Q115「名義預金」はばれる?時効や認定されないための対策・解消方法

公開日:2021/01/01 最終更新日:2021/09/17 閲覧数:3,559 views

 
相続税は、「亡くなった方」が保有する財産を引き継いだ「相続人」に課税される税金です。
しかし、亡くなった方の名義ではない財産も、「実質的に亡くなった方の財産とみなして」課税される場合があります。
その代表例が「名義預金」です。
今回は、税務調査でよく問題になる「名義預金」につき解説します。
 

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1. 名義預金とは?具体例

名義預金とは、被相続人名義ではない預金通帳にもかかわらず、「被相続人の財産として相続税が課税」される預金のことです。
 
(具体例)

亡くなった夫が、妻名義で預金していた場合、「実態としては、夫の収入から貯金している」ものとして、「名義預金」と認定される場合
親が子供の口座に、暦年贈与の枠内(毎年110万円)なら贈与税がかからないと判断して勝手に貯金している場合。「生前贈与」は贈与者と受贈者両方に「贈与を行う・受ける」意思が必要なため、贈与は成立しない。

 

 

2. なぜばれる?資金移動調査

相続税の税務調査では、かなりの割合で「名義預金」が問題になります。
しかし・・なぜ税務署はこういった情報を持っているのでしょうか?
 
実は・・税務署には法律上、金融機関を調査する権限が与えられています。
つまり、相続人の了解なく、被相続人や親族の預金通帳を閲覧できる権限を有しています
一般的に「資金移動調査」と呼ばれ、税務署は金融機関等の過去10年間の動きを把握しています。
お金の出入りの整合性、引出だけの資金の場合は、その「利用使途」の説明が求められます。
税務調査の際は、事前にそれらの「情報を入手済」である可能性が高いですので、通帳の大きな動きは、通帳等に内容を記載しておくことが望ましいです。

 

3. 名義預金と認定されるケース

  • 預金残高が、相続人の収入と比べて、不自然に多い。
  • 相続人が、当該「名義預金」の存在を知らない、あるいは管理していない。
  • 被相続人との「贈与契約」がない。
  • 預金口座の登録印が、被相続人の印鑑と同じ。
  • 相続人の住まいが遠方にもかかわらず、被相続人の地元銀行に口座がある。

 
仮に、専業主婦の方が家計の財布を握っていたとしても、その収入源は夫である旦那様です。
奥様に収入がなければ、奥様名義の預金通帳は、名義預金と認定されるケースがあります。
税務署は、過去の申告書や年末調整、法定調書などの情報から、亡くなった方の財産、収入だけでなく、親族の財産・収入等の個人別データベースを持っていると思われます。

 

4. 「相続財産以外の所有財産」を記載する書類

税務調査で「相続財産以外の所有財産」という書面の提出が求められる場合があります。
任意の提出書類となりますが、「相続財産以外のご自身の財産をすべて記載してください」という書類です。
書類の提出目的は、ずばり・・相続財産の漏れを確認するためです。
また、間接的に「名義預金」の存在を確認することも目的としています。
 
もし、この書類に、「名義預金」を記載しなかった場合は・・
「ご自身が把握していない財産」とみなされ、名義預金認定される、という恐ろしい書類になります。
名義預金の存在を隠した場合は「重加算税の対象」となります(相続税額の35%)ので、提出が求められた場合は、名義預金も含め、すべての財産を記載しておく必要があります。

 

5. 遺産分割・名義変更手続

(1) 遺産分割の対象

「名義預金」と認定された預金残高は、「相続税の課税対象」となりますので、「遺産分割協議書」に記載し、誰が相続するか?を確定しないといけません。
つまり・・追加で「名義預金部分」だけ遺産分割を行う、ないし、金額によっては「遺産分割協議」をやり直す場合も生じます。
⇒相続税申告も修正申告となります。
 

(2) 名義預金の解約、名義変更方法

例えば、孫名義の「名義預金」を親が相続する場合など、「名義人でない方」が相続する場合は、「解約や名義変更」に時間がかかるケースがあります。
金融機関によっては、名義預金を、一旦被相続人名義に変更し、そのうえで「遺産分割協議書」を確認の上、解約 or 名義変更手続きが行われる場合もあります。

 

6. 時効は?

贈与税は、6年 or 7年経過すると「時効」となります。
しかし、贈与の法律行為は「双方の同意」が要件となります。
この点、名義預金と認定される場合は、そもそも預金通帳の存在を知らない、管理していないケースですので、法律上の「贈与」は成立しません。
したがって、名義預金の場合は、「贈与での時効」の概念がありませんので、「贈与税」の時効は成立しない場合がほとんどです。

 

7. 名義預金と判定されないための対策

相続税額に大きな影響がありますので、名義預金と判定されないために、「自分が管理している預金口座」であることが証明できる「エビデンス」を残す必要があります。
具体的な対策は以下の通りです。

 

  • 「贈与契約書」を作成し(双方自署、押印必要)、銀行振込で贈与を受ける。
    また、「暦年贈与の非課税枠(年間110万円)」内の贈与の場合でも、履歴を残す意味で「贈与税申告」をしておくことが望ましい。
  • 通帳、印鑑、キャッシュカードは相続人が管理し、いつでも自ら引き出しできる状態にしておく。
  • 預金通帳作成時は、本人(相続人)の筆跡で登録、銀行届出印は、被相続人と「別の本人の印鑑」で登録する(被相続人と同じ印鑑の場合は、物理的に被相続人が作成することが可能なため、本人作成の預金口座と主張できる根拠が薄い)。

8. 名義預金の解消・財産移転方法

名義預金の存在に気付いた場合は、将来的な税務リスクがあることから、いったん「親名義」に戻します。そのうえで、財産を移すための方法としては、以下の方法があげられます。

(1)生前贈与

名義預金をいったん親名義に変更して解消します。そのうえで、「贈与契約」を締結し、きちんとした形で生前贈与します。
 

(2)生命保険の活用

名義預金解消後の金銭で受取人を相続人等とする「生命保険」に加入します。生命保険には500万円の非課税枠がありますので、実質無税で名義預金相当額を相続人等に資金移動できる効果があります。