Q21 小規模宅地等の特例と賃貸借・使用貸借の関係

公開日:2017/05/31 最終更新日:2020/01/25 閲覧数:4,529 views

DR085

 

「小規模宅地等の特例」を適用するためには、「相続開始直前において、被相続人又は同一生計親族が利用」しておかなければいけません。

「被相続人が利用」する場合はイメージしやすいと思います。
では、「同一生計親族が利用する」というのは、どういうケースなのでしょうか?

 

1. 被相続人から借り受けていることが前提

小規模宅地等の特例の対象となる土地は、「被相続人所有の土地」となります。
つまり、「同一生計親族が利用」するケースは、同一生計親族が、被相続人から土地又は家屋を「借り受けている」(=被相続人が貸している)場面に限定されます。
 
借受形態は、一般的に、①有償で借りる「賃貸借」、②無償で借りる「「使用貸借」の2種類がありますが、借受形態の違いにより、何か相違があるのでしょうか?

 

2. 同一生計親族が利用するケースは「使用貸借のみ」

実は・・「同一生計親族が利用」するケースに該当するのは、被相続人から無償で借り受ける「使用貸借」の場合のみで、有償で借り受ける「賃貸借」は該当しません。
以下、2種類に分けて解説します。

 

(1) 賃貸借の場合

被相続人から同一生計親族が、有償の「賃貸借」で借り受けている場合は、被相続人はお金をもらっている(=被相続人が事業として貸付している)ので、そもそも「同一生計親族の居住用・事業用」ではなく、「被相続人」の事業用となります(不動産貸付業も含む)。
逆にいうと、ここが「賃貸借」の場合、賃借人は同一生計である必要がなく、別生計でも適用されます。

 

Q21-1

 

(2) 使用貸借の場合

被相続人から同一生計親族が、無償の「使用貸借」で借り受けている場合は、被相続人はお金をもらっていませんので、被相続人の事業用にはなりません。
この場合に初めて、「同一生計親族」の居住用又は事業用となります。
 
つまり、被相続人と同一生計親族の借受形態が「使用貸借」の場合に初めて、「同一生計親族の居住用又は事業用」と判定されることになります。
 
逆に言うと、「使用貸借」の場合、借主が「別生計親族」であれば小規模宅地等の特例は適用されず、「同一生計親族」である場合のみ適用されることになります。
ここは非常に間違えやすい論点ですので、注意です。

 

Q21-2

 

なお、少し別の論点ですが、形式上「賃貸借契約」を締結していたとしても、賃料が安い「低廉賃貸」では「賃貸借」と認めてくれない場合があります。
「固定資産税」程度の賃料では賃貸借と認めてもらえない場合もありますので、要注意です。