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Q115 「名義預金」はばれる?資金移動調査とは?時効・認定されないための対策

公開日:2021/01/01 最終更新日:2020/12/29

 
相続税は、「亡くなった方」が保有する財産を引き継いだ「相続人」に課税される税金です。
しかし、亡くなった方の名義ではない財産も、「実質的に亡くなった方の財産とみなして」課税される場合があります。
その代表例が「名義預金」です。
今回は、税務調査でよく問題になる「名義預金」につき解説します。

 


 

1. 名義預金とは?

名義預金とは、被相続人名義ではない預金通帳にもかかわらず、「被相続人の財産として相続税が課税」される預金のことです。
例えば、亡くなった夫が、妻名義や子の名義で預金していた場合、「実態としては、夫の収入から貯金している」ものとして、「名義預金」と認定される場合などです。


 

2. なぜばれる?資金移動調査

相続税の税務調査では、かなりの割合で「名義預金」が問題になります。
しかし・・なぜ税務署はこういった情報を持っているのでしょうか?
 
実は・・税務署には法律上、金融機関を調査する権限が与えられています。
つまり、相続人の了解なく、被相続人や親族の預金通帳を閲覧できる権限を有しています
一般的に「資金移動調査」と呼ばれ、税務署は金融機関等の過去10年間の動きを把握しています。
お金の出入りの整合性、引出だけの資金の場合は、その「利用使途」の説明が求められます。
税務調査の際は、事前にそれらの「情報を入手済」である可能性が高いですので、通帳の大きな動きは、通帳等に内容を記載しておくことが望ましいです。


 

3. 名義預金と認定されるケース

  • 預金残高が、相続人の収入と比べて、不自然に多い。
  • 相続人が、当該「名義預金」の存在を知らない、あるいは管理していない。
  • 被相続人との「贈与契約」がない。
  • 預金口座の登録印が、被相続人の印鑑と同じ。
  • 相続人の住まいが遠方にもかかわらず、被相続人の地元銀行に口座がある。

 
仮に、専業主婦の方が家計の財布を握っていたとしても、その収入源は夫である旦那様です。
奥様に収入がなければ、奥様名義の預金通帳は、名義預金と認定されるケースがあります。
税務署は、過去の申告書や年末調整、法定調書などの情報から、亡くなった方の財産、収入だけでなく、親族の財産・収入等の個人別データベースを持っていると思われます。


 

4. 「相続財産以外の所有財産」を記載する書類

税務調査で「相続財産以外の所有財産」という書面の提出が求められる場合があります。
任意の提出書類となりますが、「相続財産以外のご自身の財産をすべて記載してください」という書類です。
書類の提出目的は、ずばり・・相続財産の漏れを確認するためです。
また、間接的に「名義預金」の存在を確認することも目的としています。
 
もし、この書類に、「名義預金」を記載しなかった場合は・・
「ご自身が把握していない財産」とみなされ、名義預金認定される、という恐ろしい書類になります。
名義預金の存在を隠した場合は「重加算税の対象」となります(相続税額の35%)ので、提出が求められた場合は、名義預金も含め、すべての財産を記載しておく必要があります。


 

5. 名義預金は遺産分割の対象・解約方法

(1) 遺産分割の対象

「名義預金」と認定された預金残高は、「相続税の課税対象」となりますので、「遺産分割協議書」に記載し、誰が相続するか?を確定しないといけません。

 

(2) 名義預金の解約、名義変更方法

例えば、孫名義の「名義預金」を親が相続する場合など、「名義人でない方」が相続する場合は、「解約や名義変更」に時間がかかるケースがあります。
金融機関によっては、名義預金を、一旦被相続人名義に変更し、そのうえで「遺産分割協議書」を確認の上、解約 or 名義変更手続きが行われる場合もあります。


 

6. 名義預金に時効は?

贈与税は、6年 or 7年経過すると「時効」となります。
しかし、贈与の法律行為は「双方の同意」が要件となります。
この点、名義預金と認定される場合は、そもそも預金通帳の存在を知らない、管理していないケースですので、法律上の「贈与」は成立しません。
したがって、名義預金の場合は、「贈与での時効」の概念がありませんので、「贈与税」の時効は成立しない場合がほとんどです。


 

7. 名義預金と判定されないための対策

相続税額に大きな影響がありますので、名義預金と判定されないために、「自分が管理している預金口座」であることが証明できる「エビデンス」を残す必要があります。
具体的な対策は以下の通りです。

 

  • 「贈与契約書」を作成し(双方自署、押印必要)、銀行振込で贈与を受ける。
    また、「暦年贈与の非課税枠(年間110万円)」内の贈与の場合でも、履歴を残す意味で「贈与税申告」をしておくことが望ましい。
  • 通帳、印鑑、キャッシュカードは相続人が管理し、いつでも自ら引き出しできる状態にしておく。
  • 預金通帳作成時は、本人(相続人)の筆跡で登録、銀行届出印は、被相続人と「別の本人の印鑑」で登録する(被相続人と同じ印鑑の場合は、物理的に被相続人が作成することが可能なため、本人作成の預金口座と主張できる根拠が薄い)。


 

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Q114 【遺産分割注意】遺言書の文言で「相続させる」「遺贈する」では大違い! 

公開日:2020/12/01 最終更新日:2021/01/12

 
遺言書を作成する場合、「~に遺贈する」と記載することもあれば、「~に相続させる」と記載することもあります。
これって・・どこが違うのでしょうか?
実は・・承継する財産が「不動産」の場合には、両者に大きな違いが生じます。

 


 

1. 相続と遺贈とは?

