相続の豆知識 財産評価




Q100 土地の間口距離の算定方法 / 迷いやすい事例

 最終更新日:2022/02/25

DR177

 
相続税上、路線価地域の土地は、原則として「土地の面積×路線価」で評価を行います。
しかし、実際の土地の形状は、きれいな「整形地」とは限りません。
「不整形地」の場合は、利用使途が限定されるため、相続税評価額が一定額減額されます。
そこで今回は、「不整形地」を評価する際に必要となる「間口距離」につき解説します。

 

1. 間口距離って?

間口距離とは、土地が「道路に接している」長さのことです。
例えば、左の土地は間口距離20m、右の土地は間口距離10mです。
 
191220Q100_1


 

2. 間口距離が必要な場面

「間口距離の長さ」は、不整形地を評価する際の「計算上の奥行距離」を算定する場面で利用します。
 

計算上の奥行距離 = 土地面積 ÷ 間口距離(道路に接している長さ)

 
上記式を見ると、「計算上の奥行距離」を算定するためには、「間口距離」の情報が必要となることがわかりますね。


 

3. 迷いやすい具体例~曲がった道路に面している場合~

実際の土地の形状は、さまざまなパターンがありますので、実務上、「間口距離」の把握に迷うことは多くあります。
以下、「迷いやすい間口」の事例を記載します。
 

下記の土地の「間口距離」は・・? 間口が途中で曲がっています

 
191220Q100_2

 
上記のような土地の場合、以下の2ステップにより「間口距離」を確定します。

(ステップ1)
各路線価を基準とした「想定整形地」を作成し、面積が小さい方の間口を採用
 
(ステップ2)
ステップ1で採用した間口距離と、実際面している間口距離の短い方を採用


 

(1) ステップ1 各路線を基準とした「想定整形地」を作成

間口距離を計算するために、「想定整形地」と呼ばれる長方形の土地を作成します。
路線①を基準にした「想定整形地」と、路線②を基準にした「想定整形地」を作成し、いずれか面積が小さい方の「間口距離」が採用されます。

 

① 路線①を基準とした想定整形地

191220Q100_3

 

② 路線②を基準とした想定整形地

191220Q100_6

 

③ 結論

①300㎡ < ②600㎡のため、小さい方①300㎡(路線①を基準とした想定整形地)を採用し、間口距離は20mとなります。


 

(2) ステップ2 実際面している間口距離と比較し、短い方を採用

次に、実際に道路に面している間口距離の長さと、ステップ1で採用した間口距離と比較し、短い方を採用します。
 

① 実際面している間口距離 17m + 5m = 22m

 

② ステップ1で採用した間口距離 20m

 

③ 結論

① > ②のため、短い方②を採用⇒ 20mとなります。

 

【関連記事】

Q99 相続税法上の奥行距離の求め方

 最終更新日:2021/07/01

DR176

 

路線価地域の土地の場合、相続税上は、「土地の面積 × 路線価」で算定します。
しかし、土地の奥行が長い場合や短い場合は、土地の利用価値が下がるため、相続税評価額は、その分下がります。
一般的に「奥行価格補正」と呼ばれています。
 
(なお、倍率方式の評価に使用する固定資産税評価額は、奥行価格補正など土地の形状による価値の減少をすでに織り込んでいるため、奥行価格補正を行う必要はありません。)


 

1. 奥行価格補正率

評価対象地の奥行の長さに応じて、相続税法上は、奥行価格補正率が定められています。
以下の表になります。
横軸は地区、縦軸は奥行距離、交わったところが「奥行価格補正率」となります。
 
191110Q99_1


 

2. 具体例

  • 下記の土地ABは、同地域(普通住宅地区)、同㎡数(400㎡)、路線価同じ(200千円/㎡)
  • 異なる点は、奥行のみ(土地A 20m、土地B 40m)
  •  
    (普通住宅地区)
    191114Q99_2_3


     

    (1) 評価対象地A(奥行20m)


      200千円 × 400㎡ × 1.00(20mの奥行価格補正率)= 80,000千円


     

    (2) 評価対象地B(奥行40m)


      200千円 × 400㎡ × 0.91(40mの奥行価格補正率)= 72,800千円

     
    どうですか?
    土地A、Bはどちらも400㎡ですが、奥行40mの土地Bの方が、相続税評価額は、かなり下がりましたね。
     
    (ご参考)

    奥行20mの奥行価格補正率 1.00
    奥行40mの奥行価格補正率 0.91


     

    3. 不整形地の場合

    実際の土地は、正方形や長方形といったキレイな土地(= 整形地といいます)とは限りません。
    三角形や旗竿地など地形は様々です。
    こういった場合に、奥行距離をどうやって求めるのか?・・迷いそうですね。


     

    (1) 結論

     奥行距離は、下記①②のどちらか短い方と決められています。
     

      ① 計算上の奥行(土地面積 ÷ 間口距離(道路に面している長さ))
      ② 実際の奥行(想定整形地の奥行)


     

    (2) 具体例

    下記の不整形地の奥行距離は?
    (図の表現上、キレイな三角形に見えますが、実際はきれいな三角形ではない

     
    (普通住宅地区)
    191111Q99_3

    ①計算上の奥行

      330㎡(実際㎡数)÷ 20m(間口距離)= 16.5m

    ②実際(想定整形地)の奥行

      30m

    ③小さい方

      16.5m < 30m ⇒ 短い方16.5m
      ⇒ 奥行16.5mの奥行価格補正率は、1.00となります。

     
    通常は、実際の奥行(想定整形地)より、計算上の奥行の方が短くなるケースが多いです。
    上記の例では、実際奥行は30mですが、計算上の奥行16.5mを採用しますので、結論、奥行価格補正率は1.00となり、奥行価格による補正はありません。
    (ただし、この後、不整形地としての評価は可能ですので、最終的な評価は下がります。)


     

    4. 参照URL

    (不整形地の奥行距離の求め方)
    https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hyoka/03/11.htm

     

    Q98 無道路地の評価

     最終更新日:2021/07/01

    DR175

     
    土地については、相続税上「路線価」や「固定資産税評価額」をもとに評価を行います。
    しかし、道路に面していない土地( = 無道路地)は、そもそも「路線価」が設定されていません。
    こういった「無道路地」は、どのように評価を行うのでしょうか?


     

    1. 無道路地とは?

