Q21 小規模宅地等の特例と賃貸借・使用貸借の関係 ~同一生計親族が利用する場合とは?

 最終更新日:2022/06/03 閲覧数:11,617 views

 
小規模宅地等の特例の適用に当たっては、「被相続人が利用」又は「洞内生計親族」が利用している必要があります。
例えば、自宅につき、特定居住用宅地等の特例(小規模宅地等の特例)を適用するには、「相続開始直前において、被相続人又は同一生計親族が利用」している土地であることが必要です。
 
「被相続人が利用」している場合は、イメージしやすいと思いますが、「同一生計親族が利用する」場合とは、どういうケースでしょうか?

 

1. 「同一生計親族が利用」する場合は「土地を借り受けている」前提あり

まず、小規模宅地等の特例の対象となる土地は、「被相続人所有の土地」となります。
したがって、「同一生計親族が利用」している場合は、被相続人から同一生計親族が、土地や家屋を、何らかの形で「借り受けている」(=被相続人が貸している)場面に限定されます。
 
当該「借受形態」は、大きく①有償で借りる「賃貸借」、②無償で借りる「使用貸借」の2種類に分かれます。

 

2. 賃貸借と使用貸借での取扱いの違い

「同一生計親族が利用」するケースに該当するのは、被相続人から無償で借り受ける「使用貸借」の場合のみで、有償で借り受ける「賃貸借」は該当しません。以下、2種類に分けて解説します。

 

(1) 賃貸借の場合

被相続人から同一生計親族が有償の「賃貸借」で借り受けている場合は、被相続人がお金を収受している点を考慮して、「被相続人が事業として貸付」している土地と考えます。
 
つまり、この場合は、たとえ、「同一生計親族が利用」していた場合でも、「被相続人の事業用」と取り扱われ、「特定居住用宅地等の特例」ではなく、貸付事業用宅地等の特例を検討することになります。
 
なお、有償の「賃貸借」の場合、賃借人は同一生計である必要がなく、別生計でも適用は可能です。
 
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(2) 使用貸借の場合

被相続人から同一生計親族が、無償の「使用貸借」で借り受けている場合は、被相続人はお金をもらっていませんので、「被相続人の事業用」にはなりません。この場合に初めて、「同一生計親族が利用」していると考えます。
 
つまり、小規模宅地等の特例の「同一生計親族が利用」している場合は、同一生計親族の借受形態が「使用貸借」の場合に限定されます。
 
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3. 「同一生計親族が利用」するケースの具体例

(1) 同一生計とは?

「同一生計」のイメージですが、同居の有無は問いませんが、「財布が同じ」であるということを意味します。
相続税上、「同一生計」の定義はありませんが、所得税や法人税等には「生計を一」の規定があり(所基通2-47・法基通1-3-4)、基本的には、相続税上も、当該規定を踏襲した考え方となります。
 
基本的な考え方として、同居の場合は「同一生計」、別居の場合は、仕送りや常に「生活費」「療養費」等を支出して扶養しているような状況が要件となります。生活費のやり取りについては、「預金通帳等」で客観的に明らかにしておくことが重要となります。
 

(2)「同一生計親族が利用」するケースの代表例

例えば、以下のような場合は、「同一生計親族が利用」する場合に該当し、特定居住用宅地等の特例の適用が可能です。
 
①親所有の土地に、子供が建物を建てて、子供が住んでいる
②親子間で家賃の収受はない
③親と子は同一生計である

 
詳しくは、Q30で解説していますので、ご参照ください。

 

3. 賃貸借でも家賃相場が低い場合は?

形式上「賃貸借契約」を締結していたとしても、親子間の場合など、賃料が安い「低廉賃貸」の場合は、「賃貸借」と認められない場合があります。
 
貸付事業用宅地等の特例は、「相当の対価」での賃貸借が要件となりますので、「固定資産税」程度の賃料では賃貸借と認めてもらえない場合もあります。この場合は、逆に「被相続人の事業用」ではなく「同一生計親族の居住用」等と判定できるケースもあると思われます。
 
参考になりますが、当該「低廉賃貸」の論点は、「借地権ゼロの場合でも土地を80%評価できる際の「賃貸借」を判定する際と同様です。詳しくは、Q37をご参照ください。

 

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