Q80 共有名義の自宅土地・建物の相続税評価は?小規模宅地等の特例との関係は?

 最終更新日:2022/06/21 閲覧数:6,649 views

 

不動産を購入する場合、資金や住宅ローンの関係等で、不動産を共有名義で登記するケースもあると思います。
例えば、夫婦で不動産を折半して購入する場合に、出資額に応じた「共有名義」で登記を行うケースなどです。
 
こういった「共有名義の不動産」は、相続税上、どのような評価が行われるのでしょうか?
土地の相続税上の評価は、「利用使途」によって「自用地」「貸家建付地」等、それぞれで評価額が異なります。
 
また、相続税上は、「小規模宅地等の特例」(特定居住用宅地等の特例)という制度があります。亡くなられた方等が「居住」していた土地を相続(遺贈)する場合、一定要件を満たす場合は、土地の評価額が80%減額できる制度です。

今回は、「共有名義の不動産」につき「小規模宅地等の特例」との関係についても解説します。

 

土地、建物どちらが共有なのか?によって、パターンが分かれます。

 

1. 土地の相続税評価と小規模宅地等の特例

(1) 土地の相続税評価

同じように所有している土地でも、土地の評価は、その「利用使途」によって大きく変わります。自由な利用制限のない土地(自用地)と比べると、賃貸している土地は、賃借人がいる分、利用する際に制約がありますので、相続税評価額は下がります。
 
自用地にかかる相続税評価は、「路線価ないし固定資産税評価額」で行います。
一方で、例えば、自分の土地を他人に賃貸し、土地上に、他人の建物が建っている場合(貸宅地)、建物所有権者に認められる「借地権」部分だけ、土地の評価額は下がります。
貸宅地にかかる相続税評価額は、自用地評価額 × (1 - 借地権割合)となります。
 
詳しくは、Q121をご参照ください。

 

(2) 特定居住用宅地等の特例

亡くなられた方等が「居住」していた土地を相続(遺贈)する場合、一定要件を満たす場合は、土地の評価額が80%減額できる制度です。詳しくはQ22をご参照ください。
 

2. 土地が共有の場合

まず、「土地」が共有の場合です。事例をもとに解説します。
 

  • 父が亡くなり、すべて母が相続することになった。
  • 生前、建物は父が100%所有。土地は父と母の共有名義(50%ずつ)で登記されている。
  • 土地建物は、「自宅」として居住、小規模宅地等の特例要件は満たす。
  • 土地の全㎡数 100㎡とする。
  • 生前、父と母の間で地代の収受はない(=使用貸借)
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    (イメージ図)
    Q80-1
     

    (1) 「父の共有持ち分」の敷地50㎡

    ①土地の評価区分
    「父の共有持ち分」である敷地は、「自宅」として居住していますので、「自用地評価」となり、相続税上の評価減はありません。
     
    ②小規模宅地等の特例との関係
    当該土地は、父自身が居住していますので、「小規模宅地等の特例」の適用が可能です。
     

    (2) 「母の共有持ち分」の敷地50㎡

    「母の共有持ち分」である敷地は、元々母の持ち分ですので、今回の相続対象外となり、関係ありません。
     

    (3) まとめ

    生前区分 対象 評価区分 小規模宅地等との関係 居住区分
    父共有持ち分の敷地 50㎡ 自用地 特定居住用宅地等の特例適用OK 本人居住
    母共有持ち分の敷地 50㎡

     

    3. 建物が共有の場合

    次に、「建物」が共有の場合です。
     

  • 父が亡くなり、すべて母が相続することになった。
  • 生前、土地は父が100%所有。建物は父と母の共有名義(50%ずつ)で登記されている。
  • 土地建物は、「自宅」として利用、小規模宅地等の特例要件は満たす。
  • 土地の全㎡数 100㎡とする。
  • 生前、父と母の間で地代の収受はない(=使用貸借)
  •  
    (イメージ図)
    Q80-2

     

    (1) 「父建物共有持ち分」の敷地50㎡(敷地所有者は父)

    ①土地の評価区分
    「父の建物共有持ち分」の敷地は、「自宅」として居住していますので、「自用地評価」となり、相続税上の評価減はありません。
     
    ②小規模宅地等の特例との関係
    「父の建物共有持ち分」の敷地は、父自身が居住していますので、「小規模宅地等の特例」の適用が可能です。
     

    (2) 「母建物共有持ち分」の敷地50㎡(敷地所有者は父)

    ①土地の評価区分
    「母の建物共有持ち分」の敷地は、父所有となりますので、当該土地も相続税の課税対象となります。

    当該土地は、母は所有権を有しておりませんが、家族間の場合、当該敷地は父から土地を無償で借りる(=使用貸借)ことが一般的です。
     
    使用貸借の場合、「借地権はゼロ」で評価しますので、結論、母持ち分建物に対応する土地は、「自用地」評価となります。詳しくは、Q33をご参照ください。
     
    ②小規模宅地等の特例との関係
    建物共有登記の場合は、誰がどの部分を所有しているか?の明確な区分はないため、1棟の建物全体が、本人(被相続人)が居住していた建物と取り扱われ、「特定居住用宅地等の特例」の対象となります。詳しくは、Q27をご参照ください。

     
    結論、建物が共有名義の場合は、父所有土地100㎡すべてが、「小規模宅地等の特例」の対象となります。
     

    (3) まとめ

     

    生前区分 対象 評価区分 小規模宅地等との関係 居住区分
    父建物共有持ち分の敷地 50㎡ 自用地 特定居住用宅地等の特例適用OK 本人居住
    母建物共有持ち分の敷地 50㎡ 自用地 特定居住用宅地等の特例適用OK 本人居住

     
    次回は、「貸家」の場合の「小規模宅地等との特例」の関係をまとめます。
     

    4. YouTube

     
    YouTubeで分かる「共有名義の自宅土地・建物の評価」
     
     

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