    無道路地とは、建築基準法上の道路に面していない土地のことです。
    道路に直接接していても、接道義務(※)を満たしていない宅地も、無道路地に含まれます。(財評通20-2)
     
    「建築基準法」上の道路に面していない場合は、新たに建物建築や取り壊しができません。
    したがって、無道路地は、その分利用価値が低くなるため、相続税上の評価も下がります。
     
    (※)接道義務とは?
    建築物の敷地は、道路に2m以上接しなければならない。(建築基準法第43条)
    ただし、一定の場合、地方公共団体は条例で必要な制限ができる(同43条第2項)
    地方公共団体によっては、接道義務が2m以上に設定されている地域もあります。


     

    2. 無道路地の評価方法(財評通20 – 2)

    具体的な評価は、以下の2ステップとなります。
     

    ・無道路地(評価対象地)と道路に面している隣接地を一体の土地として評価する。
    ・上記「一体土地評価額」から「隣接地評価額」を差し引く。
    ・上記差引後、評価対象地を不整形地とみなして、不整形地補正を行う。
    ・無道路地(評価対象地)から建築基準法上の道路につながる仮定の通路を作る。
    ・上記①の評価額から、仮定通路の評価額を差し引く(最大4割

     
    なお、既に建物建築済の土地の場合は、無道路地でない可能性が高いです。
    無道路地の場合は、相続税評価額が低くなりますので、事前に無道路地かどうか?( = 建築基準法の道路に接していないか)を、役所等に確認しておく方がよいと思います。


     

    3. 具体例

  • 以下の評価対象地A(青い土地)は、相続税上どのように評価しますか?
  • 隣接地Bは、建築基準法上の道路に面しています。(路線価200千円/㎡)
  •  
    (普通住宅地区)
    191114Q98_1_2


     

    (1) ステップ1 一体評価額から隣接地評価額を差し引く

    まず、①無道路地Aと隣接地Bを「一体の土地」として評価し、②隣接地Bの評価額を差し引き、③最後に、不整形地補正等を行います。
     

     ① 一体土地(A + B)の評価額(奥行価格補正後)

       200千円 × 0.91(40mの奥行価格補正率) × 800㎡(無道路地 + 隣接地)= 145,600千円

     ② 隣接地の評価額(奥行価格補正後)

       200千円 × 1.00(20mの奥行価格補正率) × 400㎡(隣接地のみ)= 80,000千円

     ③ 差引(① – ②)

       145,600千円 – 80,000千円 = 65,600千円

     ④ 不整形地補正(又は間口狭小・奥行長大補正)

       65,600千円 × 0.71(※)= 46,576千円
     
    (※)
      ① 0.79(不整形地補正率)× 0.90(間口狭小補正率)= 0.711
      ② 0.90(間口狭小補正率)× 0.90(奥行長大補正率)= 0.81

    小さい方の小数点第2位未満を切り捨て ⇒ ① 0.71

     
    (ご参考・普通住宅地区)

    奥行価格補正率 0.91(40m)、1.00(20m)
    不整形地補正率 0.79(普通住宅地区A かげ地割合50%)
    (800㎡ – 400㎡)÷ 800㎡ = 50%
    間口狭小補正率 0.90(2m)
    奥行長大補正率 0.90(40m ÷ 2m = 20倍)


     

    (2) ステップ2 仮定通路評価額を差し引く

    建築基準法の接道義務(2m)を満たすよう、便宜上、無道路地Aから建築基準法上の道路に面する通路(幅2m)を、隣接地B上に開設すると仮定します。(通路C)
    この「仮定通路C」を開設するためには、隣接地Bの所有者から土地を買い取る必要があるため、買い取り諸費用部分を、ステップ1で算定した評価額から差し引きます。
     
    (普通住宅地区)
    191114Q98_2_2
     
    「仮定通路開設諸費用」は、仮定通路の評価額(路線価 × 通路面積)で算定します。
    ただし、上限は評価対象地の評価額の4割が上限となります。
     

    ① 仮定通路の評価額(奥行価格補正率は考慮しない

    200千円 × 40㎡ = 8,000千円

    ② 限度額の比較

    8,000千円 < 18,630千円(= 46,576千円 × 40%)⇒ 全額差引可能

    ③ 評価額

    46,576千円 – 8,000千円 = 38,576千円


     

    4. 参照URL

    (無道路地の評価)
    https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/02/03.htm#a-20_3
     
    (奥行価格補正率等)
    http://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/02/07.htm
     
    (接道義務を満たさない土地の評価)
    https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hyoka/03/19.htm
     

    Q97 私道の評価

     最終更新日:2022/02/25

    DR174

     
    私道とは、個人が所有する道路のことです。道路には「公道と私道」があります。
    公道か私道か?は、「公図」を見れば把握できます。
    公図に「地番」が入っていれば「私道」、地番が入っていなければ「公道」となります。
    私道の所有者は、登記簿謄本に記載されています。
     
    「私道」は所有者がいるため、もちろん「相続税評価の対象」となります。
    分譲住宅などでは、真ん中に私道が隣接しているような物件も結構ありますよね。
    今回は、この「私道」の相続税評価について、以下にまとめます。


     

    1. 私道の種類

    私道は、一般の宅地と比べると評価額は低くなります。
    「私道」といっても、通り抜けできる私道、行き止まり私道、専用通路など様々です。
    相続税上は、それぞれのパターンごとに評価方法が定められています。
     
    以下の3つです。

     

    内容 内容 相続税上の評価
    通り抜け私道(不特定多数の利用) 評価しない
    行き止まり私道(特定の者の通行) 30%評価
    専用道路 宅地に含めて評価

     
    上記③については、宅地に含めて評価しますので、私道としての評価は行いません。

     

    2. 通り抜け私道の評価(不特定多数の利用)

    (1) 具体例

    191011souzoku2_1
     

    • 上記のように、通り抜けできる私道は、公共性が高いことから「不特定多数の者の通行の用に供される私道」として「相続税評価額はゼロ」となります。(財基通24)
    • 建物建替え等でセットバックした前面通路なども、「通り抜け私道」として評価はゼロとなります。
      (建築基準法第42条2項)


     

    (2) 「不特定多数の者の通行の用に供されている道路」の例

    • 公道から公道に通り抜けできる私道。
    • 行き止まり私道だが、その私道を通行して不特定多数の者が地域等の集会所や公園等の公共施設や商店街等に出入りしている場合。
    • 行き止まり私道だが、その私道を通行して私道の一部に公共バスの転回場や停留所が設けられており、不特定多数の物が利用している場合。


