1. 貸家建付借地権
(1) どんなもの?
「貸家建付借地権」とは・・
例えば、甲が、地主Aから土地を借りて、甲自身が建物をたて(甲に借地権発生)、甲が、当該建物を第三者Xに貸し付けている場合の「甲が保有する借地権」のことです。
- 土地の所有権は、地主Aになりますが、甲がAの土地上に建物を建てるためには、何らかの「土地を利用する権利」が必要となります。
この甲が保有する「土地を利用する権利」は、一般的に「借地権」と呼ばれています。 - また、賃借人Xが実際に建物を利用するためには、「土地・建物を使用する権利」が必要となります。
「建物を利用する権利」は、一般的に「借家権」と呼ばれています。
(土地・建物の権利関係をまとめると以下となります)
土地 | 建物 | 土地所有者A | 土地の所有権 | ― |
---|---|---|
建物所有者甲 | 土地を利用する権利(借地権) | 建物の所有権 |
建物賃借人X | 土地を利用する権利 (借地権の一部) |
建物を利用する権利 (借家権) |
- 地主Aは、土地の所有権を保有します。
- 建物所有者甲は、土地の所有権は保有していませんが、「土地を利用する権利」を保有しています(通常の借地権)。
- 甲は、建物を第三者Xに貸し付けていることから、甲の「土地を利用する権利」(=借地権)は、Xがいる分、制約されていることになります。
したがって、甲が保有する借地権は、借家人Xがいる分、通常の借地権よりも評価が下がります。
(2) 貸家建付借地権等の評価
借地権等の価額 × (1 - 借家権割合 × 賃貸割合)
- 借家権割合は、全国一律「30%」となっています。
- 賃貸割合とは、賃貸している部分の割合のことです。
2. 貸家建付地
(1) どんなもの?
貸家建付地とは・・
例えば、A所有の土地にA自身が建物を建て、当該建物を第三者Xに貸し付けている場合の「土地」の状態のことです。
- Aは土地の所有権のほか、土地を利用する権利(借地権)も保有しています。
- 賃借人Xが、実際に建物を利用するためには、「土地・建物を使用する権利」が必要となります。
- 「貸家建付借地権」と異なるのは、建物を建てるのが、地主なのか?他人なのか? という点です。
(土地・建物の権利関係をまとめると以下となります)
土地 | 建物 | 土地所有者A | 土地の所有権 | ― |
---|---|---|
建物所有者A | 土地を利用する権利 (=借地権) |
建物の所有権 |
建物賃借人X | 土地を利用する権利 (借地権の一部) |
建物を利用する権利 (借家権) |
- 地主Aは、土地の所有権を保有します。
- 貸家建付地の場合、土地と建物の所有者は同一人物です。
Aは、土地の所有権かつ建物所有者として「土地を利用する権利」(=借地権)も同時に保有しています
(通常の借地権)。
- Aは、建物を第三者Xに貸し付けていることから、Aはたとえ土地建物の所有者であっても、その土地の処分や利用が制限されます。したがって、Aが所有する土地の評価は、通常の所有権よりも評価が下がります。
(2) 貸家建付地の評価
土地等の価額 × (1 - 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)