Q50 入院給付金・手術給付金・がん診断給付金等は確定申告必要か?相続税・所得税との関係は?

公開日:2017/11/10 最終更新日:2021/10/16 閲覧数:2,618 views

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遺族の方は、被相続人の「死亡保険金以外」に、「手術給付金」や「入院・通院給付金」などを受け取る場合があります。
このうち、「死亡保険金」については、「みなし相続財産」として「相続税の課税対象」となりますが、一定の非課税枠が認められています。
 
では、死亡保険金以外の「手術給付金」や「入院・通院給付金」の課税関係はどうなるのでしょうか?
 
今回は、「手術給付金」「入院・通院給付金」と税金の関係をお伝えします。
 

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1. 手術・入院・通院給付金って何?

名前の通り、死亡の有無にかかわらず、手術・入院・通院した場合に受け取ることができる保険です。
一般的には、被保険者=受取人とするケースが多いです。
本来は、本人が生きていれば、本人自身が請求するものですが、お亡くなりになられた場合は、遺族の方が本人に代わってこれらを請求することになります。
 


 

2. 所得税は原則非課税

(1) 受取人=本人の場合

手術・入院・通院給付金は、「傷害に基因して支払われるもの」と取り扱われ、「所得税」はかかりません
 

(所得税施行令30条 非課税とされる保険金、損害賠償金等 抜粋)

身体の傷害に基因して支払を受ける・・心身に加えられた損害につき支払を受ける慰謝料その他の損害賠償金・・
 

(所基通 9-21 高度障害保険金等抜粋)

・・高度障害保険金、高度障害給付金、入院費給付金等・・令第30条第1号に掲げる「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」に該当・・

 

(2) 受取人=奥様等親族の場合

手術・入院・通院給付金は、たとえ奥様が受け取った場合でも、「傷害に基因して支払われるもの」と取り扱われ、「所得税」はかかりません。「本人の配偶者や直系血族、生計を一にするその他の親族」の場合のみ非課税となります(所基通9-20)。
 

(3) 受取人=上記以外の場合

その他の方が受け取る場合は、「一時所得」となります(所基通9-20)
 

(4)  相続開始前後でのまとめ

時期 保険請求者 所得税 理由
相続開始前 被相続人 非課税 傷害に起因して支払われるもののため
相続開始後 被相続人以外(※) 非課税

 
(※)「本人の配偶者や直系血族、生計を一にするその他の親族」の場合のみ非課税となります。
その他の方が受け取る場合は、「一時所得」となります(所基通9-20)



 

3. 相続税は課税

(1) 受取人=本人の場合

元々、「被相続人が受取人」である入院給付金等を、本人死亡後に親族が請求した場合、相続税上の取扱いはどうなるでしょうか?
 
「死亡保険金」と比べると分かりやすいです。
死亡保険金は本来、保険請求者(遺族)が原始的に取得したものであり、相続財産とはなりませんが、課税の公平性から「相続や遺贈とみなして」相続税が課税されるものです(みなし相続財産)。
これに対して、「入院給付金等」は、本来本人が請求すべき保険を、残された家族が代わりに請求しているにすぎません。
 
つまり、保険請求権の原始取得者は「お亡くなりになった本人」です。
したがって、「みなし相続財産」になる余地はなく、「本来の相続財産」となります。
この結果、死亡保険金であれば「みなし相続財産」として相続税の計算上非課税( 500万円 × 法定相続人の数 )が適用できますが、入院給付金等は、死亡保険金と異なり、相続税の「生命保険金の非課税枠」はありません(相基通3-7注書)。
 
相続税申告書では、これらの入院給付金等は、「未収金」等として財産の明細書に記載し、課税財産の価額に算入します。
 

時期 保険請求者 相続税 理由
相続開始前 被相続人 課税 死亡によって取得した「生命保険金等」
ではなく、本来の相続財産となります
相続開始後 被相続人以外 課税

 

(2) 受取人=配偶者の場合

入院給付金等の受取人を、「奥様」などにしておけば、保険請求権の原始取得者は最初から「配偶者」になりますので、被相続人の相続財産とはならない結果、「相続税の課税対象」からも外れます。
しかも、所基通9-20により、奥様には所得税もかかりません
これを考えると、最初から入院給付金の受取人は、「本人以外」にしておいた方がよさそうですね。
 
なお、受取人を配偶者とする場合、保険契約者と異なる点で、「贈与税」の課税対象となるようにも見えますが、結論的には「贈与税」の対象とはなりません。
なぜなら贈与税の課税対象となる保険金は、生命保険契約又は損害保険契約に基づく保険事故で「死亡を伴うもの」に限定されています。「入院給付金」等については、死亡を保険事故としないものですので、奥様が保険金を受け取ったとしても贈与税の課税対象とはなりません(相法5条)。
 

(相続税法第5条)贈与により取得したものとみなす場合
生命保険契約の保険事故(傷害、疾病その他これらに類する保険事故で死亡を伴わないものを除く。)又は損害保険契約の保険事故(偶然な事故に基因する保険事故で死亡を伴うものに限る。)が発生した場合において、これらの契約に係る保険料の全部又は一部が保険金受取人以外の者によつて負担されたものであるときは、これらの保険事故が発生した時において、保険金受取人が、その取得した保険金(当該損害保険契約の保険金については、政令で定めるものに限る。)のうち当該保険金受取人以外の者が負担した保険料の金額のこれらの契約に係る保険料でこれらの保険事故が発生した時までに払い込まれたものの全額に対する割合に相当する部分を当該保険料を負担した者から贈与により取得したものとみなす。



 

4. 参照URL

(所得税基本通達9-20)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/02/04.htm#a-04