     

    (3) 申告書の記載

    通り抜け私道の場合、相続税評価額はゼロとなりますが、申告書第11表には、評価ゼロとして記載しておく方が安全です。

     

    3. 行き止まり私道の評価

    (1) 具体例

    (普通住宅地区)持ち分1/6
    191015souzoku2_4

    • 上記のような「行き止まり私道」は、不特定多数の通行の用ではなく、特定の者が通行するための私道で、各宅地所有者で私道を「共有」で所有している場合が多いです。このような行き止まり私道は、本体宅地と別に30%で評価を行います。
    • 私道の場合、自動車等の通りをスムーズにするように間口に「隅切り」が設けられている場合がありますが、間口には、隅切りは含めませんのでご留意ください。

     

    行き止まり私道の評価 = 正面路線価×奥行価格補正率 × (A) × 30% × ㎡ × 持分

     
    (A)・・以下のどちらか小さい方を選択適用可(0.60が下限)
     

    ① 不整形地補正率 × 間口狭小補正率(小数点第2位未満切捨)
    ② 間口狭小補正率 × 奥行長大補正率(小数点第2位未満切捨)


     

    (2) 評価額

    200千円 × 0.91(奥行価格補正率)× 0.84(※) × 30% × 200㎡ × 1/6 = 1,528.8千円
    (※)
    ① 1.00(不整形地補正率) × 0.94(間口狭小補正率) = 0.94
    ② 0.94(間口狭小補正率) × 0.90(奥行長大補正率) = 0.846
    小さい方の小数点第2位未満を切捨、
    ② 0.84(小数点2位未満切捨)

     
    (ご参考・普通住宅地区)

    奥行価格補正率 0.91(40m)
    不整形地補正率 1.00(かげ地なし)
    間口狭小補正率 0.94(4m以上6m未満)
    奥行長大補正率 0.90(40m ÷ 5m = 8倍)

     

    4. 専用道路

    (1) 具体例

    191017souzoku2_4
     
    上記のように、宅地所有者のみしか利用しないような「専用道路」は、私道の評価ではなく、宅地に含めて評価します。
    旗竿地」と呼ばれる地形となります。
    私道としては評価しませんが、旗竿地として評価の際、不整形地補正が入りますので、整形地と比べると、相続税評価は下がります。


     

    5. 小規模宅地等の特例との関係

    私道であっても、その私道がないと公道へ出られないような宅地の場合は、要件を満たす場合は、小規模宅地等の特例の適用が可能です。


     

    6. 参照URL

    (私道の相続税評価額)~財産評価基本通達24
    https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/02/04.htm#a-24
     
    (不特定多数の者の通行の用に供されている道路の例)
    https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hyoka/04/06.htm
     
    (間口距離の求め方)
    https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hyoka/03/08.htm
     
    (奥行価格補正率等)
    http://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/02/07.htm

     

    【関連記事】



    Q96 旗竿地の評価方法

     最終更新日:2021/07/01

    DR173

     

    旗竿地とは、名前の通り、間口が狭くなっていて、旗のような形状となっている土地のことです。
    この旗竿地は、相続税上どのように評価するのでしょうか?


     

    1. 旗竿地の相続税上の評価は低い

    旗竿地は、一般の整形地と比べると用途が限定されるため、相続税評価額は下がります。
    相続税上は、以下の補正を行います。
     

    奥行価額補正率・間口狭小補正率 間口が狭く、奥行価額が長いため、奥行価額補正率、間口狭小補正率の適用により評価が下がる。
    不整形率補正 整形地ではないため不整形地補正率の適用により評価が下がる。


     

    2. 旗竿地の評価

     
    191018souzoku1_1_2
     
    旗竿地は、以下の方法で評価を行います。
     

    ① 「想定整形地」の評価額から「かげ地」の評価額の差引計算を行う。
    ② 上記①差引後の評価額につき、不整形地補正等を行う。

     
    「想定整形地」とは、評価対象地の全域を囲む、最小面積の長方形(赤線部分)のことをいい、「かげ地」とは、想定整形地の中で評価対象地以外の部分(黒塗部分)を指します。


     

    3. 具体例

     
    (普通住宅地区)
    191018souzoku1_2_2


     

    (1) 差引計算

    想定整形地、かげ地それぞれの評価額は、奥行価格補正率を考慮して算定します。
     

    ① 想定整形地の評価(赤線部分)
    200千円(正面路線価) × 0.95(奥行価格補正率) × 720㎡ = 136,800千円
    ② かげ地の評価(黒塗部分)
    200千円(正面路線価) × 1.00(奥行価格補正率) × 300㎡ =   60,000千円
    ③ 旗竿地の評価(青塗部分)
    (136,800千円 – 60,000千円) ÷ 420㎡ = 182.8千円

     
    (ご参考・普通住宅地区)

    奥行30mの奥行価格補正率 0.95
    奥行15mの奥行価格補正率 1.00

     
    上記差引計算の結果、旗竿地の1㎡あたりの評価額は、182.8千円/㎡となり、想定整形地の1㎡あたりの評価額190千円/㎡(200千円 × 0.95)よりも、評価額は低くなりました。


     

    (2) 不整形地補正(不整形地補正率表 注3参照)

    上記(1)の差引計算後、不整形地補正等を行います。
    不整形地補正は、以下のどちらか小さい方の選択が可能です。(0.60が限度)
     

    ① 不整形地補正率 × 間口狭小補正率(小数点第2位未満切捨)
    ② 間口狭小補正率 × 奥行長大補正率(小数点第2位未満切捨)

     

    ① 0.85(不整形地補正率) × 0.94(間口狭小補正率) = 0.799
    ② 0.94(間口狭小補正率) × 0.90(奥行長大補正率) = 0.846
    小さい方の小数点第2位未満を切捨、
    ① 0.79(小数点2位未満切捨)

    182.8千円 × 0.79 = 144.4千円/㎡

     
    (ご参考・普通住宅地区)

    不整形地補正率 0.85(普通住宅地区A 300㎡ ÷ 720㎡ = 0.4166)
    間口狭小補正率 0.94(4m以上6m未満)
    奥行長大補正率 0.90(30m ÷ 4m = 7.5倍)


     