相続とは、被相続人の財産を、包括的に法定相続人が引き継ぐことをいいます。
一方、遺贈とは、被相続人の財産を、「遺言」により特定の人に無償で与えることをいいます。
つまり、遺言書を作成することで、「遺贈」は、法定相続人でない人、例えば親族ではない「第三者」に対しても可能、ということになります。
相続と遺贈の違いは、Q60をご参照ください。

 

2. 「相続させる」と「遺贈する」の違い

「相続」が可能なのは、「法定相続人」のみで「第三者」は含まれません。
したがって、遺言で財産を承継する方が・・

  • 「法定相続人以外」の場合は、「相続する」とは記載できません。この場合、選択肢は「遺贈する」のみとなります。
  • 「法定相続人」の場合は、「相続させる」「遺贈する」どちらも可能です。


 

3. 遺言書は「相続する」と記載するのがベター

では・・遺言書で財産を承継する方が「相続人」の場合、文言は「相続させる」「遺贈する」のどちらがよいのでしょうか?

「相続させる」という遺言は、「遺贈」ではなく、「遺産分割方法の指定」であると解されています
(最高裁判所平成3年4月19日)。
この判決により、承継する財産が不動産の場合は、「相続」と「遺贈」で、以下の点に違いが生じます。
 
「相続させる」という文言の場合は、相続開始時点でその不動産は「遺産分割」され、当然に所有権が移転することを意味します。一方、「遺贈する」という文言の場合は、相続開始時点では当然に所有権が移転するわけではなく、単に遺言者からの受遺者への財産遺贈義務を相続人全員が引き継ぐだけになります。

 

相続の場合 遺贈の場合
相続登記 単独で不動産登記が可能 他の法定相続人全員の協力必要(※)
相続債権者への対抗 登記なくても相続債権者に対抗可 登記がないと相続債権者に対抗不可
借地権等相続の場合 賃貸人の承諾不要 賃貸人の承諾必要

(※)遺言執行者がいる場合は、遺言執行者と受遺者で手続可能
 

「遺贈」の場合は、不動産移転登記を行うにあたって、少なくとも相続人全員の「印鑑証明」が必要になりますので、手間が増えます。
また、他の共同相続人が勝手に不動産を第三者に譲った場合でも、相続の場合は「第三者に対抗可能」ですので、「第三者」に土地の返還を求めることも可能です。


 

4. 受遺者が先に亡くなった場合の影響

遺言者よりも「受遺者」が先に死去した場合は、「代襲相続」にも影響があります。
遺贈の場合、受贈者が先に死去したケースでは遺贈の効力自体が生じません(民994Ⅰ)。
一方、「相続」の場合は、遺言書に「代襲相続の際の取扱い」を記載しておけば、「代襲相続」が可能と考えられています。


 

5. 登録免許税の違いは?

通常の登録免許税は、「遺贈」の方が「相続」よりも税率が高くなっています(遺贈:「1000分の20、相続:1000分の4」。
ただし、遺贈の場合でも受遺者が「法定相続人」の場合は、1000分の4で計算されますので、この点において違いはありません。


 

6. 結論

上記のとおり、「相続」の方が、
①手続の観点では「単独で登記」できる点で効率的ですし、
②権利保護の観点でも相続人に有利な権利が認められています。
 
したがって、結論的には、「遺言書」で財産を引き継ぐ相手が「法定相続人」の場合は、遺言書の文言は、「遺贈する」ではなく、「相続させる」と記載することをお勧めします。


 

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Q79 土地建物の等価交換と相続税・所得税の関係

公開日:2018/11/26 最終更新日:2018/12/17

DR153

 
土地を有効活用する観点で、「土地」と「建物」を等価交換する場合があります。
この等価交換を利用すると、相続税評価額を下げることができる場合があります。
こういった「等価交換」は、具体的にどういった場面で利用されるのでしょうか?

 

1. 等価交換方式って何?

土地所有者と、マンション等開発業者が共同で賃貸マンション等を建設する場合
「等価交換方式」というしくみを利用します。
 
この方式では、地主が土地を提供する代わりに、マンション開発業者は建築費用を負担します。
そして、建物完成後、「土地」と「建物建築費用」が「等価」になるように、土地と建物を交換するしくみです。
 
地主さんはマンションを建築したいけど、資金がない場合など・・有効な手段ですね。
地主側は、土地を提供するだけで、資金負担をすることなくマンションを建設できるため、よいしくみですね。
 

 

2. 具体例

  • 土地所有者Aさん。土地(評価額8億円)保有
  • 建築業者B建設。マンション建設費用(2億円)
  • 等価交換方式により、Aさんが土地を提供し、B建設が建物を建設
  • 建設マンションは、第三者に賃貸を予定している

  •  

    (1) 土地と建物の所有権割合

    総額=8億円(土地評価額)+2億円(マンション建設費用)=10億円。
    「土地建物総額」に占める、Aさん(土地負担者)と、B建設(建物負担者)の所有権割合は、8対2となります。


     

    (2) 等価交換による各人の金額

    建物完成後に、「土地」と「建物」を等価交換した場合、土地、建物それぞれの所有金額をまとめると、以下の通りです。

    Aさん(地主) B建設 合計
    土地 640百万円 160百万円 800百万円
    建物 160百万円 40百万円 200百万円

    Q79-1

     

    3. 等価交換と所得税の関係

    (1) 原則的な取り扱い

    等価交換は、同価値の「モノ同士」を交換するだけで、お金も動いていないので・・
    「所得税」は発生しないようにも思います。
     
    しかし、等価交換の税務上の取り扱いは、原則として「土地・建物の売買」として取り扱います。
    つまり、例えば、交換により譲渡した土地の時価が160百万円で、当該土地を過去に取得した際の価額が1百万円の場合は、差額159百万円に対して「所得税」がかかってくる、という結論になります。
     


     

    (2) 立体買換えの特例

    (中高層耐火共同住宅建設のための買換え特例(措法37条の5①二)
    一定要件を満たす等価交換の場合、課税が繰延され、等価交換時に税金はかかりません。

     

    (要件)

    譲渡資産 三大都市圏の既成市街地等内にある土地建物等(所有期間や譲渡前用途の制限はなし)
    買替資産 譲渡土地等の上に建築される3階以上の耐火(or準耐火)構造で、半分以上が居住用
    買換資産は、原則として譲渡年12月末までに取得、取得の日から1年以内に居住用か事業用に使用すること



     

    (3) 注意事項

    • この特例は、あくまで「課税の繰延」で、「課税の免除」ではありません。したがって、将来売却するときなどには、税金が発生する可能性があります。
    •  

    • 等価交換により取得する建物の「取得価額」は、交換によって譲渡した「土地の取得価格」となります。
      つまり、時価160百万円の土地を売却したにもかかわらず、取得した「建物」の取得価額は、譲渡した「土地の簿価」となりますので、譲渡土地の取得価額が低い場合は、減価償却金額が少なくなる可能性があります。
    •  

    • 他の譲渡所得の買換え特例や、特別控除の適用を受けることはできません。

     

    4. 等価交換で、相続税評価が下がる?

