 参照URL

    (無道路地の評価)
    https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/02/03.htm#a-20_3
     
    (奥行価格補正率等)
    http://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/02/07.htm
     
    (接道義務を満たさない土地の評価)
    https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hyoka/03/19.htm