Q26 複数土地がある場合の小規模宅地等の特例の併用

公開日:2017/05/31 最終更新日:2020/01/31

DR091

 

被相続人が保有している「宅地等」が複数ある場合、例えば、「居住用」「事業用」あるいは、「他に賃貸で利用している」場合など・・いろんなパターンがありますね。

小規模宅地等の特例には4種類あり、それぞれに「限度面積」があります。

 
では・・複数の宅地等がある場合、これら4種類の制度の併用はできるんでしょうか?
結論は・・それぞれの限度面積までは併用できます。
ただし、どれを併用するかにより、「合計面積に制限」が生じる場合がありますので、適用順序に気をつけないといけません!

 

1. 小規模宅地等の特例制度の種類

おさらいになりますが、小規模宅地等の特例(4つ)のそれぞれの限度面積をまとめます。

 

種類 内容 限度面積 減額割合
A 特定居住用宅地等 被相続人等が居住していた宅地等。 330㎡ 80%
B 特定事業用宅地等 被相続人等の事業用(除貸付事業)に使用されていた宅地等。 400㎡ 80%
B 特定同族会社事業用宅地等 特定同族会社の事業用(除貸付事業)に使用されていた宅地等。 400㎡ 50%
C 貸付事業用宅地等 被相続人等の貸付事業用(不動産貸付)に使用されていた宅地等。 200㎡ 50%

 

以下、A(特定居住用宅地等)・B(特定事業用宅地等・特定同族会社事業用宅地等)・C(貸付事業用宅地等)と略します。

 

2. AとBの併用(居住用VS事業用・特定同族会社事業用の併用)

A(居住用)とB(事業用・特定同族会社事業用)は併用でき、合計制限はありません。
つまり、AとB合わせて最大730㎡(330㎡ + 400㎡)まで適用可能です。
 

(例)居住用300㎡、事業用400㎡を保有している場合
 ⇒A(居住用)300㎡、B(事業用)400㎡全額が対象となります。

 

3. Cと、A・Bの併用(貸付事業用VSそれ以外)

C(貸付事業用)と、それ以外を併用する場合には「合計制限」があります。
「限度額の計算式」は、以下となります。
 
(限度額計算式)

Q26-1

少し式だけですと・・わかりにくいと思いますので、「具体例」で解説します。

 

4. 具体例

(1) 居住用330㎡、賃貸マンション100㎡保有の場合(= CとAの併用)

 

① 居住用を優先する場合(= Aを優先)
  • この場合は、居住用A 330㎡(全㎡)をあてはめて終了です。
    (「限度額計算式」にあてはめると、既に200㎡マックスで余裕なし)
    ⇒賃貸用(C)を使う余裕はない。

 

② 賃貸マンションを優先する場合(= Cを優先)
  • まず、賃貸マンションC 100㎡(全㎡)をあてはめ。
    ⇒「限度額計算式」にあてはめると・・まだ余裕ありそう。次へ
  •  

  • A「居住用」は?
  • 「限度額計算式」に、既に利用したC100㎡をあてはめ、逆算でAが利用できる限度額を求める。
    ⇒200㎡ – 100㎡ = 100㎡
    ⇒100㎡ ÷ 200 × 330 = 165㎡・・A 居住用特例が利用できる㎡数

 

(2) 居住用330㎡、事業用400㎡、賃貸マンション100㎡保有の場合(A・B・Cすべて併用)

 

① 居住用・事業用を優先する場合(A・Bを優先、Cは使わない)
  • この場合は、居住用330㎡、事業用400㎡をあてはめて終了です。
    (AとBの合計制限はなく、合計730㎡まで利用できるため)

 

② 賃貸マンションを第1優先→居住用を第2優先する場合(C⇒A)
  • 上記事例(1)②と同じ、A居住用特例が利用できる㎡数は165㎡。

 

③ 賃貸マンションを第1優先→事業用を第2優先する場合(C⇒B)
  • まず、賃貸マンションC 100㎡(全㎡)をあてはめ。
    →「限度額計算式」にあてはめると・・まだ余裕ありそう。次へ
  • B「事業用」は?

 
「限度額計算式」に、既に利用したC 100㎡をあてはめ、逆算でBが利用できる限度額を求める。
⇒200㎡ – 100㎡ = 100㎡
⇒100㎡ ÷ 200 × 400 = 200㎡・・B事業用特例が利用できる㎡数

 

5. まとめ

「小規模宅地等の特例」の適用要件を満たす宅地が複数ある場合、併用が可能です。ただし、「貸付事業用宅地等」を混ぜる場合には、合計制限があります。
どの組合せが有利になるか?は、土地の単価、面積、減額割合等によって違ってきますので、結局は、いろいろシミュレーションして決定します。
どれが税額一番安くなるか?を考えながら意思決定されることをお勧めします!