    等価交換方式を利用して、建物を第三者に賃貸する場合は、結果的に、土地や建物の「相続税評価額」が下がります。
    等価交換による直接の影響ではありませんが、「建築した建物を第三者へ賃貸」することにより、「借地権」「借家権」部分の評価が下がるというしくみです。
     
    先ほどの例をもとに、「等価交換方式」で賃貸した場合の土地・建物の評価額をまとめます。

    (1) 等価交換をしない場合

    • 土地評価額・・8億円
    •  

    • 建物評価額・・ゼロ



     

    (2) 等価交換をした場合

    等価交換を実施して、第三者に賃貸した場合、土地は「貸家建付地」としての評価、建物は、借家権割合を差し引いた評価をすることが可能になります。
    例えば、借地権割合を60%、借家権割合は30%として、Aさん(地主)の土地、建物それぞれの評価額をまとめます。

     

    (Aさん)

    等価交換後 借地・借家権控除後
    土地 640百万円 524.8百万円(※1)
    建物 160百万円 112百万円(※2)
    合計 800百万円 636.8百万円

     
     (※1)640百万円 × (1 – 60% × 30%) = 524.8百万円
     
      (※2)160百万円 × (1 – 30%) = 112百万円
     
      

  • 土地に関しては、要件を満たせば、小規模宅地等の特例の適用も可能です。
  •  

    5. 等価交換による税務上のメリットデメリット(土地所有者から見た場合)

    メリット デメリット
    • 資金負担なく、建物建築ができる。
    •  

    • 土地の譲渡に関しては、一定要件を満たす場合、所得税がかからない
    •  

    • 土地は、貸家建付地としての評価、建物は、借家権部分の評価を引くことができるため、相続税評価額が下がることになる。
    • 土地の所有権を一部手放してしまうことになる。
    •  

    • 立体買換の特例は「課税の繰り延べ」のため、将来売却する場合には、税金が発生する可能性がある。
    •  

    • 等価交換による取得建物の簿価は、譲渡する土地の過去取得価額となるため、減価償却費が小さくなり、等価交換後の経費が少なく抑えられてしまう可能性がある。

     

    また、税務上の論点以外でも、デベロッパー主体で動くケースが多いため、不利な条件で交換してしまう可能性や、デベロッパー取得部分は自由にデベロッパーが譲渡できるため、権利者が多数になる可能性がある点にも留意しなければいけません。

     

    6. 税務上の結論

    「等価交換方式」は、土地の有効活用や、相続税の圧縮という観点では、非常に有用な制度です。
     
    ただし、所得税上は、「土地の売却益課税」の論点や、「立体買い換え特例」を満たした場合でも、交換後の「建物減価償却額」が小さくなるデメリットがあります。
     
    したがって、等価交換後の建物減価償却額と、等価交換による相続税の節税効果などを比較衡量、総合的に判断して、意思決定されることをお勧めします。
     

    Q73 ゴルフ会員権購入で相続税評価額が下がる?

    公開日:2018/08/22 最終更新日:2018/08/24

    DR147

     

     

    相続対策として、不動産を活用する方法は、結構よく聞きますよね。
    でも、不動産は・・安い買い物ではありませんし、なかなか相続対策というだけで簡単に購入できるものではありませんよね。
    そこで・・もう少し手軽に相続税評価を下げることができるものとして、「ゴルフ会員権」があります。

     
    Q73-1
     

    ゴルフ会員権は、おおむね「取引価格の70%」で評価できますので、現金で保有するよりも、相続税評価額は安くなります。

     

    1. ゴルフ会員権の評価方法

    (1) 取引相場があるゴルフ会員権

    取引相場があるゴルフ会員権は、原則として、取引価格の70%で評価を行います。
    ただし、取引価格に含まれない「預託金」がある場合は、返還預託金等の金額を加算します。
     
    課税時期の取引価格 × 70% + 返還される預託金等
     
    なお、預託金等返還までに「一定期間」がある場合は、「割引現在価値」で評価を行うことも可能です。



     

    (2) 取引相場がないゴルフ会員権

    取引相場がないゴルフ会員権の評価方法は、以下の3つです。
     
    ① 株主のみが会員となれる会員権
    通常の株式評価と同じ
     
    ② 株主かつ会員となるために預託金等が必要な会員権
    株式評価額+預託金評価額の合計で評価します。
    預託金の評価は、取引相場がある会員権と同様の評価となります。
     
    ③ 株主ではなく、預託金等のみの会員権
    預託金評価額で評価します。
    預託金の評価は、上記同様です。



     

    2. 負担付贈与にすると?

