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Q39 養子縁組による相続税へのインパクト

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相続税論点の一つとして「養子縁組」という制度があります。
相続税と養子縁組?いまいち・・ピンとこないかもしれませんが・・
実は・・「養子縁組」を結ぶことで、結果的に相続税が安くなるケースがあります。

 
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1. 養子縁組って何?(民法)

まずは、法律上の知識からです。
養子縁組は民法で定められています。
親子関係でない者同士を、法律上親子関係にする制度です。
養子縁組には、次の2種類があります。

 

普通養子縁組 原則として、当事者の合意により自由にできる養子縁組(養子が未成年の場合は、家庭裁判所の許可が必要)。 実親との関係は継続しますので、二重の親子関係となります。
この場合、「実親」と「養親」の両方から相続できます。
特別養子縁組 両親の死亡や虐待など、特別な事情がある子供につき、家庭裁判所によって行われる養子縁組。 実親との関係がなくなり、養親だけが親となります。
この場合、相続は「養親」からのみとなります。 (「実親」からは相続できない)

 

2. なぜ養子が相続税に影響するの?

相続税上、養子は、実子と同様に取り扱われるため「法定相続人」が増えるからです。
法定相続人が増えると、相続税の「基礎控除額」や「生命保険金の非課税枠」が増加し、結果的に相続税額が安くなるケースがあります。
 
相続税対策として養子縁組が行われるケースは、全くの他人を養子縁組にするよりも、お孫さんや、お子様の配偶者などをご自身の養子に組み込む場合が多いです。

 

3. 相続税法上の「養子」の取扱い(原則)

民法上は、「養子縁組」できる人数に制限はありませんが、相続税法上は、養子人数につき「制限」があります。
相続税上、養子は実子と同様に取り扱われ、「法定相続人としてカウントできる」ので、歯止めの観点で上限を設けているんですね。
 
以下の通りとなります。

 

被相続人に「実子」がいる場合 1人まで
被相続人に「実子」がいない場合 2人まで

 

4. 相続税上も養子縁組に上限制限がないケース(例外)

次の場合は、例外的に、相続税上も「養子の上限制限」はありません。
 
(相続税法第15条第3項)

(1) 民法による「特別養子縁組」による養子
(2) 配偶者の実子(連れ子、養子も含む)が被相続人の養子になった場合(※)
(3) 被相続人との婚姻前に被相続人の配偶者の「特別養子縁組による養子」となった者で、その婚姻にその被相続人の養子となった者(※)
(4) 被相続人の実子・養子・直系卑属が、相続以前に死亡した(or 相続権を失った)ため、相続人となった直系卑属(=代襲相続人のこと)
 
(※)配偶者との婚姻関係を結んだ後に、被相続人と養子縁組をした場合のみです。
配偶者と婚姻関係を結ぶ前に被相続人と養子縁組を結んでいる場合は、通常通り「被相続人の養子」としての扱いとなり、上限制限があります。

 

5. 効果

養子縁組を行うと、法定相続人が増えるため、以下の効果があります。
 

  • 相続税の基礎控除額が増える( 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)
  • 生命保険金・死亡退職金の非課税枠が増える( 500万円 ×(法定相続人の数))

 
ちなみに、孫を養子にしなくても、遺産は遺贈等の方法で孫に渡すことは可能です。
しかし、孫は「法定相続人」ではありませんので(代襲相続除く)、孫が遺贈で財産を取得する場合は、相続税の「基礎控除額」や「非課税枠」は増えません。
一方、孫が「養子」になると、「法定相続人」が増えるため、「相続税の基礎控除額」や「生命保険金等の非課税枠」が増加します。
 
基礎控除を活用しながら、遺産を孫に「直接財産」が移転できる点でメリットがありますね。

 

6. 留意事項

養子縁組に際しては、次の点に注意しなければいけません。
 

(1) 実子がいる場合は事前に合意

実子がいる場合は、養子縁組を行う前に合意しておかないと、もめる元になります。
養子縁組の方の存在 ⇒ 相続人が増える ⇒ 実子の相続分が減ることを意味します。
もめた場合は、遺産分割が申告期限までに確定できず、各種税法の恩典を利用できない可能性もありますので、注意しましょう!(遺産分割できない場合のデメリットは、Q19をご参照ください。)
 

(2) 相続税の2割加算

前述の通り、「孫養子」は法定相続人にはなりますが、「相続税の2割加算の対象」になりますので、注意しましょう。
相続税対策で「養子縁組」をしたにもかかわらず、2割加算で相続税額が増えてしまうと意味がないので・・注意です。

 

(3) 節税目的の「養子縁組」は否認されるリスク

「相続税の負担を不当に軽減する場合は、・・養子を算入せずに税額を計算することができる」という規定があります
(相続税法63条)。
 
つまり、節税目的だけの養子縁組は否認されるリスクがあります
「養子縁組」を行う合理的な理由が必要です。
例えば、「面倒を見てくれた嫁に、遺産を引き継がせることで恩返ししたい」などでしょうか!
 
ちなみに、つい先日、最高裁で「節税目的の養子縁組でも直ちに無効とはいえない」という判決が出ました
(2017年1月31日)。
 
この判決は・・誤解しがちなんですが、民法上「有効」かどうかが争われただけです。
「節税目的の養子縁組であっても、民法上直ちに無効とはいえない」というだけで、「相続税上、節税目的の場合に100%有効」という判決ではありません・・ので!