Q5 【令和3年改正反映】親から子へ住宅取得資金贈与にかかる贈与税は?/共有名義や住宅ローン控除・110万非課税枠との関係は?

公開日:2017/02/10 最終更新日:2021/09/16 閲覧数:4,186 views

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親から子供に、「住宅取得資金」を一括贈与する場合は、原則として贈与税がかかります。
ただし、直系尊属からの贈与については、要件を満たせば最大1,500万円まで非課税となる制度があります(措置法第70条の2)「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度」といいます。

 

住宅ローン控除や、暦年贈与の年間110万円非課税制度との併用も可能ですが、併用する場合には注意事項があります。

今回は、住宅取得資金の贈与税非課税制度の概要と、住宅ローン控除、暦年贈与110万円非課税制度との関係につき解説します。

0.YouTube

 

1.住宅取得資金の贈与税非課税枠

住宅取得資金については、現在、下記の「贈与税非課税枠」が認められています。
 
住宅取得資金

(1)非課税限度額

非課税限度額は以下となります。贈与を受ける「受贈者」ごとの非課税限度額ですので、複数の贈与者で限度額が2倍になるわけではない点にも注意が必要です。

 

住宅等の契約時期 通常の非課税限度額 省エネ住宅の場合の非課税限度額
消費税率が10%の場合
(R2 4/1~R3 12/31)
1,000万 1,500万
上記以外の場合
(R2 4/1~R3 12/31)(※)
500万 1,000万

(※)個人間の売買で、住宅用家屋(中古住宅)を取得する場合は、原則として消費税等非課税のためこちらに含まれます。
 

(2)要件等

中古マンションや、増改築等も対象となります。
それぞれ、細かい要件がありますので、要件の詳細は、国税庁HPをご参照ください。

 

期間 ~令和3年12月31日まで
対象
  • 家新築・増改築・マンション購入・土地購入など
    • ①登記簿面積(or専有部分の床面積)40㎡~240㎡かつ居住用面積が半分以上
    • ②中古家屋の場合は、取得の日以前20年以内(耐火建築物の場合は25年以内)に建築されたものor地震に対する安全性基準に適合する証明があるもの
    • ③増改築等の場合は、費用が100万円以上に限定。
要件
  • 直系尊属からの贈与。直系尊属なので、おじ・おば×(養父母は〇)。
    受贈者の配偶者(子や孫等の配偶者)の直系尊属も×
  • 受贈者は、贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上
  • 受贈者の合計所得金額が2,000万円以下(新築住宅用家屋の床面積が40㎡以上50㎡未満の場合は、1,000万円以下)
  • 平成26年分までに「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けたことがない。
  • 贈与資金により取得する住宅が、自己の配偶者、親族などの(特別の関係がある人)から、取得をしたものではないこと
  • 翌年3月15日までに、住宅を取得・居住すること(または居住が確実である)共有持も含まれます
  • 贈与時に受贈者が日本国内に住所を有している
    (一定の例外あり)

 

なお、土地だけの取得の場合は、居住できませんので対象となりません。非課税制度を申請する人が家屋を取得している必要があります。例えば、住宅取得資金を贈与を受けた方が夫で、夫が土地購入、妻が家屋購入する場合などは・・対象とならない点に注意しましょう。資金贈与を受ける人と家屋所有者が一致している必要がある点に十分留意が必要です。

 

2.タイミングに注意

贈与はあくまで「お金」となります。住宅取得等「資金」の贈与税の非課税制度ですので、土地や建物など不動産本体の贈与は×です(先に立替や借入資金で住宅購入の資金を支払い、その後に「贈与資金」で清算や借入金の返済にあてるのも×)。

また、住宅取得資金の贈与税非課税枠を利用する場合は、贈与を受ける時期、居住開始時期につき、十分に留意が必要です。

 

(1)贈与を受けるタイミング

住宅取得を目的とした資金の贈与は、「入居前」に受ける必要があります。
入居後に受け取った場合は、制度を利用することができません。
 

(2)居住開始時期のタイミング

贈与を受けた年の翌年の3月15日までに住宅に居住することが要件になります。
売買契約を締結しただけでは「取得」には当たりません。
住宅の新築はスケジュール通りに進まないこともありますので、贈与を受けた後、翌年3月15日に居住できない場合もあるかもしれません。
したがって、贈与自体のタイミングは、居住開始の直前に受ける方がよいかと思います。

 
なお、上記要件を満たさない場合でも、入居の見込みがあると判断された場合は、最大で「贈与を受けた年の翌年12月31日までに居住」の例外的な取扱いが認められています。

(3)具体例

(例)令和4年3月31日に居住開始の場合
●贈与資金受取時期・・令和4年1月1日~令和4年3月31日
⇒令和3年中の贈与だと、翌年3月15日までに入居していないため、要件満たさない)
●贈与税申告時期・・令和5年3月15日(贈与を受けた年の翌年)

