土地を有償で賃借する場合でも・・
権利金の授受を行う場合や、相当の地代を支払う場合、土地の無償返還に関する届出書を提出すれば・・?
「借地権認定課税」を回避することができます。
「借地権認定課税」が行われないということは?
土地所有者から見ると「借地権評価はゼロ」ですので・・
土地の評価は使用貸借の場合と同様、「100%自用地評価」になるはずです。
しかし、税法上、土地の賃貸借で「借地権評価がゼロ」の場合でも、100%自用地評価ではなく80%で評価することになっています。
1. 借地権ゼロの場合も80%評価
税法上は、「土地の無償返還に関する届出」の提出などにより、「借地権評価額」がゼロとなる場合でも、土地の評価は、自用地100%評価ではなく「80%評価」となります。
この考え方は、土地を貸している場合には、たとえ借地権がゼロの場合でも、「一定の利用制限」があることや、「借地借家法の制約」などを考慮したものだと思われます。
土地所有者からすれば、「借地権評価額ゼロ」の場合でも、土地の評価が20%低くできるので「お得感」がありますよね。
2. 同族法人株式を保有する場合の注意
ただし、土地を貸す先が、自らが株主である同族法人の場合は、注意が必要です。
この場合、自らが保有する「同族会社の株式評価」に際して、土地評価の際に差し引かれた20%部分を、「法人の純資産価額に加算」することになっています。
つまり、「土地」評価では20%減額評価ができる一方、自らが保有する「同族法人の株式」の評価上は、20%「純資産価額」に上乗せされてしまい、相殺されてチャラの可能性があるということです。
なお、この「株式評価額の加算」規定は、あくまで「土地所有者」だけが対象となりますので、「土地所有者以外」が保有する株式は、加算の対象となりません。
(イメージ図)
3. 例題
- 夫婦別々の土地を所有。当該土地を、夫が株主である同族会社に賃貸借(妻は非株主)
- 土地の無償返還の届出書を提出済
夫の土地部分の評価 | 夫所有の土地は80%評価となります。 ただし、夫の持つ同族会社株式の評価上は「法人の純資産価額」に20%加算されます。 |
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妻の土地部分の評価 | 妻所有の土地の評価は80%評価となります。 妻は同族会社の株主ではありませんので、妻所有の土地に関する部分は、20%の加算はありません。 |
4. 参照URL
(相当の地代を収受している場合等の貸宅地の評価)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sozoku/850605/01.htm
(株式評価の純資産価額算入)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hyoka/681028/01.htm