Q86 相続に必要な戸籍の入手方法

公開日:2019/03/27 最終更新日:2019/04/05

DR162
 

 
相続の場面では、被相続人の「出生から死亡に至るまでのすべての戸籍」を揃えなければいけません。
具体的に・・この「戸籍謄本」は、どのように揃えるのでしょうか?


 

1. どうやって揃える?

大きな考え方として、戸籍は「新しいものから古いものへと遡って取得」していきます。
被相続人(お亡くなりになられた方)の最後の本籍地で「最後の戸籍謄本」をとり、
そこから順次さかのぼっていき、出生まで「すべての戸籍」を揃えるという作業です。
 
想像以上に、結構な手間になるかもしれません。
なお、被相続人の「本籍地」がわからない場合は、被相続人の「住民票の除票」を「本籍表示あり」で取得すると、
本籍が記載されています。(「死体埋葬火葬許可証」にも本籍地は記載)


 

(1) 「最後の戸籍謄本」を取得

亡くなった時の本籍地で「最終の戸籍謄本」を取得します。
この「戸籍謄本」には、死亡届受理後は「亡くなった事実」が記載されています。


 

(2) 最後の戸籍謄本の「戸籍事項」欄を確認

戸籍謄本の「戸籍事項欄」(上の方)には、その戸籍謄本の「作成日」が記載されています。
また「戸籍事項欄」には、作成日のほか、以下3つのどれかが記載されています。

 

記載内容 摘要
「改製」の記載
  • 法改正によって、戸籍の様式が変更されたことを示します。
  • この「改製」の場合は、同じ本籍地に一つ前の戸籍「改製原戸籍」がありますので、「改製原戸籍」を入手します。
  • 入手した「改製戸籍簿」の上あたりに「改製によりこの戸籍が消除された日付」が記載されています。
    この日付が、最終の戸籍謄本の「改製日」と一致していれば、連続しています。
「編製」の記載
  • 婚姻・離婚・養子縁組などによって変動があった場合を示します。
  • この「編製」の場合、そこに記載された本籍地( = 婚姻前の父母の本籍地など)に対して、婚姻前の父母等が筆頭者である戸籍謄本( or 除籍謄本 or 改製原戸籍)を申請します。
  • 「最終の戸籍」の戸籍作成日(編製日)と、ひとつ前の戸籍謄本の「身分事項欄」の「新戸籍編成により除籍」の日付が一致していれば、連続しています。
転籍
  • 他の市町村から戸籍を移した場合です。
  • この「転籍」の場合、転籍前の本籍地の役所で「除籍謄本」をとります。
  • 最終の戸籍の戸籍作成日(転籍日)と、除籍謄本の「戸籍事項欄」の「除籍日」が一致していれば、連続しています。

 
上記のように、「最後の戸籍」の内容を把握し、その「前の戸籍」との連続性を確認しながら、順に古い戸籍をたどっていきます。
そして、被相続人の出生日よりも前の戸籍にたどり着けば、「出生から死亡に至るすべての戸籍」を入手したことになり、戸籍の入手が完了します。
この時点でようやく「相続人が確定」します。
一般的には、被相続人が10歳未満程度までわかる戸籍にたどり着けば、問題ありません。

 

2. 実務上の流れ

(1) 実務上の流れ

  • まずは、被相続人の最後の「本籍地役所」で、「相続手続で、一生分の戸籍謄本を揃えたい」とお伝えすれば、その役所で揃えられる戸籍はすべて用意してくれます。
  • 入手した戸籍の内容を確認し、「編製」や「転籍」等がある場合は、その役所では一生分の謄本が揃いません。
    その場合、次はどこで戸籍を取得すればよいか?を教えてもらい、次の場所に戸籍をもらいに行きます。

 
以下同様・・
こんな感じで「一生分の戸籍謄本」を揃えます。


 

(2) 戸籍謄本を入手するために準備する資料

 

メモ
取得先 被相続人の最終本籍地 原戸籍は本籍地でないと取得できません
提出物
  • 戸籍証明等交付請求書
  • 印鑑(自署の場合は不要)
各自治体HPから取得可能
(記載上の留意事項)

  • 請求の理由・・相続のため
  • 必要な証明書種類・・「改製」を選択
添付書類 本人確認書類 運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど(顔写真付きの場合は1点でOK)
提出方法
  • 役所に直接提出
  • 郵送で提出
(郵送の場合の注意事項)

  • 返信用封筒同封(切手貼付)
  • 手数料、郵便定額小為替750円
  • 郵送の場合「戸籍証明等交付請求書」が別フォームの場合あり
請求可能な方 筆頭者(夫)、配偶者(妻)、直径卑属(子、孫など)直系尊属(父母、祖父母等) 代理人委託も可能(※)

 
(※)代理人に委任する場合
代理申請の場合は、請求者からの「委任状」が必要です。
委任状は「提出する自治体」HPでダウンロードできる所が多いです。

  • 「依頼する方」の氏名・住所を記載し、捺印
  • 「依頼される方」の氏名・住所を、依頼人が記入
  • 代理人の「本人確認書類」が必要


 

3. 留意事項

「戸籍謄本」を読み解く作業は、結構手間がかかります
前の戸籍謄本との連続性を確認しながら、遡っていかなければいけません。
 
また、誰が相続人か?という判断も必要になります。
例えば、相続人が死亡している場合は、代襲相続の知識など、法律上の知識も必要となります。
 
特に相続人が多い場合は、以下の状況も考えられますので、十分ご留意ください。
 

  • 必要な戸籍が多く、読み解くのが困難となり、相続人の特定ができない。
  • 顔も知らない相続人に連絡を取らなければいけないケース。
  •  
    相続人が多い場合は、割り切って専門家(行政書士、税理士、司法書士等)に依頼する方が、時間や正確性の点で、効率的かもしれません。


     

    4. 法定相続情報制度の利用

    「出生から死亡に至るまでの戸籍謄本」は、相続では様々な場面で利用します。
    相続税の申告だけでなく、銀行口座の変更(銀行)、不動産の名義変更(法務局)、自動車名義の変更(陸運局)などで必要となります。
    時間をかけて入手した「戸籍謄本」ですので、1つの手続きで利用した後は、必ず返還をしてもらうようにしましょう。
     
    また、名義変更の内容によっては、完了するまで「戸籍謄本」を返却してもらえない場合もあります。
    こういった場合は、他の名義変更が滞ってしまいますので、「法定相続情報証明制度」を利用するのもありだと思います。