Q83 共有名義の自宅の評価~生計が別の場合~

公開日:2019/01/18 最終更新日:2021/08/25 閲覧数:3,195 views

前回まで(Q80~Q82)、自宅及び貸家として利用している場合の「共有名義不動産の相続と、小規模宅地等の特例の関係」をお伝えしました。
が・・あくまで共有名義人同士が「同一生計」の場合を前提にお伝えしました。
 
今回は、不動産が共有名義で、かつ「生計が別」の場合、小規模宅地等の特例の関係はどうなるのか?を考えてみます。
「自宅」として利用する場合を例に解説します。
 
土地、建物どちらが共有なのか?によって、パターンが2つに分かれます。

 

1. 土地が共有の場合

まず、「土地」が共有の場合です。
 

  • 母が亡くなり、すべて子が相続することになった(母子は生計別親族)。
  • 生前、建物は母が100%所有。土地は母と子の共有名義(50%ずつ)で登記されている。
  • 土地建物は、「自宅」として利用、小規模宅地等の特例要件は満たす。
  • 土地の全㎡数 100㎡とする。
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    (イメージ図)
    Q83_1
     

  • 母所有土地共有持ち分は、「自宅」として利用していますので、「自用地評価」となります。
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  • 「小規模宅地等の特例」との関係は、母の土地共有割合は、全体の50%ですので、
    母共有持ち分 50㎡( 100㎡ × 1/2 )だけが、小規模宅地等の特例の対象となります。
    (子土地共有持ち分 50%は、もともと母所有ではないので、もちろん対象外です)
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    生前区分 対象 評価区分 小規模宅地等との関係 利用区分
    母所有土地 50㎡ 自用地 特定居住用宅地等 本人利用
    子所有土地 50㎡

     

     

    2. 建物が共有の場合

    次に、「建物」が共有の場合です。
     

  • 母が亡くなり、すべて子が相続することになった(母子は生計別親族)。
  • 生前、土地は母が100%所有。建物は母と子の共有名義(50%ずつ)で登記されている。
  • 土地建物は「自宅」として利用、小規模宅地等の特例要件は満たす。
  • 土地の全㎡数 100㎡とする。
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    (イメージ図)
    Q83_2

     

    (1) 「母建物共有持ち分」に対応する土地50㎡(すべて所有は母)

    「自宅」として利用していますので、「自用地評価」となり、「特定居住用宅地等の特例」の対象となります。

     

    (2) 「子建物共有持ち分」に対応する土地50㎡(すべて所有は母)

     

  • この部分の土地については、子は所有権を有していません。
    こういった事例の場合、当該部分は、母から土地を無償で借りる(=使用貸借)ことが一般的です。
     
    使用貸借の場合、「借地権はゼロ」で評価しますので、
    結論、子持ち分建物に対応する土地(所有権は母)は、「自用地」評価となります。
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  • また、この「自用地部分」は、「被相続人と生計別である子の居住用」ですので、
    「特定居住用宅地等の特例」の対象にもなりません。
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    結論、建物が共有名義で、「生計別親族」の場合は、母所有土地のうち、
    母建物持分に対応する土地 50㎡のみが「小規模宅地等の特例」の対象
    となります。
     

    生前区分 対象 評価区分 小規模宅地等との関係 利用区分
    母建物共有持ち分対応土地 50㎡ 自用地 特定居住用宅地等 本人利用
    子建物共有持ち分対応土地 50㎡ 自用地 生計別親族利用

     
    なお、今回は、自宅利用の場合で記載しましたが、貸家利用の場合でも、考え方は自宅と同様です。
    小規模宅地等の特例との関係も、同様に判断します。