    負担付贈与とは、財産だけでなく、借金も同時に贈与するものです。
    例えば、「自宅と住宅ローン」をセットで贈与するような場合です。
    例えば、自宅財産評価額≦住宅ローンの場合は、マイナスの財産を贈与することと同じですので、贈与税はかかりません。
     
    (例題)

     

  • 取引相場があるゴルフ会員権を500万円で購入(預託金はなしとする)
  •  

  • 自己資金250万、借入金250万で購入(借入金は返済なしとする)
  •  

  • ゴルフ会員権の取引価額は、500万円で変わらないものとします。
     
    上記のゴルフ会員権と借入金を、負担付贈与で奥様に贈与した場合は?
  •  
    (結論)

       

    • 相続税評価額500万円 × 70% = 350万円
    •  

    • 借入金・・250万円
    •  

    • 「負担付贈与」で奥様に渡す場合は、350万円 - 250万円 = 100万円の財産を贈与したことと同じになります。
      この場合、贈与税の非課税限度額(110万円)の範囲内ですので、贈与税はかかりません。
    •  
      つまり・・実際は500万円で購入したゴルフ会員権も、「負担付贈与」を活用すれば、贈与税や相続税がかからない場合があるということです。



       

      3. 実務上の留意事項

      預託金(返還請求権)は、取引価格に
      含まれているのか?
      含まれている場合と、含まれていない場合がありますので、実務上は必ず確認が必要です。
       
      この有無により、相続税評価だけでなく、売却する際のキャッシュフローにも影響します。
      相続後に名義書換した際の名義変更料は
      相続税評価上控除できる?
      できません。
       
      ゴルフ会員権は、相続後に名義変更を行わなければいけません。
      しかし、この名義書換料は相続後に、相続人が負担すべき費用ですので、相続時の「相続税評価額」から差し引くことはできません。
      破たんしたゴルフ場の会員権評価は? 一言で破綻したゴルフ場といっても、さまざまなパターンがあります。
       

      • プレーもできず、売買もできない場合
        ⇒相続税評価額はゼロ
      •  

      • プレーはできる場合
        ⇒通常の評価。
        預託金が戻ってくるかどうか不明な場合は預託金がないものとして評価をします。



       

      4. まとめ

      上記の通り、ゴルフ会員権の相続税評価額は、現金で保有するよりも安くなります。
       
      でも考えてみて下さい。
      ゴルフ会員権も不動産同様、将来売却できるか?はわからないですし、将来ゴルフ場が破綻する可能性だってあります。
       
      そもそもゴルフをしない人からすると・・個人にとっては価値のないものですよね。
      ですので、近々ゴルフ会員権を買う予定の人だったら、ゴルフ会員権を買うことで、結果的に生前対策にもつながるので良いと思います。
      でも・・生前対策として・・ゴルフをしないのに「ゴルフ会員権」を買うのは・・本末転倒ですので!

    Q72 【二世帯要注意】親子「リフォーム」で贈与税がかかる危険

    公開日:2018/08/22 最終更新日:2020/12/18

    DR146
     

     
    前回に引き続き、今回もリフォームのお話です。
     
    例えば、親子間で、親が子供のマイホームのリフォーム代を出してあげる、あるいは、逆のケースも結構あると思います。
    これ・・親子だからって、あまり気にせずやっていませんか?
    税務上は・・「贈与」と取り扱われますので、注意しましょう。



     

    1. リフォーム部分の所有権

    リフォーム部分は、「付合」(=建物と切り離せないモノ)により、所有権は「建物所有者」に帰属します(民法242)。
    したがって、当該リフォーム代を負担した人が、建物所有者以外の場合、リフォーム部分については、「資金を負担した人から建物所有者への贈与」と取り扱われます。
     
    たとえ親子間でも、「贈与税」の話が、セットでついてくるということですね。



     

    2. 親が、「子供のマイホーム」のリフォーム代を負担した場合

    親が、子供のマイホームの「リフォーム代」を負担した場合はどうでしょうか?
     
    親から子供に贈与する場合でも、例えば教育費生活費については「贈与税」はかかりませんが、「リフォーム代」は、原則通り、贈与税の対象になります。
     
    ただし、リフォーム代でも、「住宅取得等資金贈与の特例」要件を満たした場合は、例外的に贈与税がかからないようになっています。



     

    3. 子が、「親のマイホーム」のリフォーム代を負担した場合

    例えば、2世帯住宅を建築するケースなどでは、子供が親所有の建物のリフォーム代を負担するケースもあるでしょう。
    この場合はどうでしょうか?
     
    この場合は、「住宅取得等資金贈与の特例」の対象にはなりませんので、原則通り、贈与税が課税されます。
    また、この場合、子供がリフォーム代につきローンを組んだ場合でも、リフォーム対象の建物は、子供所有ではありませんので、「住宅ローン控除」の適用もありません。



     

    4. 贈与税を発生させないためには?

    上記の通り、子供が親名義の建物リフォーム代を負担した場合は、普通に贈与税が発生します。
    この場合、贈与税を発生させないためには、どうすればよいでしょうか?



     

    (1) 現金で精算

    リフォーム代相当額を、親から子供に現金等で支払えば、贈与税は発生しません。
    現金で精算すれば、「経済的利益の移転はありません」ので、贈与税自体の論点は出てきません。
     
    ただし、この場合も、お子様が当該リフォーム部分につき、住宅ローン控除を受けることは、相変わらずできません。



     

    (2) 建物持分の移転

    現金ではなく、「建物持分」を親から子供に移転させれば、親から子供に「現金を支払うのと同様の効果」があります。
     
    具体的には、子供が支払ったリフォーム資金に相当する「建物持分」を親から子供へ移転させて「登記」します(共有名義)。
    そうすると、お子様は、自分の建物にリフォームしたことと同じになりますので、「住宅ローン控除」を受けることも可能となります。



     

    5. 持分移転登記の具体例

  • 親所有の建物(時価100万)につき、2世帯住宅にするため、子供が900万円のリフォーム代金を支払った。
  • リフォーム後の建物時価は1,000万円となった。
  •  
    Q72-1



     

    (1) リフォーム後の建物の価値

    • 100万円 + 900万円 = 1,000万円

    親のマイホームの価値は当初100万円⇒リフォーム後、1,000万円に増加
    ⇒増加後の親の持ち分価値が100万円になるように、持ち分を移転してあげればよいです。
    (1,000万円⇒100万円、差引900万円の持ち分移転)



     

    (2) 900万円の持ち分移転

    上記例では、リフォーム後の建物価値1,000万円のうち、親の元々の持分価値100万円を超えた 900万円を、親⇒お子さんに「持分移転登記」し、共有名義にすれば、現金を支払ったことと同様になりますので、贈与税はかかりません。
     
    ちなみに、この例では、元々の親のマイホームの建物価値は100万円ですので、リフォーム後1,000万円すべての建物につきお子様に移転登記しても、贈与税の非課税枠(年間110万円)の範囲内ですので、贈与税はかかりません。



     

    (3) 譲渡所得税は?

