前回、角地の土地の相続税評価方法につきお伝えしましたが、実際は様々なパターンがあります。
今回は、特殊なケース1として、角地の「正面路線」と「側方路線」で、地区区分が異なる場合の評価方法をお伝えします。
目次
1. 具体例
この場合、角地の相続税評価額はどうやって行う?
2. 正面の判定
正面路線の判定は、路線価に、「奥行価格補正率」を乗じた金額が高い方となります。
正面路線価を決定する際の「奥行価格補正率」は、それぞれの地区に基づいた奥行価格補正率を用います。
- 250千円 × 1.00(奥行20mの普通住宅地区の奥行価格補正率)= 250千円
- 260千円 × 0.96(奥行36mの普通商業併用地区の奥行価格補正率) = 249.6千円
判定の結果、金額の高い250千円が正面路線(普通住宅地区)となります。
3. 角地の判定
次に、角地か準角地の判定を行います。上記の事例は、「角地」になります。
ただし・・今回の事例では、「正面路線価」と「側方路線価」、2つの路線の地区が異なっています。
この場合、「普通住宅地区」の角地で評価するのか?「普通商業併用住宅地区」の角地で評価するのか?迷いますよね。
どちらの角地として評価するかにより、「側方路線影響加算率」が異なり、結果的に土地の評価額も異なってきます。
結論ですが、こういった場合は、「正面」と判定された地区の角地とみなします。
今回の事例は、普通住宅地区が「正面」と判定されましたので、側方路線影響加算率は、0.03(普通住宅地区)となります。
4. 最終評価時の奥行価格補正率
一方、最終的に角地を評価する際は、正面路線価以外の路線の奥行価格補正率についても、正面と判定された路線側の地区の奥行価格補正率で計算します。
つまり、今回の事例ですと、普通商業・併用住宅地区に属する側方路線も、普通住宅地区の奥行価格補正率で計算します。
先ほど「2.正面の判定」の際は、それぞれの地区の奥行価格補正率で判定しましたが、この「最終評価時」に参照する奥行価格補正率は異なる点に、注意しましょう。
5. 具体的な評価金額の算定
(1) 正面路線価 × 奥行価格補正率
250千円 × 1.00(奥行20mの普通住宅地区の奥行価格補正率) = 250千円
(2) 側方路線価 × 奥行価格補正率 × 側方路線影響加算率(円未満切捨)
260千円 × 0.94(奥行36mの場合の普通住宅地区の奥行価格補正率) × 0.03 (普通住宅地区・角地の側方路線影響加算率) = 7,332円
側方路線価に掛け合わせる「奥行価格補正率」は、「普通住宅地区」(=正面と判定された方)の奥行価格補正率を採用する点に注意!
(3) ((1)+(2))× 地積(㎡)
(250,000円 + 7,332円) × 720㎡ = 185,279,040円