    (3) 最終的な旗竿地の評価

    144.4千円/㎡ × 420㎡ = 60,648千円


     

    4. かげ地部分の「奥行価格補正率」が1.00未満の場合

    例外的に、かげ地の奥行が短いため、「かげ地の奥行価額補正率」が1.00未満」の場合は、かげ地部分の奥行価格補正率を1.00で計算できる規定があります。
    単純な差引計算では「不合理な結果になるため」ですね。以下の例題で解説します。
     
    (普通住宅地区)
    191018souzoku1_3_2


     

    (1) かげ地の奥行価格補正率の把握

    かげ地奥行5m(奥行価格補正率0.92) < 1.00未満のため、かげ地部分の奥行価格補正率は0.92ではなく、1.00で計算を行う。


     

    (2) 差引計算

    想定整形地、かげ地それぞれの評価額は、奥行価格補正率を考慮して算定します。
     

    ① 想定整形地の評価(赤線部分)
    200千円(正面路線価) × 0.95(奥行価格補正率) × 720㎡ = 136,800千円
    ② かげ地の評価(黒塗部分)
    200千円(正面路線価) × 1.00(補正後奥行価格補正率) × 100㎡ = 20,000千円
    ③ 旗竿地の評価(青塗部分)
    (136,800千円 – 20,000千円) ÷ 620㎡ = 188.3千円

     
    仮に、かげ地の本来の奥行価額補正率0.92を用いて差引計算すると、評価額は190.9千円/㎡となり、通常の路線価計算190千円/㎡(200千円 × 0.95)よりも評価が高くなるという不合理が生じます。
    そこで、こういった場合は、上記のように1.00(補正後奥行価格補正率)で計算します。

     
    (ご参考・普通住宅地区)

    奥行30mの奥行価格補正率 0.95
    奥行5mの奥行価格補正率 0.92


     

    (3) 不整形地補正(不整形地補正率表 注3参照)

    上記(2)の差引計算後、不整形地補正等を行います。
    上記「3.具体例」と同様、どちらか小さい方の選択が可能です。(0.60が限度)
     

    ① 不整形地補正率 × 間口狭小補正率(小数点第2位未満切捨)
    ② 間口狭小補正率 × 奥行長大補正率(小数点第2位未満切捨)

     

    ① 0.99(不整形地補正率) × 0.94(間口狭小補正率) = 0.9306
    ② 0.94(間口狭小補正率) × 0.90(奥行長大補正率) = 0.846
    小さい方の小数点第2位未満を切捨、
    ② 0.84(小数点2位未満切捨)

    188.3千円 × 0.84 = 158.1千円/㎡

     
    (ご参考・普通住宅地区)

    不整形地補正率 0.99(普通住宅地区B 100㎡ ÷ 720㎡ = 0.1388)
    間口狭小補正率 0.94(4m以上6m未満)
    奥行長大補正率 0.90(30m ÷ 4m = 7.5倍)


     

    (4) 最終的な旗竿地の評価

    158.1千円 × 620㎡ = 98,022千円


     

    5. 想定整形地の奥行価額が短い場合

    ややこしいのですが・・上記4の例外の規定があります。
    例外の例外で、ちょっとややこしいですが。
     
    「想定整形地」の奥行が短い結果、「想定整形地」の奥行価格補正率が1.00未満となる場合は、かげ地部分の奥行価格補正率は、たとえ1.00未満であっても1.00に調整せず、想定整形地と同一の奥行価格補正率を用いて計算します。
     
    (普通住宅地区)
    191018souzoku1_4_2
     
    (ご参考・普通住宅地区)

    奥行8mの奥行価格補正率 0.97(普通住宅地区) < 1⇒ 1.00で計算する
    奥行5mの奥行価格補正率 0.92(普通住宅地区)


     

    6. 参照URL

    (不整形地の評価)
    https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hyoka/03/16.htm
     
    (奥行価格補正率等)
    http://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/02/07.htm

     

    Q95【私的年金】個人年金受給権・退職年金受給権と相続税・所得税の関係は?死亡一時金との違いや二重課税の取扱い

     最終更新日:2022/04/01

    DR172

     
    公的年金については、たとえ相続時点で未支給の金額についても、遺族保障の観点で、相続税は課税されません。
     
    一方で、公的年金等ではなく、「私的年金」の未支給年金には相続税が課税されるのでしょうか?

    例えば「個人年金」や「退職年金(企業年金)」などで、死亡後に遺族に支給される年金等です。
     
    「個人年金」や「退職年金」の受給期間中に死亡した場合、遺族がその「受給権」を承継し、残りの期間の「年金」を受給できます。また、「死亡保険金」や「満期保険金」も、一時金ではなく「年金形式」でもらう場合は、同様に「年金受給権」を承継します。この「年金受給権」は、相続税法上は「定期金に関する権利」と呼ばれます。
     
    今回は、こういった「個人年金・退職年金」と相続税、所得税との関係につき解説します。
    (今回の「個人年金」は、保険料負担者 = 被保険者 = 年金受取人を前提とします。)
     

    1. 個人年金とは?種類は?

    (1) 個人年金とは?

    個人年金とは、公的年金(国民年金や厚生年金等)を補填する目的で、生命保険会社と契約する「私的年金」です。
    一般的に、60歳あるいは65歳まで保険料を支払い、その後、年金で受給します
    (保険会社によっては「一時金」で受け取れるタイプもまれにあります)。

     

    (2) 個人年金の種類

    大きく、下記3つの種類となります。

     

    種類 内容 死亡後の遺族の受取
    確定年金 生死に関わらず、一定期間「年金」が受け取れる OK
    有期年金 生存している限り、一定期間「年金」が受け取れる 原則×
    終身年金 生存している限り、一生涯「年金」が受けとれる ×

     

    基本的に、受給者が死亡した場合、遺族は「年金受給権」を承継し、残りの期間の「年金」を受け取ることができます。
    ただし、有期年金、終身年金については、そもそも生存している限り受け取れるタイプとなりますので、年金受給権が発生する個人年金は、上記のうち、「確定年金」ということになります。
    (例外的に「有期年金」で、保証期間が付いている商品もあり、この場合は、保証期間中は、年金受給権が発生)。
     
    つまり・・相続税の課税対象となる「年金受給権」が生じる個人年金は、基本的に「確定年金」ということになります。
     
    なお、要件を満たす個人年金は、所得税上「生命保険料控除」の対象となります(個人年金保険料控除)。
     

    2. 退職年金とは?

