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Q9 債務控除と医療費控除の関係

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被相続人がお亡くなりになる前は、「医療費」が発生しているのが一般的だと思います。
この「医療費」は、相続税上どういった扱いになるんでしょうか?

所得税の確定申告をされている方だと、「医療費控除」という言葉を聞かれたことがあると思います。
でも、本人は既に亡くなってしまっているので・・「医療費控除」もできないのでは?と思われるかもしれません。
 
しかし、実は、お亡くなりになった方にも「準確定申告」という手続があって、相続後4か月以内に「所得税の確定申告」を行わなければいけません。
そして、この「準確定申告」の中で、生前に「相続人本人」が負担した医療費は、「医療費控除」を行うことになります。

 

また、所得税の「医療費控除」とは別に、相続税では「債務控除」という制度があり、医療費相当額を「相続財産から控除」できます。
つまり、この分は相続税額が低くなります。

 

今回は、この医療費を、所得税上の「医療費控除」と、相続税上の「債務控除」の観点で、パターン別にまとめてみました。

 

1. 相続税上の債務控除

相続税上の「債務控除」は、簡単に言うと、「相続人」が負担した債務を、相続財産の計算の際に控除できる制度です。

「債務控除」は、その支払が相続開始前後にかかわらず、「相続人」が負担した部分があれば適用できます。
 
強いて言えば、
支払が相続前であれば、「被相続人」に対する債務、
支払が相続後であれば、「病院」に対する債務、という点だけが異なります。

 

(債務控除と医療費の関係)

医療費支払が相続開始前 医療費支払が相続開始後
被相続人負担 債務控除ではない
(単に相続人が保有する現金が減少しただけ)
相続人負担 債務控除(対相続人)(※) 債務控除(対病院)

(※)扶養義務間での支払の場合には、「債務控除」ができないケースがあります。

 

2. 所得税上の医療費控除

所得税上の医療費控除は、相続税の「債務控除」とは全く別の制度です。
所得税上の「医療費控除」は、簡単に言うと、医療費の支払額が多い場合に所得税を安くしてくれる制度です。
支払者本人だけでなく、「生計を一にする方」(※)のために負担した「医療費」も、本人自身の医療費控除に利用できます。
ここがポイントです。

 

(※)生計を一にするって?

簡単にいうと、お財布がいっしょということです。
特に、「同居」は要件とはなっていませんが、「生活費等の送金等が行われている場合」などが例示されています。
同居の場合は、原則として「生計を一としている」と取り扱われます(所基通2-47)。

 

3. 相続の場面での医療費控除は?

では、この医療費控除を、「相続」の場面で考えてみます。

医療費については、所得税上の「医療費控除」が使えます。

ただし、誰が医療費控除できるのか?は、医療費の負担者が誰か?で異なります。

 

結論を記載すると、以下となります。

 

相続開始前の支払 相続開始後の支払
被相続人負担 被相続人の準確定申告(※1)
相続人負担 相続人の確定申告で控除(※2) 相続人の確定申告で控除(※2)

 

(※1)生前に被相続人が負担した医療費であれば、被相続人自身の「準確定申告」で医療費控除を行います。

(※2)被相続人と「生計を一」にする相続人が医療費を負担した場合は、相続人の「確定申告」で控除することになります。これは「相続開始」前後にかかわらず可能です。

 

4. 「債務控除」と「医療費控除」がダブルで引ける?

上記の通り、相続人が負担した「医療費」は、相続前後にかかわらず、債務控除も医療費控除もできる場合があります。

二重に差し引いている感じがしますが、それぞれの目的が異なるので、両方とも適用が可能です。

 

5. 例題

サザエさんを例にします。

波平さんが、12月31日にお亡くなりになりました。(「法定相続通り」の相続を前提)

波平さんにかかった医療費は以下です。

マスオさんが、波平さんの生計を支えていたとします。(ちょっと変ですけど・・)

 

支払日 金額 支払者 債務控除 準確定申告
(波平)
確定申告
(サザエ・マスオ)
10/30 50,000円 波平 (※1) (※2)
11/30 150,000円 サザエ (※3)
(対波平)
1/30 200,000円 サザエ (※3)
(対病院)
2/28 50,000円 マスオ ×(※4)

 

(※1)本人(波平)の相続財産(現金)が減少するだけなので、債務控除はなし。

(※2)本人(波平)の準確定申告で、「医療費控除」が使えます

(※3)サザエさんは、法定相続人のため、相続前後に関わらず債務控除が可能です。

(※4)マスオさんは、法定相続人ではないため債務控除はありません。ただし、生計を一にしているため、医療費控除は可能です。