Q34 同族会社や同族個人への賃貸借 借地権認定課税って?

公開日:2017/07/25 最終更新日:2021/12/30 閲覧数:9,592 views

 

第三者の土地の上に、建物を建てるためには・何らかの権利が必要となります。
この権利の部分は「権利金」と呼ばれ、一般的に金銭の授受が行われます。
しかし・・同族個人間や同族会社間では、金銭の授受が行われない場合があります。
この場合は・・ただでもらったことになるので、税金が課せられます。
これが「借地権認定課税」です。
 
今回は、同族関係にある個人や法人間で適用される「借地権認定課税」のお話です。

 

1. 借地権とは?使用貸借の場合は?

(1)借地権とは?

借地権とは、他人の土地を借りて、ご自身が建物を建てる際に、借主に認められる土地に関する権利です。
建物所有者は「借地借家法」で、権利が厚く保護されています。
一方、建物がない駐車場や資材置き場には借地権は認められません。

(※)権利金を授受する「取引慣行」のある地域の場合です。
一般的に、借地権割合が30%以上の地域は「取引慣行がある地域」とされています。
 

(2) 使用貸借の場合は?

例えば、親の土地上に、子供が建物を建てる場合、通常、親子間で金銭の授受は行いません。
個人間の貸し借りの場合、土地を無償で貸す「使用貸借」という契約があります。
使用貸借とは、ただで他人の物を使わせてもらう契約です(民法593条)。使用貸借の場合、借地借家法の適用はなく、借主は貸主からの返還請求があれば、原則として土地を明け渡さなければなりません。
したがって、「使用貸借」の場合は、借地権認定課税の論点は生じません。
あくまで、有償の賃貸借の場合に、今回の「借地権認定課税」の論点が発生します。

 

2. 権利金とは?

一般的に、貸した土地上に「他人の建物」が建つと・・?
当分の間・・貸した土地を返還してもらうことは、難しくなりますね。
 
そこで、第三者に(建物建設目的で)土地を貸し出す場合、それに見合う「権利金」の授受が行われるのが一般的です(※)
簡単に言うと、土地の所有権が制約されるので、その分「お金をもらう」ということですね。
権利金は「礼金」のようなもので、一般的には返還されません。

 

2. 権利金の金額の算定方法は?

権利金の金額は、「土地価格 × 借地権割合」の金額をベースに算定します。
 
上記式の意味は、以下の通りです。

そもそも、土地所有者の所有権が制約される理由は、借主に「借地権という権利が認められる」からです(Q31参照)。
つまり、土地所有者は、借主から「制約された借地権の評価額」に見合う「権利金」をもらえば、取り返すことができます。
この「借地権」は、「土地価格 × 借地権割合」で評価しますので、この価格が権利金の金額のベースになるという意味です。
(借主側は、支払った権利金の金額を「借地権」として計上します。)

 

(例)土地路線価が100百万円、借地権割合が60%の土地の場合

34-1

 

権利金の額(借地権の評価) 100百万円 × 60 % = 60百万円
土地の評価(借地権差引) 100百万円 × ( 1 – 60% )= 40百万円

 

この場合、借主は、土地所有者に「権利金」として60百万円を支払います。

なお、使用貸借の場合、借地権が存在しませんので、土地は基本的に更地評価となり、借地権部分を差し引くことはできません。
 

3. 同族間での土地の賃貸の場合は?

しかし、現実的には・・同族個人や同族会社へ土地を貸し出す場合、「権利金」の支払を行わないのが一般的です。
なぜなら、一般的に権利金は高額ですし、権利金のやりとりには「税金」がかかるからです。
簡単に言うと・・同族間では、何もやり取りしない方がお得なんですね。
 
でも・・「権利金のやりとり」がないからといって・・税金がかからないか?
税法は・・そんな甘くはありません。
 
税法上、「本来支払うべき権利金」を支払わない場合、その「得した分」に税金をかけようとします。
これが「借地権認定課税」
とよばれるものです。

 

ただし、この「借地権認定課税」の論点は、「同族関係にある個人及び法人間」という特殊なケースに対してのみ適用され、第三者間取引には適用されません。
なぜなら、第三者間取引の場合は、経済的合理性に基づいて取引すると考えられ、「借地権認定課税」の論点は、そもそも発生しないと考えられるからです。
また、地主が個人の場合、地主側には課税はありません。なぜなら、個人の場合は、営利を目的とした行動だけに限定されないため、所得税法では無償による資産の譲渡や役務の提供は課税されないためです。
 

地主 借主
地主が個人・借主が個人 課税なし 贈与税課税(※)
地主が個人・借主が法人 課税なし 借地権課税
地主が法人・借主が個人 給与課税 給与課税
地主が法人・借主が法人 寄付金課税 借地権課税

 

(※)ただし、使用貸借の場合は課税なし

 

4. 借地権認定されない場合は?

そうは言っても・・現実的には、一般的に多額になるであろう「権利金のやり取り」を、同族個人や同族会社に強いるのは・・かわいそうな面もあります。
そこで税法上、権利金の授受がない場合でも「借地権認定課税」が行われない場合が認められています
 
以下の2つのパターンです。

 

  • 相当の地代を収受する場合
  • 土地の無償返還届出書を提出する場合

 

次回以降、上記2つのパターンを解説します。