    持ち分移転部分の900万円は、親から子供に対しての債務(本来親が負担すべきリフォーム代を子供が支払ったために生じた、子供に対する債務)につき、不動産持ち分移転により「現物で弁済」したということになります。
     
    つまり親の立場から考えると、債務を息子に弁済しただけですので、譲渡所得税も発生しません



     

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    Q71 墓地や仏壇などの相続税評価は?

    公開日:2018/07/27 最終更新日:2018/08/01

    DR145

     

     

    墓地や墓石、仏壇などは、「祭祀財産」と呼ばれます。
    この祭祀財産も、もちろん「財産」ですので、原則的には「相続税の対象」となります。
    でも・・現実的にこういったものに相続税をかけるのは・・ちょっとかわいそうな気がしますよね?
    そこで、民法上、「祭祀財産」は相続の対象とならないこととされ、相続税も課税されないことになっています。

     

    Q71-1

     

    逆に考えると??
    「生前にお墓などを建てておくと現金が減り、相続税が課税されず節税できる可能性」がありますね。

     



     

    1. 祭祀財産って?

    墓地や墓石、仏像や位牌、神棚などです。
    民法上、「祭祀財産」は、相続の対象にはならないことが規定されています(民法897条)。

     



     

    2. 相続税との関係

    祭祀財産には相続税がかからないため、生前に購入することで「相続財産」を減らすことが可能になります。
    意外と、お墓や仏壇などはいい値段しますので、購入時期が「相続前」で相続税額が安くなるのであれば、生前購入もありかもしれませんね。

     



     

    3. 相続税がかからない祭祀財産

    一般常識からして、「特に高価な祭祀財産」の場合は、税務署から否認される恐れがあります(=相続対象となる)。
    非課税になることを利用して、明らかに不自然に高価な仏具などを購入した場合は、認められない場合があります。

     



     

    4. 生きているうちに購入

    被相続人が亡くなった後に、相続人が相続財産である現金等からから「祭祀財産」を購入しても、既に相続は終わっていますので、非課税にはなりませんので注意しましょう。

     



     

    5. 生きているうちに購入

    生前に、被相続人が「祭祀財産」をローンで購入した場合、「相続時の被相続人のローン残高」は、相続税計算上の「債務控除」の対象になりません。
    なぜなら、祭祀財産自体が「非課税財産」にもかかわらず、それに対応する「債務=ローン」の控除までできるとなると・・「いいとこどりになってしまう」からですね。
     
    「祭祀財産のローン残高」は、相続税申告書作成時に債務控除の対象としないように注意しましょう。

    Q70 建物リフォームと相続税評価額の関係

    公開日:2018/07/27 最終更新日:2018/08/02

    DR144

     

     

    相続税上、建物は、原則として「固定資産税評価額」で評価を行います。
    一般的に「固定資産税評価額」は、「実勢価格」より低くなりますので、結果的に、資産を現預金で所有するよりも、建物を建築して現預金を少なくした方が、全体の「相続税評価額」は下がることになります。
     
    では、建物をリフォームした場合はどうでしょうか?
    リフォームすることで、現預金は減少します。
    一方、リフォームした建物等の価値が、「固定資産税評価額」・・つまり相続税評価額にどういう形で反映されるか?という点が論点となります。

     
    Q70-1
     



     

    1. 固定資産税評価額は?

    一般的に、増築など、床面積を増やすリフォームを実施した場合は、「固定資産税評価額」は増加します。
    一方、内装や家屋内設備リフォームの場合は、「固定資産税評価額」は改訂されず、評価が据え置かれます
    (というか・・役所も把握しきれないから)
     
    役所は、3年に一度、航空写真等で固定資産の実地調査を行っています。
    この際、前回調査と比較して、見た目に増築等が明らかな家屋については、「固定資産税評価額」を改訂します。
    逆に言うと、見た目に判別のつかないリフォームの場合は、役所も把握しきれないので、「固定資産税評価額は据え置きされている」というのが実態です。
     
    ここでわかることは、リフォームの内容によっては、「固定資産税評価額」に反映されない場合がある!ということですね。

     

     

    2. 相続税の評価は?

    (1) 原則

    家屋と構造上一体となっている設備(電気設備・ガス設備・衛生設備など)は、家屋の価額に含めて評価できます
    (財基通92-(1))
     
    例えば、浴室を取り換える、あるいはシステムキッチンに変更するなどのリフォームは、通常、家屋と構造上一体となっていますので、「家屋の価額に含めて評価」します。
    家屋に含めて評価するということは?・・リフォームにより増築した設備も、家屋の固定資産税評価額に内包されることになります。
     
    つまり・・家屋の「固定資産税評価額」が変わらなければ、たとえリフォームをしたとしても、相続税評価額は増加しない!ということになります。


     

    (2) 例外

     一方、上記の規定とは別に、「増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない家屋の評価」という質疑応答事例が制定されています(質疑応答事例・平成25年11月1日)。
    この質疑応答事例では、増改築部分は、たとえ固定資産税評価額が改訂されていなくても、以下の方法で相続税の評価を行うことが要求されています。

     

  • 当該増改築等に係る家屋と類似したものの固定資産税評価額を基礎として、経過年数等を調整した価額
  • 上記が不明な場合は、(再建築価額-償却費相当額) × 70%
  •  
    当該質疑応答事例は、過去の行き過ぎたリフォーム節税に歯止めをかける趣旨で、最近作られた規定です。

     

     

    3. 実務的には?

    (1) リフォームはすべて評価?

    上記「質疑応答事例」の、「増改築」という言葉が、「具体的にどういったものを想定しているのか?」までは例示されていません。なので・・ここからは解釈となります。
     
    大がかりのリフォーム、例えば「資本的支出」に該当するようなものは、相続税上は、追加で評価しないといけないという理解でよいかなと思います。

     

    (ご参考~資本的支出とは?)