    (1) 退職年金とは?

    退職年金とは、「企業年金制度」のある勤務先に勤めていた被保険者が、退職金の一部を「一時金」ではなく「年金」として受け取るものです。
    受給者が死亡した場合、遺族は「年金受給権」を承継し、残りの期間の「年金」を受け取ることができます。
     

    (対象となる退職年金)

    ●確定給付企業年金法で支給される年金(確定給付企業年金法第3条1項)
    ●特定退職金共済団体が行う退職金共済制度の年金(商工会議所などの退職共済契約年金、所得税法施工例第73条)
    ●適格退職年金契約に基づき支給を受ける退職年金(法人税法附則第20条第3)などが該当

     

    (2) ご参考~在職中に亡くなった場合~

    年金受給中ではなく、在職中に死亡した場合は、遺族の方に「退職手当金」が支給されます。この場合、死亡後3年以内に支給が確定したものは「みなし相続財産」として相続税の課税対象となります(今回の論点とは別の論点となります)。
    当該死亡退職金については、一定の相続税非課税枠(500万円 × 法定相続人の人数)があります。
    (死亡後3年経過後に支給額が確定したものは、支払を受けた相続人等の、所得税の課税対象(一時所得))。
     
    なお、個人事業主の「小規模企業共済等」の一時金や、確定拠出年金の一時金についても、上記同様「退職手当金」等に該当し、相続税非課税枠の利用が可能と考えられています。
    (確定拠出年金は、加入者死亡時点で「一時金」として払い戻すものであり、残存期間分の定期金の支給ではないと理解されています)。
     

    3. 相続税上の取り扱い(個人年金・退職年金共通)

    (1) 年金受給権は「みなし相続財産」

    「年金受給権」は、遺族が「保険会社や年金運用機関」から原始取得する固有の権利であり、被相続人から取得する「相続財産」ではありません。
    しかし、「将来年金をもらえる権利」(= 財産価値)を取得する経済的実態に着目し、相続税上は、「みなし相続財産」として相続税の課税対象になります。(相続税法第3条1項5号、6号、契約に基づかない定期金に関する権利)。
     

    (2) 遺産分割の対象にはならない

    年金受給権は、遺族が保険会社等から原紙取得するものですので、「生命保険の死亡一時金」などと同様、受給権受取人の固有財産となり、遺産分割の対象にはなりません。
     

    (3) 生命保険や死亡退職金に認められる非課税限度額はない

    「年金受給権」は、同じ「みなし相続財産」である「生命保険金の死亡一時金」などとは異なり、死亡保険金非課税限度額(500万円 × 法定相続人の数)の対象にはなりません。ここは十分注意が必要です。
     

    4. 所得税上の取り扱い

    (1) 所得税上の取扱いは異なる

    相続後に遺族が受け取る「個人年金」「退職年金」にかかる所得税上の取扱いは、それぞれ異なります。
     

    個人年金 雑所得として所得税が課税
    退職年金 非課税(所得税基本通達9-2)

     

    (2) 個人年金受給権は、二重課税排除の規定あり

    相続により取得した「退職年金受給権」については、「相続税」は課税されますが、遺族受給時の年金には「所得税」が課税されませんので、二重課税は排除されています。
    一方で・・気づいた方もいるかもしれませんが、「個人年金等の年金受給権」は、相続時に「みなし相続財産」として相続税が課税され、遺族が実際年金受取時に「所得税」が課税されますので、二重課税となっています。

     
    したがって、個人年金については、年金受取時の所得税の計算上、「相続税課税対象部分」を差し引いて算定することされ、二重課税の排除が行われています(2010年7月6日 最高裁判決)。

     

    5. 年金受給権の評価方法(個人年金・退職年金共通)

    「年金受給権」の評価方法は、大きく、以下の2つに分かれます(相続税法24条)。
    (ただし、実務上は、生命保険会社等が計算してくれます。)

    (1) 有期定期金

    年金支給期間が決まっているタイプのものです。(確定年金など)
    評価額は、下記①~③のうち、最も高い金額となります。
     

    ① 解約返戻金
    ② 一時金の金額(定期金の代わりに受け取れる場合の金額)
    ③ 年あたりの平均給付額 × 残存期間に応ずる予定利率による「複利年金現価率」

     

    (2) 終身定期金

    亡くなるまでの間、終身で年金を受け取れるタイプのものです。
    評価額は、下記①~③のうち、最も高い金額となります。
     

    ① 解約返戻金
    ② 一時金の金額(定期金の代わりに受け取れる場合の金額)
    ③ 年あたりの平均給付額 × 平均余命に応ずる予定利率による「福利年金現価率」

     

    ただし、「終身年金」は被相続人が生きている限り受給できる年金ですので、被相続人の死亡により受給は終了し「年金受給権」の論点、相続税課税関係は生じません(保険契約者 = 被保険者 = 年金受取人の場合)。

     
    上記のほか、「無期定期金」(永久に定期金を受けることができるもの)もありますが、実務上は、ほとんどありませんので、今回は省略します。

     

    6. 参照URL

    (No.4123 相続税等の課税対象になる年金受給権)
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4123.htm

     

    (No.1620 相続等で取得した年金受給権の所得税調整)
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1620.htm

     

    7.YouTube

     
    YouTubeで分かる「【年金受給権】相続税・所得税は課税されるのか?」
     

    【関連記事】



    Q94 生命保険金の負担者と相続税・贈与税・所得税の関係

     最終更新日:2022/01/25

    DR170

     

    1. 死亡保険金と各種税金の関係

    受取人が取得した保険金には、何らかの税金がかかります。
    一般的な死亡保険(被相続人=被保険者、負担者、受取人が遺族)の場合、「死亡保険金」には相続税が課税されます。

    しかし、契約形態や保険料負担者が誰か?によって、相続税ではなく、所得税や贈与税がかかるケースもあります。

     

    保険料負担者、受取人との関係で、課税される税金を比較すると以下の通りとなります。

     

    被保険者 保険料負担者
    (契約者)
    受取人 課税される税金の種類
    お父さん お父さん お母さん 相続税(※1)
    お父さん お母さん お母さん 所得税(※2)
    お父さん お母さん お子さん 贈与税(※3)

     

