Q58 数次相続と相続放棄の関係

公開日:2017/12/27 最終更新日:2018/01/09

DR126

 

 

相続放棄の期限(3か月)内に数次相続が発生した場合、亡くなった相続人の法定相続人である子は、第一次相続につき、「相続放棄」ができるのでしょうか?
 
第一次相続の相続人が、「相続放棄」の手続を行う前に、相続人が亡くなってしまった場合です。
 
ちょっとややこしいですね。
事例をもとに解説します。
 

 

1. 事例

  • 莫大な借金があった祖父がなくなった。
  • 父は、祖父の相続につき「相続放棄」をする予定であったが、祖父がなくなった直後に亡くなってしまい、相続放棄の手続を行っていなかった。
  • 祖父には莫大な借金がある一方、父には「財産」がある。
  • 子は、祖父の相続放棄を行った上、父の「財産」を相続することはできるか?


 

2. 結論

  • 上記の例の場合、第二次相続の相続人(子)は、父が保有していた「第一次相続権」と自分が保有する「第二次相続権」を併せ持つ立場となります。
    この場合、子は、それぞれの相続(第一次及び第二次相続)につき、「相続放棄」と「相続の承認」が可能です。
    つまり、子は、祖父の第一次相続のみを放棄し、父の第二次相続だけを承認することが可能です。
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  • 逆は×です。
    つまり、上記の例で、子が「第二次相続を放棄」し、「第一次相続を承認」することはできません。
    なぜなら、相続放棄をした場合、最初から相続人ではなかったとみなされるからです。
    つまり、第二次相続(父の相続)を放棄した時点で、最初から相続人ではなくなるため、第一次相続(祖父の相続)で本来父が保有していた祖父の「相続権」を引き継ぐ権利を放棄したことになります。
    したがって、第二次相続を放棄した時点で、第一次相続を承認することはできなくなります。
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  • なお、第一次相続の「放棄の期間」は、第二次相続の熟慮期間内に行うことができます。
    上記の例では、子が父の死亡を知り、自分が相続人になったことを知った時点が第一次相続及び第二次相続の3か月間の熟慮期間の起算点になります(民法916条)