路線価地域の土地の場合、相続税上は、「土地の面積 × 路線価」で算定します。
しかし、土地の奥行が長い場合や短い場合は、土地の利用価値が下がるため、相続税評価額は、その分下がります。
一般的に「奥行価格補正」と呼ばれています。
(なお、倍率方式の評価に使用する固定資産税評価額は、奥行価格補正など土地の形状による価値の減少をすでに織り込んでいるため、奥行価格補正を行う必要はありません。)
目次
1. 奥行価格補正率
評価対象地の奥行の長さに応じて、相続税法上は、奥行価格補正率が定められています。
以下の表になります。
横軸は地区、縦軸は奥行距離、交わったところが「奥行価格補正率」となります。
2. 具体例
(普通住宅地区)
(1) 評価対象地A(奥行20m)
200千円 × 400㎡ × 1.00(20mの奥行価格補正率)= 80,000千円
(2) 評価対象地B(奥行40m)
200千円 × 400㎡ × 0.91(40mの奥行価格補正率)= 72,800千円
どうですか?
土地A、Bはどちらも400㎡ですが、奥行40mの土地Bの方が、相続税評価額は、かなり下がりましたね。
(ご参考)
奥行20mの奥行価格補正率 | 1.00 |
---|---|
奥行40mの奥行価格補正率 | 0.91 |
3. 不整形地の場合
実際の土地は、正方形や長方形といったキレイな土地(= 整形地といいます)とは限りません。
三角形や旗竿地など地形は様々です。
こういった場合に、奥行距離をどうやって求めるのか?・・迷いそうですね。
(1) 結論
奥行距離は、下記①②のどちらか短い方と決められています。
② 実際の奥行(想定整形地の奥行)
(2) 具体例
(図の表現上、キレイな三角形に見えますが、実際はきれいな三角形ではない)
(普通住宅地区)
①計算上の奥行
330㎡(実際㎡数)÷ 20m(間口距離)= 16.5m
②実際(想定整形地)の奥行
30m
③小さい方
16.5m < 30m ⇒ 短い方16.5m
⇒ 奥行16.5mの奥行価格補正率は、1.00となります。
通常は、実際の奥行(想定整形地)より、計算上の奥行の方が短くなるケースが多いです。
上記の例では、実際奥行は30mですが、計算上の奥行16.5mを採用しますので、結論、奥行価格補正率は1.00となり、奥行価格による補正はありません。
(ただし、この後、不整形地としての評価は可能ですので、最終的な評価は下がります。)
4. 参照URL
(不整形地の奥行距離の求め方)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hyoka/03/11.htm