    (※1)負担者(契約者)と被保険者が同一&受取人が家族

    お父さんが、受取人をお母さんとして、自分自身で保険を支払っている場合です。

    お父さんの「みなし相続財産」として、お母さんに「相続税」が課されます。

    先ほどの例のパターンですね。
     
    500万円×法定相続人数が、「非課税限度額」として認められますので、通常は、このパターンが、一番税金がかからないケースが多いと思います。

     
     

    (※2)負担者(契約者)と保険金受取人が同一の場合

    お母さんが、受取人「お母さん自身」で、お父さんに保険を掛けているケースです。

    自分が掛けた保険に対して、自分で受け取るので「所得税」となります。
     
    「保険料負担者」と「保険金受取人」が同一の場合、受け取る死亡保険金には、所得税(一時所得)が課税されます。

     

    一時所得課税対象額 =(保険金 + 配当金 – 実払込保険料 – 50万円)× 1/2

    なお、年金形式で受け取った時は。「雑所得」となります。

     
     

    (※3)負担者(契約者)・被保険者・保険金受取人が異なる場合

    お母さんが、受取人を子供として、お父さんに保険を掛けているケースです。
    お母さんから子供への贈与として「贈与税」が課税されます。
     
    「保険料負担者」「被保険者」「保険金受取人」がそれぞれ異なる場合、受け取る保険金は、「保険料負担者」から「受取人」に対する贈与として、贈与税が課税されます。

    Q93【死亡後に入金】未支給年金・税金還付金・保険過誤納還付金・未収給与・弔慰金等には相続税はかかる?

     最終更新日:2022/03/22

    DR169
     

    お亡くなりになられた後に、「被相続人が受け取るべき」お金が入金される場合があります。
    例えば「高額医療費の返戻金」や「未支給年金」、「保険料還付金」などです。
    これらは・・相続税の課税対象となるのでしょうか?
    (相続後に、被相続人が「支払うべき取引」は「債務控除」をご参照ください)

    1. 健康保険・市役所関係

     

    名称 内容 相続財産か? 理由
    高額医療費 生前に支払済の医療費のうち、「自己負担限度額」を超えた分が返戻されるもの 相続財産
    • 高額医療費は、過去の支払額(相続財産減少済)の返金に過ぎないため
    • 所得税上は非課税(健康保険法第62条)
    過誤納還付金
    (国民健康保険料、介護保険料、後期高齢者医療保険料等)
    生前に支払済の保険料で、「納めすぎ」の金額が還付されるもの 相続財産
    • 同上(過去の支払額の返金に過ぎない)(※)
    葬祭費・埋葬費等給付金
    (国民健康保険や健康保険)
    葬儀を行った遺族等に「葬祭費等」として支給されるもの(5万円程度) 該当しない
    • 本人ではなく、葬儀や埋葬を行った人が受けとるべき給付のため
    • 所得税上は非課税(健康保険法第62条他)
    重度心身障害者医療費助成金 障害者本人と家族の負担を軽減するため、医療費の一部を県や市で助成するもの 相続財産
    • 生前に本人が受け取るべき給付のため
    • 所得税上は医療費控除のマイナス

    (※)逆に、納付の場合(例 未納国民健康保険料等)は「債務控除」の対象。


     

    2. 未支給年金関係

    (1)公的年金

    公的年金(国民年金や厚生年金等)は、お亡くなりになられた月(相続発生月)分まで受給する権利があります。
    公的年金の支払いは、偶数月の15日に「前月分と前々月分」が後払支給されます。
    例えば、7月死亡の場合、6・7月分の支給は8月 ⇒したがって、 相続開始時点では必ず「未支給の年金」が存在します。

     
    (例 7月5日に死亡した場合)

    受給可能な年金 支給時期 未支給年金
    7月分まで受給可能 8月15日(6・7月分) 6・7月分

    (※)6月15日支給分(4・5月分)は、生前に受取済のため、「未支給年金」の取扱いとはなりません。

     
    なお、「未支給年金」とは、「相続発生時点で受給していない年金」のことを指しますので、「受給権」の有無ではなく、「生前に、実際に受取ができていない年金」を意味します(「個人年金」受給中の相続で、遺族が相続する「年金受給権」は別の論点になります。この「年金受給権」は相続財産に含まれます。)

     
    「未支給年金」や「その他の一時金等」の相続税課税関係は、以下の通りです。
     

    名称 内容 相続財産か? 理由
    未支給公的年金 死亡した者に支給すべき公的年金給付で、生前に支給されていない年金 該当しない
    • 未支給年金は「遺族固有の権利」として保障されているため(最高裁判決 平成7年11月7日)
    • 所得税上は遺族の「一時所得」として課税対象(※)
    未支給遺族年金
    (公的年金)
    「国民年金」や「厚生年金」の受給者が死亡した場合、受給要件を満たす遺族が受け取ることができる年金で、生前に支給されていない年金 該当しない
    • 遺族年金も、「遺族の生活保障」の観点から相続税は非課税となります。
    • 「公的年金の未支給年金」と異なり、所得税も課税されません。
    未支給寡婦年金
    (公的年金)
    国民年金1号被保険者(自営業者等)で、10年以上保険料を納めた夫が亡くなった際に、妻が受け取ることができる年金で、生前に支給されていない年金 該当しない
    • 寡婦年金も、「遺族の生活保障」の観点から相続税は非課税となります。
    • 遺族年金と同様、所得税も課税されません。なお、一定要件を満たす寡婦は、「寡婦控除」という所得税上の恩典もあります。
    死亡一時金
    (国民年金)
    遺族一時金
    (国民年金基金)
    家族が死亡したときに支給される一時金 該当しない
    • 相続人が受け取るべき給付のため(国民年金法第133条、国民年金法第25条)
    • 所得税上は遺族の「一時所得」として課税対象

    (※)死亡時までに「実際支給済の年金」は、被相続人の「準確定申告」(雑所得)で申告し、「死亡時までの未支給年金」は、相続人の「確定申告」(一時所得)として申告します。
     

    (非課税対象の未支給年金の範囲)

    国民年金法、厚生年金保険法、恩給法、旧船員保険法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法、旧農林漁業団体職員共済組合法

     

    (2)私的年金

    私的年金とは、公的年金以外の年金で、企業年金や個人年金が該当します。
    私的年金の相続税課税関係は、以下の通りです。
     

    名称 内容 相続財産か? 理由
    未支給年金
    (私的年金)
    企業年金や個人年金などの私的年金 相続財産
    • 企業年金は、「年金受給権」として相続税課税対象
    • 個人年金は、「年金受給権」として相続税課税対象

