Q62【内縁関係】内縁の妻や夫・内縁関係の子供や連れ子に相続権はあるのか?財産を残す方法は?/社会保険の扶養には入れるのか?

 最終更新日:2022/12/03 閲覧数:3,237 views

例えば、役所に「婚姻届」は提出せず、「内縁関係」のパートナーと生活を共にされる方もいるかもしれません。
内縁関係とは、法律上の夫婦ではないが、実際の法律婚と同様に、共同生活を営んでいる男女のことです(事実婚)。
 
こういった内縁関係(事実婚)のパートナーには、「法律上の配偶者」と同様に、相続権が認められるのでしょうか?
また、内縁の妻との間にできた子供も同様に、相続権が認められるのか?疑問が生じます。
 
今回は内縁関係にある妻や夫、内縁関係の子供にかかる「相続権」の有無を解説し、内縁関係のパートナーに「財産を渡す方法」につきお伝えします。
 

1. 内縁の妻や夫に相続権は?

(1)法定相続人の範囲

相続が発生した場合、民法上、「相続人になる方」は、以下の方に限定されています。
①配偶者 ②子 ③直系尊属(父母や祖父母等)④兄弟姉妹

 

(2)内縁の妻や夫に相続権は?民法上の取扱い

民法上、上記の方以外が「法定相続人」になることはありません。
したがって、「内縁の妻や夫」は、法定相続人の範囲には含まれませんので、内縁の妻や夫に「相続権」はありません。
「法律上」婚姻関係にある者のみが、法定相続人となる「配偶者」とされています。
 

(3)税法上の取扱い

税法上、配偶者とは、「法律上の配偶者」に限定され、「内縁関係の妻や夫」は、税法上の配偶者には含まれません。
したがって、内縁の妻や夫には、税法上の配偶者に認められる各種の恩典は認められません
また、「親族」にもなりませんので、親族に認められる各種の恩典もありません。。
 
税制上の恩典で、内縁関係のパートナーに「認められないもの」は、以下となります。
 

相続税 配偶者税額軽減小規模宅地等の特例(親族に限定)、配偶者居住権
所得税 配偶者控除、配偶者特別控除医療費控除障害者控除

 
内縁の妻は相続人、親族ではありませんので、「遺留分」「寄与」「特別寄与」の請求もできません。
 

2. 内縁の妻や夫との間の子供は?

(1)非嫡出子と嫡出子

内縁の妻や夫との間の子供は、非嫡出子(ひちゃくしゅつし)と呼ばれます。一方、法律上婚姻関係にある配偶者との間に生まれた子は、嫡出子(ちゃくしゅつし)と呼ばれます。

 

嫡出子 法律上「婚姻関係」にある者の間に生まれた子
非嫡出子 法律上「婚姻関係」にない者の間に生まれた子(内縁の夫・妻との子)

 

(2)認知すれば相続権あり

内縁関係にある夫や妻との間の子供(非嫡出子)には、原則として「相続権」はありません。
ただし、内縁関係の夫が、子供を「認知」すれば、夫の戸籍に入ることになり、その子供は法定相続人となり、相続権が発生します(民779条)。
なお、認知しない場合は、内縁の妻の子供となり、内縁の妻の戸籍に入ることになります。
 

(3)相続割合は?

認知して法定相続人となった「非嫡出子」は、実子と同様の権利が認められます。
したがって、相続割合等に違いはありません。
 

3. 配偶者の連れ子は?

内縁関係ではなく、法律上再婚した相手に「連れ子」がいる場合、連れ子に「相続権」は認められるのでしょうか?
法律上「再婚」したからといって、当然に連れ子との間に親子関係が生じるわけではありませんので、原則として、「連れ子」には相続権はありません。
この場合は、「連れ子」と養子縁組することで、「法定相続人」となり、相続権が発生します。
養子の場合も、実子と同様の権利が認められますので、相続割合も同じとなります。

 

4. 内縁のパートナー等に財産を残す方法

内縁のパートナー等には相続権がありませんが、自分の財産を渡したい場合は、以下の方法が考えられます。
ただし、内縁のパートナーは法律上の「配偶者」ではありませんので、税法上の制限に留意が必要です。
まとめると以下の通りです。
 

方法 内容 留意事項
生前贈与 贈与は、第三者に対しても可能ですので、内縁のパートナー等に生前贈与を行います。 贈与には、年間110万円の非課税枠あり
遺言書による遺贈 遺言書を作成し、内縁のパートナー等に財産を引き継ぐことが可能です。 ●相続税の配偶者控除等は不可
相続税の2割加算の対象
●相続人の遺留分に配慮して遺言書を作成しておく必要あり
特別縁故者の申し立て 被相続人の療養看護等に努めてきた方等、家庭裁判所に特別縁故者として認められた場合は、財産を相続することが可能です。 ●被相続人に相続人がおらず、遺言がないことが要件
●相続税の配偶者控除は不可
●相続税の2割加算の対象
生命保険の活用 生命保険受取人は、親族に限定されるものが多いですが、内縁のパートナー等を受取人にできる商品もあります。 生命保険の非課税枠は利用できない(「相続人」に限定)
●相続税の2割加算の対象

 
当然、婚姻関係を結ぶことが、一番確実な方法で、相続税等の特典を受けることも可能になります。
たとえ婚姻1日でも、「法律上の夫婦」として認められます。また、内縁のパートナーに確実に財産を渡したい場合は、「遺言」ではなく、「死因贈与契約」を締結するケースも多いです。
 

5. ご参考 内縁関係の妻や夫に認められる権利は?

(1)内縁関係でも認められる権利

現状の税法上は、法律上の配偶者や親族に限定され、特典を受けれるものはありませんが、社会保険や、民法上の一部の権利など、事実婚でも認められるものもあります。
最近は、不妊治療の助成金対象に「事実婚関係にある夫婦」を追加した自治体も増えてきています。内縁関係のあるパートナーに認められる権利として、以下のものがあげられます。
 

社会保険扶養・遺族年金 内縁関係の配偶者でも、社会保険の扶養に入ることができ、国民年金第3号被保険者にもなれます。事実婚夫婦の子供も、夫が認知した場合は、社会保険扶養に入れます。また、事実上婚姻関係があり、生計維持関係にある場合は、遺族年金を受給できるケースがあります(厚生年金保険法3条2項)。
賃借権 相続税上の配偶者居住権は、「法律上の配偶者」に限定され、内縁の妻や夫は適用できません。ただし、内縁のパートナーが被相続人と同居していた借家につき、賃借権をみとめ、引き続き居住できるとした判例があります(大阪高判平22.10.21)。

 

(2)内縁関係を主張するためには

上記の通り、「内縁関係」であれば、社会保険や民法上、認められる権利はありますが、「単なる愛人」は内縁関係とは異なります。内縁関係であるためには、実質的に「法律婚」と同様に、共同生活、家計を同一にしているなどの夫婦関係を営んでいる必要があります(=事実上婚姻関係にある)。
 
実質的な関係はもちろんですが、内縁関係を客観的に証明できるものとして、住民票に「未婚の妻」として届け出る、あるいは、社会保険第3号被保険者として登録することも考えられます。
 

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