Q81 共有名義の貸家の評価

 最終更新日:2022/03/24 閲覧数:4,831 views


 

前回、自宅利用の「共有名義不動産の相続と、小規模宅地等の特例の関係」をお伝えしましたが、
今回は第2弾として、「貸家」として利用している場合です。
 
貸家の場合も、自宅同様、土地、建物どちらが共有なのか?によって、パターンが2つに分かれます。
貸付事業用宅地等の特例とは、被相続人や同一生計親族が貸付事業用で使用していた土地を、被相続人の親族が取得し、一定要件を満たした場合、評価額を50%減額してもらえる制度です。

 

1. 土地が共有の場合

まず、「土地」が共有の場合です。事例をもとに解説します。
 

  • 父が亡くなり、すべて母が相続することになった(父母は同一生計親族)。
  • 生前、建物は父が100%所有。土地は父と母の共有名義(50%ずつ)で登記されている。
  • 土地建物は、「賃貸事業」として利用、小規模宅地等の特例要件は満たす。
  • 土地の全㎡数 100㎡とする。
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    (イメージ図)
    Q81-1
     

    (1)「父の共有持ち分」に対応する土地50㎡

    ①土地の評価区分 

    父の土地共有持ち分50%は、「賃家」として利用していますので、「貸家建付地評価」となります。
     

    ②小規模宅地等の特例との関係 

    父の土地共有持ち分50%は、被相続人自身が貸付事業として使用していますので、「貸付事業用宅地等の特例」の適用が可能です。

    (2) 「母の共有持ち分」に対応する土地50㎡

    母の土地共有持ち分50%は、元々母の持ち分ですので、今回の相続対象外となり、関係ありません。
     

    生前区分 対象 評価区分 小規模宅地等との関係 利用区分
    父所有土地 50㎡ 貸家建付地 貸付事業用宅地等の特例OK 本人利用
    母所有土地 50㎡

     

    2. 建物が共有の場合

    次に、「建物」が共有の場合です。
     

  • 父が亡くなり、すべて母が相続することになった(父母は同一生計親族)。
  • 生前、土地は父が100%所有。建物は父と母の共有名義(50%ずつ)で登記されている。
  • 土地建物は、「貸家事業」として利用、小規模宅地等の特例要件は満たす。
  • 土地の全㎡数 100㎡とする。
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    (イメージ図)
    Q81-2

     

    (1) 「父建物共有持ち分」に対応する土地50㎡(すべて所有は父)

    ①土地の評価区分 

    父の土地共有持ち分50%は、「賃家」として利用していますので、「貸家建付地評価」となります。
    貸家建付地の評価は、自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合)となりますので、評価が下がります。
     

    ②小規模宅地等の特例との関係 

    父の土地共有持ち分50%は、被相続人自身が貸付事業として使用していますので、「貸付事業用宅地等の特例」の適用が可能です。

     

    (2) 「母建物共有持ち分」に対応する土地50㎡(すべて所有は父)

    ①土地の評価区分 

    土地はすべて父所有となりますので、母建物共有持ち分に対応する土地も、当然相続税の課税対象となります。
    この部分の土地は、母は所有権を有しておりませんが、当該部分は父から土地を無償で借りる(=使用貸借)ことが一般的です。

    使用貸借の場合、「借地権はゼロ」で評価しますので、結論、母建物共有持ち分に対応する土地は、「自用地」評価となります。したがって評価の減額はありません。詳しくは、Q33をご参照ください。
     

    ②小規模宅地等の特例との関係 

    この「自用地部分」は、「被相続人と生計一である母の「貸付事業用」ですので、「貸付事業用宅地の特例」の対象となります。
     
    結論、建物が共有名義で、「同一生計親族」の貸付事業用の場合は、父所有土地100㎡すべてが、「貸付事業用小規模宅地等の特例」の対象となります。
     

    生前区分 対象 評価区分 小規模宅地等との関係 利用区分
    父建物共有持ち分対応土地 50㎡ 貸家建付地 貸付事業用宅地等の特例OK 本人利用
    母建物共有持ち分対応土地 50㎡ 自用地 貸付事業用宅地等の特例OK 同一生計親族利用

     
    なお、共有名義が、生計別親族の場合は、生計別親族共有持ち分に対応する土地は「貸付事業用宅地等の特例」の適用はできません。
     

    3. 参照URL

    (共有家屋(貸家)の敷地の用に供されていた宅地等についての小規模宅地等の特例の選択)

    https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/sozoku/10/03.htm

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