    定義 具体例
    収益的支出(修繕費)
    • 維持管理や原状回復のために要した費用
    • 維持に不可欠となる工事費(外壁塗装)
    • 経年劣化した「付帯設備」の交換
    • 原状回復工事(壊れた設備の修理)
    資本的支出(資産)
    • 建物等の使用可能年数の延長が想定される支出
    • 資産価値が増加すると考えられる支出
    • 建替工事
    • 新たな設備の導入
    • 間取りの変更(新たな集客用など)

     

    (2) リフォーム部分の具体的計算方法

    実務的には、「増改築家屋と類似した物件」を見つけるのは至難の業ですので、以下の計算式で評価します。
     
    (リフォーム前固定資産税評価額 + リフォーム費用 - リフォーム部分償却費(※)) × 70%
     
    (※)リフォーム部分の償却費の計算方法
    リフォーム費用 × 90% × (リフォーム日 ⇒ 死亡日までの経過年数) / 耐用年数

     

    まとめると・・「資本的支出」に該当するリフォームの場合は、たとえ「固定資産税評価額」が改訂されていなくても、70%部分は相続税評価の場合は、反映しないといけないということですね。
    それでも、30%評価はさがるので、「現金」で保有するよりは節税になりますが!



     

    4. 住宅取得資金贈与の非課税枠

    住宅取得資金贈与については、最大1,500万円までの「贈与税非課税枠」があります。
    詳しくは、Q5をご参照ください。
    当該制度は、増改築やリフォームも対象となります。

     

    (住宅取得資金贈与の非課税枠制度のポイント)

    • 売却用ではなく、自分が住むために行う増改築工事
    • 工事費用100万円以上。
    • 増改築後の床面積が50平米以上240平米以下かつ、居住部分工事費が全体の半分以上



     

    5. 参照URL

    増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない家屋の評価

    https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hyoka/19/01.htm

    Q67 公益財団法人と相続税の関係

    公開日:2018/05/14 最終更新日:2018/05/22

    DR141
     

     

    前回お伝えした、一般社団法人とは別に、「一般財団法人」あるいは「公益財団法人」という法人があります。
    今回は、この「公益財団法人」と、相続税の関係を中心にまとめます。



     

    1. 社団法人と財団法人の違い

    まず、「社団法人」と「財団法人」の違いを記載します。
    「社団法人」は、人が集まることに「法人格」を与えたものですが、「財団法人」は、物が集まることに「法人格」を与えたものです。
     

    社団法人 財団法人
    相違点 人が集まることで法人格が与えられる。 財産が集まることで法人格が与えられる。
    共通点 どちらも法人格があるため、個人から拠出した財産は、個人の資産とは切り離される。
    また、持ち分がないため、原則、「相続税」はかからない。



     

    2. 公益財団法人とは?

    公益財団法人とは、一般財団法人のうち、「公益」を行うことを目的とする法人のことです。
    この「公益財団法人」ですが・・いきなり設立することはできません。
     
    まずは、「一般財団法人」を設立し、内閣府等に申請&「公益認定基準」等を満たす場合に、はじめて「公益財団法人」として設立が可能となります。
     
    なお、公益事業は「23の事業」に限定されています(学術・技芸・慈善その他、公益に関する事業)。



     

    3. 設立のハードルは高い

    公益財団法人の設立には、「事業目的」、「公益性の判断」、「公益目的事業が50%以上」等、さまざまな要件を満たす必要があり、非常にハードルは高いです。
    また、理事等の親族等の合計数が「総数の3分の1以下」という要件があり、支配権を維持するのも一苦労です。



     

    4. 相続税対策?

    公益財団法人の設立には、様々なハードルがありますが・・
    実は・・公益財団法人の活用は、全世界で究極の相続税対策といわれているのも事実です(公益社団法人も同様)。
     
    公益財団法人の場合、一般的に「相続税法第66条第4項」のハードルを満たし、個人の資産を提供した場合でも、贈与税や相続税の「課税対象外」になるものと考えられています。

     

    5. 公益財団法人のメリット

    (1) 税法上の恩典

    公益財団法人には、税法上、非常に大きな恩典があります。
     
    ① 法人税の特例

    • 公益認定法上の「公益目的認定事業」は、非課税となる。
    • 収益事業から得た収益の一部を、公益的事業に支出すると、一定金額まで「損金算入」が認められる
      (みなし寄付。法人税法66、租措法42の3の2)。

     
    ② 所得税の特例(譲渡所得の特例)

    • 個人が公益財団法人に財産を売却した場合、一定要件を満たす場合には、「譲渡益」が非課税となる。
    • 個人が公益財団法人に財産を寄付をした場合、寄付金の所得控除や税額控除が可能となる。

     
    ③ 相続税・贈与税の特例
    公益財団法人に財産を贈与・寄付した場合、「贈与者等の相続税または贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められる場合」を除き、相続税や贈与税が非課税となる。
    (租税特別措置法70①⑩)。
     
    つまり・・すべての税法においてメリットがあるということです。



     

    (2) 安定株主の確保

    公益財団法人は、「公益目的」以外の理由で、株を処分することはできません。
    この結果、実質的に公益財団法人が「株を長期保有」することになるため、株を保有してもらう法人の立場では、安定株主を確保できることになります。



     

    (3) 社会貢献

    規模の大きな会社は、地域社会に大きな影響力を持つだけでなく、その影響力に見合う社会への貢献が期待されています。
    当該会社のオーナーは、公益財団法人を通じて、学術・文化・芸術の振興、福祉・教育の増進等、さまざまな社会貢献を行うことで、広く社会的責任を果たすことが可能となります。

    Q66 一般社団法人を利用した相続税スキーム?