     
    私的年金の相続税課税関係については、Q95で、別途まとめています。ご参照ください。
     

    3. 税金関係

     

    名称 内容 相続財産か? 理由
    所得税等の還付金 生前に支払済の所得税・住民税等で、「納めすぎ」の金額が還付されるもの 相続財産
    • 生存中の潜在的な請求権が、死亡により顕在化したため(※)
    還付加算金
    (確定申告)
    確定申告書提出後に「還付される税金」に対応する利息的なもの 相続財産
    • 暦年終了時に、被相続人に「還付請求権」が潜在的に存在しているため
    還付加算金
    (準確定申告)
    準確定申告提出後に「還付される税金」に対応する利息的なもの 該当しない
    • 準確定申告の場合は、相続人が申告することで「還付加算金請求権」を原始的に取得するもののため
    • 所得税上は遺族の雑所得として課税対象

    (※)逆に、納付の場合は「債務控除」の対象。


     

    4. 勤務先等関係

     

    名称 内容 相続財産か? 理由
    弔慰金・花輪・葬祭料 亡くなった人の功労や家族へのお見舞として支給されるもの 該当しない
    • 名目は弔慰金であっても、実質上「退職手当金等」に該当するものは相続税の課税対象
    • 所得税は非課税(所施令30条)
    療養補助金・入院見舞金 被相続人に対し生前の療養や入院見舞金として支給されるもの 相続財産
    • 生前に本人が受け取るべき給付のため
    未収給与・賞与 死亡後に支払われる生前の給与・賞与 相続財産
    • 生前に本人が受け取るべき給付のため
    • 所得税は非課税となります(所基通9-17)

     

    5. 参照URL

    (未支給国民年金)
    https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/sozoku/02/09.htm
     

    (確定申告書提出後に死亡した被相続人に係る還付加算金の課税関係)
    https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/sozoku/02/04.htm
     

    (被相続人の準確定申告に係る還付金等)
    https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/sozoku/02/01.htm
     

    (弔慰金)
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4120.htm

     

    (死亡後に支給期が到来する給与)
    https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hotei/7/05.htm
     

    (相続財産とされる死亡者の給与等、公的年金等及び退職手当等)
    https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/02/04.htm#a-04
     

    6. YouTube

     
    YouTubeで分かる「未支給年金に相続税はかかる?」
     

    【関連記事】


    Q84 土地と建物の共有割合が異なる場合の評価

     最終更新日:2022/02/25


     

    共有名義の不動産を相続した場合、相続税の関係は「複雑」になります。
    今回は、土地と建物、それぞれの共有割合が異なる場合の、土地の評価及び小規模宅地等の特例の関係をまとめます。

     

    1. 土地と建物の共有割合が「同じ」場合

    最初に、土地と建物の共有割合が「同じ」場合を例題で解説します。
     

  • 父が亡くなり、すべて母が相続することになった(父母は生計一親族)。
  • 生前、土地・建物とも父と母の共有名義(50%ずつ)で登記されている。
  • 土地建物は、「自宅」として利用、小規模宅地等の特例要件は満たす。
  • 土地の全㎡数 100㎡とする。
  •  
    (イメージ図)
    190303Q84_1
     

  • 父所有土地共有持ち分は、「自宅」として利用していますので、「自用地評価」となります。
  •  

  • 「小規模宅地等の特例」との関係は、父の土地共有割合が全体の50%ですので、
    父共有持ち分 50㎡( 100㎡ × 1/2 )だけが小規模宅地等の特例の対象となります。
    (母土地共有持ち分 50%は、もともと父所有ではないので、もちろん対象外です)
  •  

    生前区分 対象 評価区分 小規模宅地等との関係 利用区分
    父所有土地 50㎡ 自用地 特定居住用宅地等 本人利用
    母所有土地 50㎡

     

     

    2. 土地と建物の共有割合が「異なる」場合

    続いて、土地と建物の共有割合が「異なる」場合は、どうなるでしょうか?
    被相続人の「土地建物」の共有割合が、それぞれどういう状況か?によって、パターンが2つに分かれます。

     

    (1) 被相続人共有土地㎡数 > 共有建物㎡数 の場合

     

  • 父が亡くなり、すべて母が相続することになった(父母は生計一親族)。
  • 生前、土地は、父70%、母30%の共有名義で登記されている。
  • 生前、建物は、父50%、母50%の共有名義で登記されている。
  • 土地建物は「自宅」として利用、小規模宅地等の特例要件は満たす。
  • 土地の全㎡数 100㎡とする。
  •  
    (イメージ図)
    190303Q84_2
     
    まず、父と母は、それぞれ自分の土地の上に、自分の建物を建築しているものと考えます。
    上記では、父所有建物は、すべて自分所有の土地上に建築されています。
    一方、母所有建物のうち、30%は自分所有の土地上、残りの20%は父所有の土地上に建築されていると考えます。
    以下、上記「イメージ図」に示した「①~③の土地」ごとにまとめます。
     
    ① 「父所有建物」下の土地(50㎡)
    父所有建物下の土地は、すべて父所有の土地となります。
    「自宅」利用していますので、「自用地評価」、「小規模宅地等の特例」の対象となります。
     
    ② 「母所有建物」下の土地の内、父持分(20㎡)
    母所有建物下の土地のうち、20㎡は父所有の土地です。(母は所有権を有していない)
    当該部分は、母が父から土地を無償で借りて(=使用貸借)、自分の建物を建築していると考えます。
    使用貸借の場合、「借地権はゼロ」で評価しますので、この20㎡の部分については「自用地」評価となります。
    ・この「自用地部分」は「被相続人と生計一である母の居住用」ですので「特定居住用宅地等の特例」の対象となります。

     
    ③ 「母所有建物」下の土地のうち、母持分(30㎡)
    この部分は、母が自分の土地上に自分の建物を建築していると考えます。
    ただし、当該部分は母所有ですので、そもそも今回の相続の対象になりません。
     
    ④ 結論・まとめ
    結論、被相続人共有土地㎡数>共有建物㎡数の場合は、
    被相続人共有土地(70㎡)すべてが「居住用小規模宅地等の特例」の対象となります。(同一生計親族の場合)

     

