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Q29 二次相続まで考えた「小規模宅地等の特例」の活用

公開日:2017/06/22 最終更新日:2020/02/04

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「小規模宅地等の特例」は、かなり相続税額が安くなる恩典です。
せっかくなので、一番税額が安くなる方法で利用したいですね。
 
今回は、小規模宅地等の特例を利用するタイミングや、誰が利用したらお得になるのか?をまとめました。

 

1. 一般的な相続の場面を考えると?

例えば、「夫婦 + お子さんが1人いる場合」を考えてみます。
通常、このお子様が「相続の場面」に遭遇するのは2回です。
(父母それぞれが亡くなった時。一度目の相続は「一次相続」、二度目の相続は「二次相続」と呼ばれます。)
 
この点、配偶者には、「配偶者の税額軽減の特例制度」という特典が認められていますので、一次相続では配偶者が全額相続するのが無難?と考える方は、意外と多いかもしれませんね。
 
でも・・実は、相続税の節税を検討する場合、一次相続だけでなく、二次相続も含めた総額で考えないと、片手落ちになる場合があります。
二次相続まで考えると、一次相続で、必ずしも「配偶者」が全額遺産を引き継ぐ結論がよいとは限りません。

 

2. 一次相続では「配偶者以外」が小規模宅地等の特例を使う!

まず、一次相続を考えます。
先ほどの、夫婦とお子さん1人のケースですと、お父様が亡くなって、お母様とお子様が相続する場面です。
 
先ほどお伝えした通り・・配偶者が相続する場合、相続税上、かなり手厚い恩典が認められています(配偶者の税額軽減の特例制度)。

この制度を利用すると、配偶者が相続する場合には、1億6000万円 or 法定相続分相当額(の多い方)まで、相続税がかかりません。

つまり、一次相続では、そもそも「小規模宅地等の特例」を使わなくても、配偶者に相続税がかからないケースが多いんです。
 
であれば・・一次相続では、「配偶者以外」が小規模宅地等の特例を適用した方が・・お得なケースがあるかも?ですね。
お子さんが同居等の条件を満たすのであれば、一時相続では、お子さんが土地を相続して「小規模宅地等の特例」を適用したほうが、相続税の節税につながるケースがあります。

 

(イメージ図)

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3. 具体例~

 

(一次相続)

  • 父死亡。相続人は母親、長男1人の2人。
  • 父の遺産総額8,000万円(うち、3,000万円は居住用宅地(330㎡以内))。
  • 一次相続時点では、母・長男とも、居住用宅地等の特例要件は満たしている。
  • 一次相続は、法定相続分で相続するものとする。

 

(二次相続)

  • その後、母死亡。相続人は長男1人。
  • 母死亡時、母には一次相続で父から引き継いだ財産がすべて残っていたものとする。
  • 母は、一次相続で相続した財産の他、固有の財産として4,000万の預金を保有している。
  • 二次相続の時点では、長男には持ち家があり、居住用宅地等の特例要件を満たしていない。
  • 二次相続は、法定相続分で相続するものとする。

 

上記例題は、二次相続時点では、長男は「小規模宅地等の特例要件は満たしていない」ということですので、一次相続の場面のみ、母、長男どちらが、小規模宅地等の特例を適用するか?(= 土地をどちらが相続するか? )の選択が可能となります。

 

4.ケース1 一次相続で、母が居住用財産を相続し、特例を適用する場合

(1) 一次相続の計算

 

① 課税総額

 8,000万円 – 土地の減額(3,000万円 × 80%)= 5,600万円

 

 

② 基礎控除額

 3,000万円 + 600万円 × 2人(母親・長女)= 4,200万円

 

 

③ 課税遺産総額(① – ②)

 5,600万円 – 4,200万円 = 1,400万円

 
 

④ 相続税総額(法定相続割合)
  • 母親:1,400万円 × 1/2(法定相続割合)× 10%(税率)= 70万円
  • 長男:1,400万円 × 1/2(法定相続割合)× 10%(税率)= 70万円

 ⇒ 合計140万円

 
 

⑤ 各相続人の遺産配分及び各人相続税額(法定相続割合)

 

実際の遺産配分 相続配分割合(※1) 相続税額(※2) 配偶者控除後
母親 4,000万円
(うち、居住用財産3,000万円)
1,600万円(16/56) 40万円 ゼロ
長男 4,000万円
(うち、居住用財産 0円)
4,000万円(40/56) 100万円 100万円
合計 8,000万円 5,600万円 140万円 100万円