    公開日:2018/05/14 最終更新日:2020/07/26

    DR140

     

     

    相続対策の一つとして・・
    「一般社団法人」を設立して、自社株や収益不動産を移転させる!などの節税本がよく出回っていますよね!
    今回は、この「スキーム」と、2018年の「税制改正」をまとめます。
    行き過ぎた「節税対策」に歯止めがかかる改正として、注目されています。



     

    1. 一般社団法人の特徴

    一般社団法人とは、営利を目的としない「非営利法人」です。
    株式会社との大きな違いは、「利益の分配が行えない」点です。
    とはいっても、利益を獲得する活動は可能ですし、「公益性」も必ずしも要求されませんので、自由に事業は行えます。
     
    また、株式会社のような「出資」は強制されず、「人が集まること」を要件に、法人格を取得することができます
    (人=個人だけでなく、法人も含む)。
     
    株式会社と比較すると、こんな感じです。

     

    株式会社 一般社団法人
    設立時必要人数 1人以上 2人以上
    出資金 1円以上 不要
    設立費用 高い 安い
    剰余金の分配 不可
    残余財産分配 不可
    許認可 不要 不要

     



     

    2. なぜ節税になる?

    一般社団法人は、株式会社と異なり、「出資金」や「持ち分」の概念がありません
    簡単に言うと・・誰のものでもないんですね。
     
    通常の株式会社は、出資額や留保利益に「持ち分」が存在するため、この「持ち分」につき、相続税がかかってきます。
    一方、一般社団法人は、いくら利益を稼いでも、「持分がない」ので、相続税はかからない・・という感じです。
     
    例えば、評価額の高い「収益不動産」や「自社株式」を、遺言・売却・贈与等何らかの形で、一般社団法人に移しておけば、その後、相続税は課税されないことになります。

     

    ただし、一般社団法人に財産を移す際には、贈与税や所得税が課税されます!
    でも・・移す時点で、一旦「贈与税」や「所得税」を支払ってしまえば、一般社団法人には永久的に相続税が課税されない・・というロジックになります。
     
    ちょっと・・びっくりですね。

     

     

    3. 課税関係

    (1) 生命保険金の非課税枠総額の計算

     

    ① 所得税(or法人税)課税
    個人が所有する不動産等を、一般社団法人に贈与する場合、「時価で譲渡」したものとして「譲渡所得課税」が発生します。
    一方、贈与を受けた「一般社団法人側」は、その「受贈益」に対して「法人税」が課税されます。

     

    ② 相続税or贈与税
    一般社団法人への贈与により、相続税等が不当に減少する場合は、一般社団法人を個人とみなして「贈与税等」が課税されます(相法66条④)
     
    相続税法第66条第4項
     

      持分の定めのない法人(一般社団法人)に対し、財産の贈与又は遺贈があった場合において、当該贈与又は遺贈により当該贈与又は遺贈をした者の親族その他これらの者と特別の関係がある者の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められるときは、当該法人を個人とみなして、贈与税又は相続税を課する。


     
    例えば、個人が、相続税を減らすために「一般社団法人」を設立して、個人の財産を贈与した場合どうでしょうか?
    この場合、上記の規定があるため、資産を移したときに「贈与税等」が課税されます。
     
    つまり、一般社団法人に贈与した時点では、上記の規定があることにより、歯止めがかかってるんですね。
    この時点での「相続税節税効果」は・・ありません。

     
    (不当に減少する結果とならない場合)~「非営利型法人」~
    以下①~④の要件を充たす場合です(相施令33③)
     


    ① 運営組織が適正であり、定款等で、理事等に占める3親等内の親族割合を1/3以下とする定めを設けること。
    ② 一般社団法人に関係する「特定の者」に、特別の利益を供与しないこと。
    ③ 定款等で、解散時の残余財産は、国等に帰属させる旨の定めを設けること。
    ④ 一般社団法人に法令違反、仮装隠蔽等がないこと。

     

    上記の規定は、現実的にはかなりハードルが高いので・・
    現実的には、「贈与」は難しく(=贈与税がかかるため)、「売買」で移転することが一般的です。
     
    売買の場合、「入り口時点」では譲渡所得税はかかりますが、「出口時点」、つまり譲渡後の時価上昇による相続税等の影響は避けることができます。

     

    (まとめ)

    適正価額での譲渡
    • 一般社団法人は個人とみなされず、「贈与税等」は課せられない。
    • 譲渡側に「譲渡所得税」はかかるが、その後の時価上昇による相続税等の影響は避けることができる。
    無償での贈与
    • 一般社団法人を個人とみなして「贈与税等」かかる。



     

    (2) 一般社団法人に財産を移した後の税金

    一般社団法人は、株式会社と異なり、「出資」や「持ち分」の概念がありません。
    ですので、原則的には、構成メンバーに「相続が発生」しても相続税は課税されません。
    でも・・ここが、2018年の税制改正で変更された論点なんですね。



     

    4. 税制改正

    2018年の税制改正で、一般社団法人等に対する「相続税」や「贈与税」の見直しが行われました。
    一般社団法人設立による「租税回避行為」を阻止し、課税の公平性を確保することが目的です。

     

    ① 個人純資産に課税
    従来は、一般社団法人の役員が死亡しても、一般社団法人を「個人」とみなして相続税が課されることはありませんでした。
    しかし、税制改正により、「特定一般社団法人等」については、死亡役員(理事に限る)に対応する純資産額を、遺贈で取得したものとして、特定一般社団法人等に相続税が課される形に改正されました。

     

    ② 一般社団法人に対する贈与税課税の見直し
    一般社団法人に対する贈与でも、相続税や贈与税の負担が「不当に減少する結果とならない場合(=「非営利型法人」)には、贈与税は課税されません。
    今回の改正により、この要件が明確となり、いずれか1つでも満たさない場合には、贈与税または相続税を課税するという点で、規定が明確化されました。
    (上記3(1)「不当に減少する結果とならない場合」をご参照ください。)

     

    ③ 改正税法適用時期

    • 2018年4月1日以後の理事等の死亡に係る相続税・贈与税
    • ただし、設立が2018年3月31日までの一般社団法人等は、2021年4月1日以後の理事等の死亡に係る相続税について適用。

     

    相続税対策は、正直、課税当局とのいたちごっこです。
    仮に「現行税法」で節税できたとしても、将来的な税制改正は読めませんし、「過度な節税」には必ず歯止めがかかります。
    そういった意味で、一時だけの節税対策は、長い目で見ると、あまり意味がないのかもしれませんね。

    Q32 コインパーキングの相続税評価は?