    生前区分 対象 評価区分 小規模宅地等との関係 利用区分
    父所有建物下の土地 50㎡ 自用地 特定居住用宅地等 本人利用
    母所有建物下の土地 父土地部分 20㎡ 自用地 特定居住用宅地等 同一生計親族利用
    母土地部分 30㎡ 相続対象外

     
    なお、土地を使用貸借している場合、当該土地は「自用地評価」を行いますが、
    父と母の「生計が別」の場合は、たとえ「自用地評価」でも小規模宅地等の特例の対象となりません。

     

    (2) 被相続人共有土地㎡数 < 共有建物㎡数 の場合

     

  • 父が亡くなり、すべて母が相続することになった(父母は生計一親族)。
  • 生前、土地は、父30%、母70%の共有名義で登記されている。
  • 生前、建物は、父50%、母50%の共有名義で登記されている。
  • 土地建物は「自宅」として利用、小規模宅地等の特例要件は満たす。
  • 土地の全㎡数 100㎡とする。
  •  
    (イメージ図)
    190303Q84_3
     
    上記(1)と同様に、父と母は、それぞれ自分の土地の上に、自分の建物を建築しているものと考えます。
    父所有建物の内、30%は父自身所有の土地上、残りの20%は母所有の土地上に建築されていることになります。
    一方、母所有の建物は、すべて母所有の土地上に建築されていると考えます。
    以下、上記「イメージ図」に示した「①~③の土地」ごとにまとめます。
     
    ① 「父所有建物」下の土地の内、父持分(30㎡)
    父所有建物下の土地の内、30㎡は父所有の土地となります。
    「自宅」利用していますので、「自用地評価」、「小規模宅地等の特例」の対象となります。
     
    ② 「父所有建物」下の土地の内、母持分(20㎡)
    父所有建物下の土地の内、20㎡は母所有の土地です。(父は所有権を有していない)
    当該部分は、父は母から土地を無償で借りる(使用貸借)のが一般的です。
    ただし、当該部分は母所有ですので、そもそも今回の相続の対象になりません。
     
    ③ 「母所有建物」下の土地(50㎡)
    この部分は、母が自分の土地上に自分の建物を建築していると考えます。
    ただし、当該部分は母所有ですので、そもそも今回の相続の対象になりません。
     
    ④ 結論・まとめ
    結論、被相続人共有土地㎡数<共有建物㎡数の場合も、
    被相続人共有土地(30㎡)すべてが「居住用小規模宅地等の特例」の対象となります。(同一生計親族の場合)

     

    生前区分 対象 評価区分 小規模宅地等との関係 利用区分
    父建物下の土地 父土地部分 30㎡ 自用地 特定居住用宅地等 本人利用
    母土地部分 20㎡ 相続対象外
    母建物下の土地 50㎡ 相続対象外

     

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    Q83 共有名義の自宅の評価~生計が別の場合~

     最終更新日:2022/02/25

    前回まで(Q80~Q82)、自宅及び貸家として利用している場合の「共有名義不動産の相続と、小規模宅地等の特例の関係」をお伝えしました。
    が・・あくまで共有名義人同士が「同一生計」の場合を前提にお伝えしました。
     
    今回は、不動産が共有名義で、かつ「生計が別」の場合、小規模宅地等の特例の関係はどうなるのか?を考えてみます。
    「自宅」として利用する場合を例に解説します。
     
    土地、建物どちらが共有なのか?によって、パターンが2つに分かれます。

     

    1. 土地が共有の場合

    まず、「土地」が共有の場合です。
     

  • 母が亡くなり、すべて子が相続することになった(母子は生計別親族)。
  • 生前、建物は母が100%所有。土地は母と子の共有名義(50%ずつ)で登記されている。
  • 土地建物は、「自宅」として利用、小規模宅地等の特例要件は満たす。
  • 土地の全㎡数 100㎡とする。
  •  
    (イメージ図)
    Q83_1
     

  • 母所有土地共有持ち分は、「自宅」として利用していますので、「自用地評価」となります。
  •  

  • 「小規模宅地等の特例」との関係は、母の土地共有割合は、全体の50%ですので、
    母共有持ち分 50㎡( 100㎡ × 1/2 )だけが、小規模宅地等の特例の対象となります。
    (子土地共有持ち分 50%は、もともと母所有ではないので、もちろん対象外です)
  •  

    生前区分 対象 評価区分 小規模宅地等との関係 利用区分
    母所有土地 50㎡ 自用地 特定居住用宅地等 本人利用
    子所有土地 50㎡

     

     

    2. 建物が共有の場合

    次に、「建物」が共有の場合です。
     

  • 母が亡くなり、すべて子が相続することになった(母子は生計別親族)。
  • 生前、土地は母が100%所有。建物は母と子の共有名義(50%ずつ)で登記されている。
  • 土地建物は「自宅」として利用、小規模宅地等の特例要件は満たす。
  • 土地の全㎡数 100㎡とする。
  •  
    (イメージ図)
    Q83_2

     

    (1) 「母建物共有持ち分」に対応する土地50㎡(すべて所有は母)

    「自宅」として利用していますので、「自用地評価」となり、「特定居住用宅地等の特例」の対象となります。

     

    (2) 「子建物共有持ち分」に対応する土地50㎡(すべて所有は母)

     

  • この部分の土地については、子は所有権を有していません。
    こういった事例の場合、当該部分は、母から土地を無償で借りる(=使用貸借)ことが一般的です。
     
    使用貸借の場合、「借地権はゼロ」で評価しますので、
    結論、子持ち分建物に対応する土地(所有権は母)は、「自用地」評価となります。
  •  

  • また、この「自用地部分」は、「被相続人と生計別である子の居住用」ですので、
    「特定居住用宅地等の特例」の対象にもなりません。
  •  
    結論、建物が共有名義で、「生計別親族」の場合は、母所有土地のうち、
    母建物持分に対応する土地 50㎡のみが「小規模宅地等の特例」の対象
    となります。
     

    生前区分 対象 評価区分 小規模宅地等との関係 利用区分
    母建物共有持ち分対応土地 50㎡ 自用地 特定居住用宅地等 本人利用
    子建物共有持ち分対応土地 50㎡ 自用地 生計別親族利用

     
    なお、今回は、自宅利用の場合で記載しましたが、貸家利用の場合でも、考え方は自宅と同様です。
    小規模宅地等の特例との関係も、同様に判断します。

     

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