Q106「配偶者居住権」が消滅した場合に税金はかかる?

公開日:2020/06/23 最終更新日:2020/11/26

DR183

 

 
「配偶者居住権」は、配偶者が亡くなるまで(or 当初設定期間)まで存続し、途中で譲渡することも、当初の設定期間を変更することもできません。
配偶者が亡くなったときや、当初の設定期間が終了した時点では、権利が消滅し、課税関係は生じません
 
ただし、配偶者居住権は、「途中で消滅させる」ことが可能です。
例えば、合意解除や放棄などにより、途中で「消滅」させることは可能です。
また、配偶者が勝手に賃貸・増築等をした場合などは、一定期間後、所有者側から配偶者居住権を消滅させることも可能です(民1032条Ⅲ、Ⅳ)。

このように、配偶者居住権を途中で「消滅させた」場合には、「課税関係」が生じる場合があります。


 

1. 対価を得て消滅させたかどうか?

配偶者居住権を消滅させた場合、有償で消滅させたかどうか?により、課税関係が異なってきます。
 

取扱い 課税される人
有償で消滅 譲渡所得として課税。
現状は、「分離課税」の対象とはなっていないため、総合課税となる。
配偶者
無償で消滅
(低廉譲渡も含む)
原則として,配偶者から贈与があったものとみなされ,消滅直前の配偶者居住権等の価額に相当する利益の額に対し贈与税が課税(相基通9-13の2 )。 居住建物等所有者
(受贈者)

 

(通常の土地建物を譲渡した場合との比較)
通常の土地建物の譲渡 配偶者居住権の有償消滅
分離課税 総合課税

 
配偶者敷地利用権は、「小規模宅地等の特例」の適用が可能ですが、一般的な土地の譲渡の課税方式である「分離課税」ではなく「総合課税」になります。

 

2. 有償で消滅させた場合の譲渡所得算定方法

譲渡所得金額(総合課税)= 譲渡価額 -(取得費 + 譲渡費用)– 50万円


 

(1) 「短期」か「長期」かで課税対象が異なる

「短期譲渡所得」か「長期譲渡所得」か、で課税対象が異なります(所22、33、38)。
 

区分 課税対象
短期譲渡所得 全額
長期譲渡所得 2分の1が総合課税の対象


 

(2) 長短区分の判定方法

「長短」の判定は、結論的には「被相続人の取得時期」を引き継いで長短区分を行います。
 

短期譲渡所得 被相続人の取得時期より5年内の消滅
長期譲渡所得 被相続人の取得時期より5年超の消滅

 
原則的な長短区分は、「配偶者居住権等」の取得日以後5年内の譲渡かどうか?という条文構成となっていますが、一定の消滅の場合は、短期譲渡所得から除く規定があり(所施令82)、実質的には上記の判定となります。

 

3. 取得費の算定方法

(1) 配偶者居住権(建物)

居住建物等の取得費(※1)× 配偶者居住権等割合(※2)– 減価の額(※3)

(※1)建物取得日 ⇒ 配偶者居住権取得時までの「価値減少額」は減額する
(※2)配偶者居住権設定時における ①配偶者居住権等の価額 ÷ ②居住建物等の価額
(※3)配偶者居住権の取得費 ÷ 配偶者居住権の存続年数 × 取得時から消滅時までの年数


 

(2) 配偶者敷地利用権(土地)

居住土地の取得費(※)× 配偶者居住権等割合

(※)「配偶者敷地利用権の取得費 ÷ 配偶者居住権の存続年数 × 取得時から消滅時までの年数」は、取得費から控除する。


 

4. ご参考~配偶者居住権等消滅前に、対象建物等を譲渡した場合の取得費

配偶者居住権の目的となっている建物や土地等を、配偶者居住権等が消滅する前に譲渡した場合、「取得費」は以下で算定します。
 

居住建物等の取得費 – 配偶者居住権等の取得費