神戸で相続のご相談なら濱田会計事務所 各線三宮駅より徒歩5分
0120-932-116
平日9:00〜18:00 ※土日でも電話対応可能です。

お問い合わせ




Q19 遺産分割未了の場合の相続税申告

DR083

 

相続が発生した場合、相続人同士の話し合いにより「遺産分割」を行う必要があります。
一方、相続発生後10か月以内に「相続税申告書」を提出しなければいけません。
今回は、この「遺産分割」と「相続税申告書」の関係、そして「遺産分割が未了の場合の相続税申告」についてまとめます。

 

1. 遺産分割と相続税申告書の関係

実は・・「遺産分割」には、期限は特にありません。
一方、「相続税申告書」の提出は、相続発生後10か月以内に行わなければいけません。
 
では「相続税申告書」の提出が先なの?と思われる方もいるかもしれません。
しかし、現実的には、「遺産分割」は「相続税申告書提出期限」までに済ませておく必要があります。
なぜなら、「遺産分割」が確定しないと(= 各人が実際に相続すべき財産が決まっていないと)、相続税額が確定しないからです。
したがって、順番的には、「遺産分割」が先、その後に「相続税申告書」の提出を行います。

 

2. 遺産分割が確定しない場合の相続税申告は?

しかし、現実的には、遺族間での遺産分割の話し合いがまとまらず、「遺産分割」が「相続税申告期限」までに確定しない場合もあります。
この場合ってどうするんでしょうか?
 
「相続税申告書」の提出は相続発生後10か月以内、ここは待ってくれません。
期限を過ぎるとペナルティが課せられますので、必ず期限内に行わなければいけません。
でも、実際・・「遺産分割」が確定していないのに、どうやって「相続税申告書」を提出すればよいのでしょうか?
 
実は・・「遺産分割」が、相続税申告期限までに間に合わない場合、「いったん法定相続分で相続したと仮定して申告・納税を行う」ことになります。
法律上は、遺産を「共有取得したもの」として、各自の相続税額を算定します。
 
この場合の「相続税申告」は、あくまで仮申告・仮納税です。
つまり、一旦相続税申告書は提出しますが、将来、正式に「遺産分割」が確定した時点で相続税計算をやりなおし、再度「確定申告書」を提出します(「修正申告」「更正の請求」と呼ばれます)。
その時点で、当初納税額との差額を、相続人ごとに追加納付、還付を行うことになります。

 

3. 相続税申告期限までに遺産分割できない場合のデメリット

ただし、「遺産分割」が確定しないまま相続税申告書を提出する場合、相続税の大きな恩典が使えなくなる点に留意です。
特典が使えない ⇒ 当初支払う相続税額が多くなる = 期限内に相続税額を支払えない可能性!というリスクがあります。

 

(1) 小規模宅地等の特例が使えない

小規模宅地等の特例は、「土地の相続税評価額を5割~8割減額」し、相続税額をかなり安くしてくれる制度です。
 
しかし、この「小規模宅地等の特例」では、「相続税申告書の提出期限までに当該小規模宅地が分割されていること」が要件となります。
つまり、相続税申告期限までに「遺産分割」が行われていなければ、この特典は利用できません。
 
この結果、「遺産分割」が確定しないまま「相続税申告書」を提出する場合は、相続税額がかなり多くなることを想定しておかなければいけません。

 

(2) 相続税の配偶者控除が使えない

相続税の配偶者控除は、「相続財産が法定相続分または160百万円まで」の場合、相続税がかからないという制度です。
 
しかし、この「相続税の配偶者控除」では、「相続税申告書の提出期限までに配偶者が遺産分割や特定遺贈によって当該遺産を取得したこと」が要件となります。
つまり、相続税申告期限までに「遺産分割」が行われていなければこの特典は利用できません。
 
この結果、「遺産分割」が確定しないまま「相続税申告書」を提出する場合は、相続税額がかなり多くなることを想定しておかなければいけません。

 

4. 将来は改めて利用できる!

上記の通り、「遺産分割」が未確定のまま相続税申告を行うと、各種特典が利用できないことになります。
しかし、将来的に「遺産分割」が確定した場合には、改めて利用できますので、ご安心を!
以下の2つの制度があります。

 

(1) 申告期限後3年以内の分割見込書

当初の「相続税申告書」を提出する際に、「申告期限後3年以内の分割見込書」を税務署に提出しておくと、申告期限から3年内に分割が決定した時点で、小規模宅地等の特例を利用することが可能となります。
具体的には、分割確定から4ヵ月以内に「更正の請求」をすれば、これらの特例の適用を受けることができます。

 

(2) 遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書

「遺産分割」は、想像以上に遺族間でもめる場合が多く、申告期限から3年経過した時点でも、「まだ遺産分割が確定しない」ケースもあります。
この場合、もう一つ「救済方法」が用意されています。
 
申告期限後3年経過日翌日から2か月以内に、「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由(※)がある旨の承認申請書」を税務署に提出し、所轄税務署長の承認を受けます。
これにより、判決確定の日などから4か月以内に遺産が分割されれば、これらの特例を適用できます。

(※)やむを得ない事由とは、例えば、「相続人間で裁判等になっている」などの事情です。