 

(※1)母が一次相続で、土地を相続し、「小規模特例」を適用しますので、
 ⇒母の実際相続税の配分割合は、16/56(1,600万円 ÷ 5,600万円)となります。

  • 母 遺産取得額・・(4,000 – 3,000)+ { 3,000 ×(1 – 80%)} = 1,600万円
  • 長男遺産取得額・・4,000万円
  • 合計 母 + 長男 = 1,600万円 + 4,000万円 = 5,600万円

 
(※2)

  • 母親:140万円 × 16/56 = 40万円 ⇒配偶者控除で最終ゼロ
  • 長男:140万円 × 40/56 = 100万円

 
(結論)
一次相続における合計相続税額は、100万円(長男のみ相続税発生)。

 

(2) 二次相続の計算

 

① 課税総額

 8,000万円
 ⇒ 4,000万円(母固有の財産)+ 一次相続母引継財産4,000万円(うち、居住用財産3,000万円)の合計
 

 

② 基礎控除額

 3,000万円 + 600万円 × 1人(長女のみ)= 3,600万円

 

 

③ 課税遺産総額

 8,000万円 – 3,600万円 = 4,400万円

 

 

④ 相続税総額

 長男のみ 4,400万円 × 20% – 200万円 = 680万円

 

(3) 合計相続税額(一次+二次)

 100万(一次)+ 680万(二次)= 相続税トータル 780万円

 

5. ケース2 長男が一次相続で居住用財産を相続し、特例を適用する場合 

(1) 一次相続の計算

 一次相続の計算は、ケース1(1)①~④まで同じ計算となります。
 ⑤ の「各相続人の遺産配分及び各人相続税額」の計算だけが異なります。
 

実際の遺産配分 相続配分割合(※1) 相続税額(※2) 配偶者控除後
母親 4,000万円
(うち、居住用財産0円)
4,000万円(40/56) 100万円 ゼロ
長男 4,000万円
(うち、居住用財産3,000万円)
1,600万円(16/56) 40万円 40万円
合計 8,000万円 5,600万円 140万円 40万円

 

(※1)長男が一時相続で、土地を相続し、「小規模特例」を適用しますので、
 ⇒ 長男の実際相続税の配分割合は、16/56(1,600万円 ÷ 5,600万円)となります。

  • 母 遺産取得額・・4,000万円
  • 長男遺産取得額・・(4,000 – 3,000)+ { 3,000 ×(1 – 80%)} = 1,600万円
  • 合計 母 + 長男 = 4,000万円 + 1,600万円 = 5,600万円

 
(※2)

  • 母親:140万円 × 40/56 = 100万円 ⇒ 配偶者控除で最終ゼロ
  • 長男:140万円 × 16/56 = 40万円

 
(結論)
一次相続における合計相続税額は、40万。 

 

(2) 二次相続の計算

 

① 課税総額

 8,000万円
 ⇒ 4,000万円(母固有の財産)+ 一次相続母引継財産4,000万円(うち、居住用財産 0円)

 

 

③ 基礎控除額

 3,000万円 + 600万円 × 1人(法定相続人)= 3,600万円

 

 

④ 課税遺産総額

 8,000万円 – 3,600万円 = 4,400万円

 

 

④ 相続税総額

 長男のみ 4,400万円 × 20% – 200万円 = 680万円

 

(3) 合計相続税額

 40万円(一次)+ 680万円(二次)= 相続税トータル 720万円

 

6. まとめ

どうでしょう?
上記例では、ケース2(長男が一次相続で土地を相続)の方が、相続税額が安くなりましたね。
もちろん、上記のような単純モデルだけではありません。
場合によったら損するケースもあります。
 
相続税額の節税を考えるにあたっては、「二次相続」まで含めたシミュレーションが大切だということです。

 

7. 「小規模宅地等の特例」は、2回使える?

小規模宅地等の特例は、同じ人は一度しか使えないの?という疑問を持たれる方もいると思います。
結論は・・同じ人でも、要件を満たせば何度でも利用できます!
 
例えば、一次相続で母と長男が半分ずつ相続し、二次相続で、長男が、母の分(半分)を相続する場合なども利用できます。
やり方によってはお得になるケースもありますよ!
(なお、同じ土地を共有名義で取得した場合も、要件を満たせば各人で「小規模宅地等の特例」の適用も可能です。)