    公開日:2017/06/22 最終更新日:2020/02/04

    DR097

     

    今回は、土地を「コインパーキング」などで利用する場合の相続税評価です。
     
    一般的に、土地が更地の場合は、「自用地評価」を行います。
    また、自らが青空駐車場や、アスファルト舗装して「月極」で貸している場合も、更地同様に「自用地評価」となります。
     
    ただし、コインパーキングのように、外部委託して駐車場経営してもらう場合は、自用地評価額から「賃借権」部分を差し引くことができます。
    前回の「借地権」と似ていますね。

     

    1. 賃借権部分の評価

    (1) 駐車場の活用方法によって異なる

    一言で「駐車場」といっても、自ら駐車場として貸す場合と、コインパーキング業者に貸す場合など、さまざまです。
    実は・・駐車場の活用方法により、相続税の評価が異なってきます。
     

    ①  自らユーザーに直接貸す場合は ×

    コインパーキング業者ではなく、自らが、その土地を、月極等によりでユーザーに直接貸しているような場合は、「更地評価」となります(アスファルト舗装などしていても、更地評価)。
     
    自ら駐車場として直接ユーザーに貸す行為は、一見「土地」を貸しているようにも錯覚しますが、これは、土地の利用そのものを目的とした賃貸借契約ではなく、「一定期間、自動車を保管する契約」と取り扱われます。
    したがって、自ら駐車場を直接ユーザーに貸す場合は、「賃借権部分」の控除はできません。

     

    Q32-1

     

    ②  業者に貸した場合は?

    では、コインパーキング業者などに土地を貸す場合はどうでしょう?
    この場合は、一般的に、「借りた業者側の費用で、車庫などの施設を造ることを認める契約」となりますので、「土地の賃貸借」になります。
    したがって、「賃借権相当」を控除することができます。

     

    32-2

     

    (2) 賃借権の評価額は?

    「賃借権」の評価額は、以下のように決められています。

     

    ①  地上権に準ずる賃借権(賃借権の登記がされている、堅固な構築物が施されている等)

    下記いずれか低い方の価額。

    • 自用地としての価額 ×( 1 – 法定地上権割合又は借地権割合)
    • 自用地としての価額 ×( 1 – 残存期間に応ずる割合)

     
    (残存期間に応ずる割合)

    賃借権の残存割合 5年以下 5年超10年以下 10年超15年以下 15年超
    割合 5% 10% 15% 20%

     
     

    ② 上記①以外の賃借権

    下記いずれか低い方の価額。

    • 自用地としての価額 ×( 1 – 法定地上権割合又は借地権割合)
    • 自用地としての価額 ×( 1 – 残存価額に応ずる割合 × 1/2 )

     
    (残存期間に応ずる割合)

    賃借権の残存割合 5年以下 5年超10年以下 10年超15年以下 15年超
    割合 2.5% 5% 7.5% 10%

     

    実務上は、ほとんどが、上記②に該当します。
     
    ちなみに、土地所有者が、「管理会社」を設立し、その会社が駐車場を経営する場合はどうでしょうか?
    この場合は、一般的に土地所有者と管理会社間で「土地の賃貸借契約」を交わしますので、「賃借権の控除」ができますよ!

     

    2. 小規模宅地の特例の適用

    先ほど、自らが経営する駐車場は「更地評価」となるという点をお伝えしましたが、
    この場合でも、別途「小規模宅地等の特例」の適用は可能です。
     

    (1) 青空駐車場は×・アスファルトはOK

    事業用宅地として「小規模宅地等の特例」を受けるためには、下記の要件が必要です。

     

    ① 相当の対価を得て継続的に行う事業であること

     

    ② 一定の建物または構築物の敷地の用に供されているものであること

     
    この点、青空駐車場は × ですが、アスファルトは「構築物」に該当します。
    つまり、アスファルト舗装の駐車場は、自ら経営している場合でも、貸付事業用宅地等の特例の適用が可能です。
    一部のみがアスファルトであれば、該当部分のみ「小規模宅地等の特例」の適用となります。
     
    なお、コインパーキングなど第三者に貸している場合も、同様に、小規模宅地等の特例の適用は可能です。
    小規模宅地等の特例では、「建物等の所有者」=「土地の所有者」という要件までは求められていないので、たとえ、外注先がアスファルトを埋め込んだとしても(自分の所有ではない)、「貸付事業用宅地の特例」の適用は可能なんですね。

     

    (2) 砂利敷きや、ロープ、止め石だけの場合は?

    ロープ、止め石だけの場合は、「構築物」に該当しないので、青空駐車場と同様になります。
    砂利敷きは、構築物に該当し、適用が可能です(耐用年数15年)。
    ただし、砂利の量が少ない場合などは、特例の対象外と判断される場合あるようです。
    駐車場全体に砂利を引いている場合なら、ある程度費用もかけていますし、事業性があると判断されるのではないでしょうか!

     

    (3) 空き部分に適用は?

    コインパーキングの空き部分があっても、「賃貸募集」を適切に行っていれば、「敷地全体」に貸付事業用宅地等の特例の適用が可能です。

     

    (4) 自家用車を止めている部分は?

    自家用車両の駐車部分は「貸付事業の用」に供されていませんので、「面積按分等」により貸付部分のみを割り出し、「貸付事業用宅地等の特例」を適用します。

     

    3. まとめ

    更地よりは、駐車場として活用する方が、相続税上はかなり有利になりそうですね。
    居住用の土地よりも固定資産税は若干高いですが、マンション建設ほど資金負担もいりませんし、気軽に始められるビジネスです。
    一つの相続対策として活用されてはいかがでしょうか?

     

    4. 参照URL

    (貸駐車場として利用している土地の評価)
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4627.htm