Q72 【二世帯要注意】親子「リフォーム」で贈与税がかかる危険

公開日:2018/08/22 最終更新日:2021/07/01 閲覧数:7,593 views

DR146
 

前回に引き続き、今回もリフォームのお話です。
 
例えば、親子間で、親が子供のマイホームのリフォーム代を出してあげる、あるいは、逆のケースも結構あると思います。
これ・・親子だからって、あまり気にせずやっていませんか?
税務上は・・「贈与」と取り扱われますので、注意しましょう。



 

1. リフォーム部分の所有権

リフォーム部分は、「付合」(=建物と切り離せないモノ)により、所有権は「建物所有者」に帰属します(民法242)。
したがって、当該リフォーム代を負担した人が、建物所有者以外の場合、リフォーム部分については、「資金を負担した人から建物所有者への贈与」と取り扱われます。
 
たとえ親子間でも、「贈与税」の話が、セットでついてくるということですね。



 

2. 親が、「子供のマイホーム」のリフォーム代を負担した場合

親が、子供のマイホームの「リフォーム代」を負担した場合はどうでしょうか?
 
親から子供に贈与する場合でも、例えば教育費生活費については「贈与税」はかかりませんが、「リフォーム代」は、原則通り、贈与税の対象になります。
 
ただし、リフォーム代でも、「住宅取得等資金贈与の特例」要件を満たした場合は、例外的に贈与税がかからないようになっています。



 

3. 子が、「親のマイホーム」のリフォーム代を負担した場合

例えば、2世帯住宅を建築するケースなどでは、子供が親所有の建物のリフォーム代を負担するケースもあるでしょう。
この場合はどうでしょうか?
 
この場合は、「住宅取得等資金贈与の特例」の対象にはなりませんので、原則通り、贈与税が課税されます。
また、この場合、子供がリフォーム代につきローンを組んだ場合でも、リフォーム対象の建物は、子供所有ではありませんので、「住宅ローン控除」の適用もありません。



 

4. 贈与税を発生させないためには?

上記の通り、子供が親名義の建物リフォーム代を負担した場合は、普通に贈与税が発生します。
この場合、贈与税を発生させないためには、どうすればよいでしょうか?



 

(1) 現金で精算

リフォーム代相当額を、親から子供に現金等で支払えば、贈与税は発生しません。
現金で精算すれば、「経済的利益の移転はありません」ので、贈与税自体の論点は出てきません。
 
ただし、この場合も、お子様が当該リフォーム部分につき、住宅ローン控除を受けることは、相変わらずできません。



 

(2) 建物持分の移転

現金ではなく、「建物持分」を親から子供に移転させれば、親から子供に「現金を支払うのと同様の効果」があります。
 
具体的には、子供が支払ったリフォーム資金に相当する「建物持分」を親から子供へ移転させて「登記」します(共有名義)。
そうすると、お子様は、自分の建物にリフォームしたことと同じになりますので、「住宅ローン控除」を受けることも可能となります。



 

5. 持分移転登記の具体例

  • 親所有の建物(時価100万)につき、2世帯住宅にするため、子供が900万円のリフォーム代金を支払った。
  • リフォーム後の建物時価は1,000万円となった。
  •  
    Q72-1



     

    (1) リフォーム後の建物の価値

    • 100万円 + 900万円 = 1,000万円

    親のマイホームの価値は当初100万円⇒リフォーム後、1,000万円に増加
    ⇒増加後の親の持ち分価値が100万円になるように、持ち分を移転してあげればよいです。
    (1,000万円⇒100万円、差引900万円の持ち分移転)



     

    (2) 900万円の持ち分移転

    上記例では、リフォーム後の建物価値1,000万円のうち、親の元々の持分価値100万円を超えた 900万円を、親⇒お子さんに「持分移転登記」し、共有名義にすれば、現金を支払ったことと同様になりますので、贈与税はかかりません。
     
    ちなみに、この例では、元々の親のマイホームの建物価値は100万円ですので、リフォーム後1,000万円すべての建物につきお子様に移転登記しても、贈与税の非課税枠(年間110万円)の範囲内ですので、贈与税はかかりません。



     

    (3) 譲渡所得税は?

    持ち分移転部分の900万円は、親から子供に対しての債務(本来親が負担すべきリフォーム代を子供が支払ったために生じた、子供に対する債務)につき、不動産持ち分移転により「現物で弁済」したということになります。
     
    つまり親の立場から考えると、債務を息子に弁済しただけですので、譲渡所得税も発生しません



     

    6. YouTube