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相続の場面では、被相続人の「出生から死亡に至るまでのすべての戸籍」を揃えなければいけません。
具体的に・・この「戸籍謄本」は、どのように揃えるのでしょうか?
1. どうやって揃える?
大きな考え方として、戸籍は「新しいものから古いものへと遡って取得」していきます。
被相続人(お亡くなりになられた方)の最後の本籍地で「最後の戸籍謄本」をとり、
そこから順次さかのぼっていき、出生まで「すべての戸籍」を揃えるという作業です。
想像以上に、結構な手間になるかもしれません。
なお、被相続人の「本籍地」がわからない場合は、被相続人の「住民票の除票」を「本籍表示あり」で取得すると、
本籍が記載されています。(「死体埋葬火葬許可証」にも本籍地は記載)
(1) 「最後の戸籍謄本」を取得
亡くなった時の本籍地で「最終の戸籍謄本」を取得します。
この「戸籍謄本」には、死亡届受理後は「亡くなった事実」が記載されています。
(2) 最後の戸籍謄本の「戸籍事項」欄を確認
戸籍謄本の「戸籍事項欄」(上の方)には、その戸籍謄本の「作成日」が記載されています。
また「戸籍事項欄」には、作成日のほか、以下3つのどれかが記載されています。
記載内容 | 摘要 |
---|---|
「改製」の記載 |
|
「編製」の記載 |
|
転籍 |
|
上記のように、「最後の戸籍」の内容を把握し、その「前の戸籍」との連続性を確認しながら、順に古い戸籍をたどっていきます。
そして、被相続人の出生日よりも前の戸籍にたどり着けば、「出生から死亡に至るすべての戸籍」を入手したことになり、戸籍の入手が完了します。
この時点でようやく「相続人が確定」します。
一般的には、被相続人が10歳未満程度までわかる戸籍にたどり着けば、問題ありません。
2. 実務上の流れ
(1) 実務上の流れ
- まずは、被相続人の最後の「本籍地役所」で、「相続手続で、一生分の戸籍謄本を揃えたい」とお伝えすれば、その役所で揃えられる戸籍はすべて用意してくれます。
- 入手した戸籍の内容を確認し、「編製」や「転籍」等がある場合は、その役所では一生分の謄本が揃いません。
その場合、次はどこで戸籍を取得すればよいか?を教えてもらい、次の場所に戸籍をもらいに行きます。
以下同様・・
こんな感じで「一生分の戸籍謄本」を揃えます。
(2) 戸籍謄本を入手するために準備する資料
メモ | ||
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取得先 | 被相続人の最終本籍地 | 原戸籍は本籍地でないと取得できません |
提出物 |
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各自治体HPから取得可能 (記載上の留意事項)
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添付書類 | 本人確認書類 | 運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど(顔写真付きの場合は1点でOK) |
提出方法 |
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(郵送の場合の注意事項)
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請求可能な方 | 筆頭者(夫)、配偶者(妻)、直径卑属(子、孫など)直系尊属(父母、祖父母等) | 代理人委託も可能(※) |
(※)代理人に委任する場合
代理申請の場合は、請求者からの「委任状」が必要です。
委任状は「提出する自治体」HPでダウンロードできる所が多いです。
- 「依頼する方」の氏名・住所を記載し、捺印
- 「依頼される方」の氏名・住所を、依頼人が記入
- 代理人の「本人確認書類」が必要
3. 留意事項
「戸籍謄本」を読み解く作業は、結構手間がかかります
前の戸籍謄本との連続性を確認しながら、遡っていかなければいけません。
また、誰が相続人か?という判断も必要になります。
例えば、相続人が死亡している場合は、代襲相続の知識など、法律上の知識も必要となります。
特に相続人が多い場合は、以下の状況も考えられますので、十分ご留意ください。
相続人が多い場合は、割り切って専門家(行政書士、税理士、司法書士等)に依頼する方が、時間や正確性の点で、効率的かもしれません。
4. 法定相続情報制度の利用
「出生から死亡に至るまでの戸籍謄本」は、相続では様々な場面で利用します。
相続税の申告だけでなく、銀行口座の変更(銀行)、不動産の名義変更(法務局)、自動車名義の変更(陸運局)などで必要となります。
時間をかけて入手した「戸籍謄本」ですので、1つの手続きで利用した後は、必ず返還をしてもらうようにしましょう。
また、名義変更の内容によっては、完了するまで「戸籍謄本」を返却してもらえない場合もあります。
こういった場合は、他の名義変更が滞ってしまいますので、「法定相続情報証明制度」を利用するのもありだと思います。