 

(4)ご参考~受贈者本人が居住開始できない場合~

仕事の関係等で受贈者本人が居住開始できない場合、生計を共にする家族が居住開始しているなど、一定要件満たすことで特例を適用することができます。
受贈者の生活の拠点となっているかどうか?という点が重視されます。
なお、居住開始の判断も「実際入居しているかどうか」の実態で判断します。住民票を移すだけでは十分ではありません。

 

3.贈与税申告書の提出期限/必要書類

贈与を受けた年の翌年3月15日までに、税務署に「贈与税申告書」の確定申告提出が必要となります。特例を適用することで全額が非課税となった場合にも、申告手続は必要です。

(添付書類)

  • 戸籍の謄本
  • 住宅の契約書の写し及び登記事項証明書

 
贈与税申告書提出時点では、贈与取得資金すべてを使い切っておく必要があります。使いきれない場合は贈与税の課税対象となりますので、注意しましょう。

 

 

4.住宅ローン控除との関係は?

住宅取得資金贈与の制度と、住宅ローン控除の併用は可能です。ただし、住宅ローン残高によって、住宅ローン控除の対象となる金額が減少する場合があるため、注意が必要です。
具体的には、住宅ローン金額と、下記を比較して低い方の金額が、住宅ローン控除の対象額となります。
 
住宅購入金額-贈与を受けた金額
 

(1)減少しないケース

(例)住宅取得資金贈与1500万円、ローン2,500万、4,000万の住宅を購入
  ⇒住宅ローン控除の対象となる金額は4,000万-1,500万=2,500万となります。
この場合は、住宅ローン残高2,500万円全額につき、住宅ローン控除可能です。
 

(2)減少するケース

(例)住宅取得資金贈与1500万円、ローン3,000万、4,000万の住宅を購入
  ⇒住宅ローン控除の対象となる金額は、4,000万-1,500万=2,500万となります。
この場合は、住宅ローン残高は3,000万に対し、住宅ローン控除の対象となる金額は2,500万円となります。
 

(3)暦年贈与非課税枠110万円との関係は?

住宅取得資金の贈与税非課税枠、住宅ローン控除は、どちらも暦年贈与の非課税110万との併用は可能です。
例えば、暦年贈与を活用して、住宅資金贈与非課税資金額を調整すれば、住宅ローン控除の額を減らさず有効に使える場合があります!
例えば、上記(2)のケースでは、住宅資金贈与非課税資金は1,000万円にすれば、住宅ローン控除は全額3,000万円つかえます(4,000万―1,000万)。
不足部分は、年間110万の暦年贈与非課税枠を5年間利用する形で調整します。

 

5.3年内生前贈与加算・暦年贈与との関係

住宅取得等資金贈与の非課税制度は、また、たとえ相続開始前3年以内のものであっても「相続開始前3年以内の生前贈与加算」の対象になりません。
つまり、住宅取得資金の贈与を使えば、「相続直前に贈与して相続財産を減らす」ことも可能となります。
 
一方で、暦年贈与(110万/年)については、「3年内生前贈与加算」の対象となります。
したがって、まずは、住宅取得等資金贈与の非課税制度を優先し、そのうえで暦年贈与を利用する形が良いかなと思います。
 

メリット デメリット
  • 最大1,500万円までが非課税
  • 相続開始前3年以内の生前贈与加算」の適用がない
  • 暦年贈与との併用可能
  • 贈与者の資金繰り
    贈与者自身の老後の資金繰りへの影響
  • 住宅ローン控除の額が減少する場合あり

 

6.共有名義の場合は?

例えば、夫婦共有名義で物件を購入する場合も、「住宅取得資金贈与の非課税枠」は利用可能です。
住宅取得資金贈与の非課税枠は、受贈者1人あたりの限度額となりますので・・
実は、夫婦共有で物件を取得すると、非課税の限度枠を2人それぞれで使えます。
つまり・・単独名義で物件を購入する場合と比較して「非課税限度額は2倍」になります。

ただし、あくまで、共有持分割合は、住宅購入資金負担割合での登記が必要です。また、住宅ローンの返済もそれぞれ支払する必要があります。購入後に夫が妻の分の住宅ローン返済を行うと・・贈与とみなされ課税される可能性があります。
 

7.参照URL

(住宅資金非課税制度のあらまし)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku/pdf/jutaku27-310630.pdf
 
(直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm
 
(措置法第70条の2関係)

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sozoku/091127/70_2.htm
  
(住宅取得等資金の贈与と住宅借入金等特別控除との関係)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/sozoku/17/08.htm
 
(居住の用に供したとき等)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sozoku/sochiho/080708/70_3/04.htm#a-2-2