Q8 寄与分って何?

公開日:2017/03/29 最終更新日:2021/08/03 閲覧数:1,837 views

 

例えば、生前に被相続人の「介護」をずっと行っていた方がいる場合、単純に相続時点の財産(介護分が反映していない)をもとに、法定相続分どおりに遺産分割を行うと、ちょっとかわいそうな気がしますよね。
介護している方は、その分評価してあげたいですよね。
 
そこで、公平性の観点から、民法上、「寄与分」という制度が認められています(民法904条の2)。
前回の「特別受益」の逆の制度ですね。
 
今回も、民法(遺産分割)のお話をメインに、最後に相続税のお話をします。

 

1. 寄与分って?

被相続人の生前、介護などの貢献をしている方がいる場合、これらの方の「貢献分」を考慮して相続分を決定する制度です。
この貢献分は、「寄与分」と呼ばれます。

「寄与分」は、公平性の観点から、「遺産の総額」から差し引き、残りを「みなし相続財産」として法定相続分で遺産分割を行い、最終的に、寄与分は、寄与した方が相続する形で確定します。
 
つまり、本来は「相続財産」だが、遺産分割の計算上、本来の相続財産から差し引いて遺産分割計算するんですね。
具体的な算定は後述しますね。

 

なお、この制度は「相続人」のみで、内縁の妻や事実上の養子などには認められていませんので、注意しましょう。
例えば、お子さんの配偶者が、義理のお父さんの介護をしていた場合、お子さんの配偶者は、法定相続人ではないので「寄与分」は認められません。

 

2. 寄与の対象範囲

単に、介護をしているからといって、すべてが「寄与分」になるわけではありません。

民法上、一定の場合に限られています(民法904条)。

「被相続人の財産の維持又は増加」がもたらされたことが必要となります。

 

(具体的に寄与が認められる例)

種類
被相続人の事業に関する労務の提供または財産上の給付
  • 被相続人の借金を返済するなどの資金援助
  • 被相続人の事業に長年無償で従事
被相続人の療養看護
  • 被相続人の療養看護により、看護費用等の出費を抑え、財産が維持に貢献した場合
その他
  • 被相続人の失業中に生活費を支援した場合など

 

3. 寄与とならない例

  • 扶養義務の範囲内での「療養介護」

 

4. 金額や期間は?

貢献行為の「金銭評価」相当(民法904条の2)。
寄与分の金額は、原則として相続人間で協議してきめますが、協議がまとまらないときは、 家庭裁判所が総合的に検討の上、決定します。

 

5. 具体的な算定方法

(1) 寄与分のマイナス

まず、寄与分は相続財産から差し引きます。

寄与分は「相続財産」から除外して配分するためです。
寄与分を差し引いた額は「みなし相続財産」と呼ばれます。

 

寄与分のマイナス = 相続財産 – 寄与分の価格

⇒寄与分マイナス後の財産は、「みなし相続財産」と呼ばれます。

 

(2) 各人の相続分の算定

「みなし相続財産」算定後、法定相続分で配分します。

 

みなし相続財産 × 相続割合

 

つまり、寄与分は、後から寄与した方に個別配分を行うため一旦除外して、もし、「寄与」がなかったらどれくらい相続していたか?を算定しているんですね。

 

(3) 寄与者の実際の相続分の計算

各人の相続分を算定後、寄与した方には「寄与分の価額」が加算されます。

 

寄与者の実際の相続分 = (2)+ 寄与分

 

Q8-1

 

6. 例題

  • 被相続人相続財産 100百万円。
  • 法定相続人は長男A・次男Bのみ。
  • 長男Aは30百万円の「寄与」を行っている(次男Bは無し)
  • 各人の相続財産は?

 

(回答)
  • みなし相続財産・・・100百万円 – 30百万円 = 70百万円
  • みなし相続財産の配分・・・70百万円 × 50% = 35百万円
  • Aの相続分・・・35百万円 + 30百万円 = 65百万円
  • Bの相続分・・・100百万円 – 65百万円 = 35百万円

 

7. 寄与が認められるためには?

一般的には、以下のものが証拠としてあれば認められるようです。
 

  • 介護度がわかる資料(介護認定書類・診断書等)
  • 財産を贈与したことを確認できる書類(領収書や申告書)
  • 介護の記録、日記など

 

8. 相続税の取扱い

相続税上、寄与分に関しては、寄与分を考慮した「実際相続分」が相続割合になりますので、寄与がある場合とない場合では、各人の相続分と納税額が変わります。
各人の納税額は以下の相続割合によって決定されます。

 

相続割合 = 実際相続分 ÷ 相続財産価額

 

ただし、寄与があったとしても、各人の内訳が変わるだけで、相続財産価額や相続税額は変わりません。