Q48【合同会社注意】社員死亡は退社事由!社員ゼロで解散/出資持分の相続税評価は「定款記載方法」により異なる!/有限会社や一般社団法人の場合は?

 最終更新日:2023/06/16 閲覧数:8,758 views

 
合同会社は、株式会社と異なり、出資者=経営者、つまり所有と経営が一致している点が特徴です。
当該合同会社の特徴より、合同会社の役員になるためには、必ず出資を行う必要があります。
また、合同会社のオーナーが死亡した場合は、原則として社員退社事由となり、最終的に社員がゼロになると「合同会社」は解散します。
 
この点、合同会社のオーナーが死亡した場合、保有する「出資持分」は、株式会社と同様に「相続税の課税対象」となります。ただし、株式会社の場合は、財産基本通達上の「非上場株式の評価」となりますが、合同会社の「出資持分」は、「金銭債権」としての評価される場合があり、株式会社と比べて、相続税が高くなるケースがあります。
 
今回は、合同会社の特徴や、社員が死亡した場合の「出資持分」の相続税評価につき解説します。

 

1.合同会社の特徴

(1)所有と経営が一致

株式会社の場合、出資者である「株主」が必ずしも経営者(=役員)になる必要はありません(所有と経営の分離)。出資する株主が、第三者に経営を委任することも可能です。
一方で、合同会社は、人的な信頼性やつながりを基に成り立つ法人のため、出資者は必ず経営者(役員)にならなければならず、第三者に経営を委任することはできません。
 

(2)原則として持分譲渡は不可

法人に対する出資持分は、株式会社の場合は、「株式」と呼ばれ、合同会社の場合は、単に「持分」と呼ばれます。
株式会社の場合は、株式を譲渡することにより、投資した資金の回収が可能ですが、合同会社の場合は、原則として、「持分の譲渡」は認められず、譲渡する場合は、他の社員(or業務執行社員)全員の承諾が必要です。
 
なぜなら、合同会社の場合、経営を行う上で「必要不可欠な方」が出資を行う点に意味があり(所有と経営が一致)、出資持分の譲渡=経営権の譲渡は、会社にとって影響が大きいためです。

 

2.合同会社の社員が死亡した場合の相続

(1)社員の死亡は、原則 退社事由

合同会社は、所有と経営が一致し、社員同士の信頼関係により成り立つ組織です。したがって、合同会社の社員が死亡した場合、持分の相続が生じる結果、「経営能力のない方」が社員に加わるのは好ましくありません。したがって、社員の死亡は、原則として、「退社事由」となり、定款に定めがある場合を除き、その地位は相続人には承継されません(会607、608)。

 
【社員が死亡した場合の取扱い】

定款に定めない会社 原則として「退社」事由となり、その地位は相続人には承継されず、出資金額の払戻が行われます。したがって、「出資持分」としては、相続人の遺産分割協議の対象とはなりません(会607①三)
定款に定めある会社 定款に「死亡した社員の相続人がその社員の持分を承継する」旨の定めがある場合は、相続人にその地位が承継されます(会608①)。

 

(2)社員がゼロになると合同会社は解散

合同会社では、一人しかいない社員が死亡した場合、解散事由となります(会641)。したがって、合同会社を存続させたい場合は、あらかじめ定款で、「相続人が持分を相続して社員となる旨」を定めておく必要があります。
 
なお、「特定の相続人」に社員の地位を承継させたい場合は、①定款でその旨の定めを行い、かつ、②「遺言書」でも同様の内容の定めが必要と考えられています。もし、「定款」に、社員の地位を「特定の社員」に承継させる旨の記載がない場合は、遺産分割協議では配分できず、共同相続人が相続分に応じてその地位を承継すると解されています。
 

【定款の例】
社員が死亡した場合は、当該社員の相続人は、(他の社員の承諾を得て)持分を相続して社員となることができる。

 

3.合同会社の出資持分の評価

合同会社の出資持分の相続税評価は、社員死亡時の地位の承継に関して、「定款に持分承継の別段の定め」があるかどうか?により、「評価額」大きく異なりますので注意が必要です。
 

(1)定款に持分承継の定めなし

定款に「持分承継の定め」がない場合、社員への出資金額の払戻となるため、被相続人に帰属する「払戻請求権」(金銭債権)として評価します(会社法611②)。「払戻請求権」の相続税評価は以下となります。
 
払戻請求権= (合同会社の資産の相続税評価額の合計-負債の額の合計) × 持分割合
 
【留意事項】
●「純資産価額方式」に近い評価ですが、「法人税等相当額」は控除できず、株式会社の「非上場株式の評価」よりも評価額が高くなります
●当該払戻請求権は、被相続人に帰属し、払戻請求額が資本金等の額を超える部分は「みなし配当」となり、被相続人に所得税が課税され(源泉徴収)、準確定申告の対象になります。そのうえで、「源泉徴収後の金額」が相続税の課税対象になると解されています(所法25①四)。
●合同会社が債務超過の場合は、相続税評価額もゼロとなりますので影響はありません。なお、合同会社は有限責任ですので、マイナス部分につき、「債務控除」はできません(合資会社・合名会社の場合は債務控除可能)。
 

(2)定款に持分承継の定めあり

定款に持分承継の定めがある場合は、出資の払戻は受けず、相続人が出資持分を承継します(会社法611①)。この場合は持分の相続となるため、「取引相場のない株式」の評価方法に準じて評価します(財基通178~193、194)。
この場合は、「類似業種比準価額方式」を適用できる場合があるため、上記(1)の「払戻請求権」よりも、評価額が少なくなるケースが多いと思われます。
 
なお、合同会社の場合も、「配当還元方式」の適用は可能であると考えられています。この場合、議決権ではなく、社員(or業務執行社員)の割合で判定することになります。
 

4.出資持分の生前贈与の場合は?

合同会社の持分は、原則として譲渡不可ですが、社員(or業務執行役員)全員の承諾があれば、生前贈与も可能です(会585②)。ただし、個人間の場合、低額譲渡の場合などは、株式会社同様に「贈与税」が課税される論点があります。
持分を全部贈与した場合は、退社と同様の扱いとなり、持分の一部譲渡の場合は、出資の価額が減少します。
 

5.有限会社・医療法人・一般社団法人は?

 

有限会社 「株式会社」として取り扱われますので、相続税評価上は、株式会社と同様、「取引相場のない株式の評価」で行います。
医療法人 「社団で持ち分の定めのあるもの」のみ相続税評価を行います。「取引相場のない株式の評価方法」に準じて評価します。なお、医療法人は剰余金の配当が禁止されていますので、配当還元方式はありません。
協同組合への出資(農協・生協等) 出資金額で評価します。
一般社団法人 「出資持分」という概念はありませんが、個人とみなされ、一般社団法人に相続税・贈与税が課税されるケースがあります(Q66参照)。

 

6.参照URL

(持分会社の退社時の出資の評価)

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hyoka/13/03.htm
 

7.YouTube

 
YouTubeで分かる「合同会社注意」
 

【関連記事】