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Q3 教育資金の贈与に税金はかかる?

公開日:2017/02/08 最終更新日:2020/07/26

DR016

扶養義務者間での生活・教育資金については、「その都度支払う分」は贈与税がかかりませんが、一括贈与する場合は、原則として贈与税がかかります(Q2参照)

 

ただし、「教育資金」については、例外規定があって、一括贈与した場合でも、特別の「非課税枠」が認められています。

「教育資金の一括贈与の非課税制度」と呼ばれます(措法第70 条の2の2)。

教育資金
 

1. 教育資金の一括贈与の非課税制度って?

期間限定で、非課税の上限も定められています。
概要は以下の通りです。

 

期間 期間  ~令和3年3月31日まで
非課税枠
  • 受贈者(子供や孫など)1人につき1,500万円まで(※1)
    (学校等以外、例えば塾や習い事等への支出は500万が上限)(※2)
  • 暦年贈与(年間110万まで)との併用も可能。
終了時期
  • 受贈者が、原則として、満30歳に達した場合などに終了し、口座残高に対して贈与税が課税される。
対象
  • 直系尊属からの「教育資金の贈与」
  • 受贈者は、原則として30歳未満
  • 直系尊属なので、おじや、おばは×(養父母は〇)。
    受贈者の配偶者(子や孫等の配偶者)の直系尊属は×
  • 受贈者の合計所得1,000万以下(平成31年度改正)
手続き
  • 銀行等で「教育資金口座」を開設して入金(口座は子や孫名義)。
  • 毎年領収書を銀行等に提出(※3)

 

(※1)贈与者1人ではない(例 祖父1,500万円+祖母1,500万円=3,000万円×

(※2)非課税限度額の総額はあくまで1,500万円であり、1,500万円の枠内に、学校等以外の支出500万円が含まれる。2,000万円までが非課税ではない。

(※3)領収書名義は、原則受贈者本人だが、親名義で、受贈者の教育資金に係る領収書等が発行された場合もOK

 

2. 教育資金の範囲

文科省Q&Aで、細かく規定されていますが、実務では判断に迷うものも多いです。

以下、代表的なものを記載しますね(詳しくはQ&Aを参照ください)。

 

(1)学校等に直接支払われるもの(上限1,500万円)

入学金や授業料、給食費などです。

「学校名が記載された領収書」があれば、ほぼ教育費になります。

 

(2)学校等以外に直接支払われるもの(上限500万円)

➀学習塾や習い事などの支出
  • 「社会通念上相当と認められる」もの
  • 物品の購入は、「指導者の名前」で領収書がもらえるもののみ。
  • 受贈者が23歳に達した日以後に支払われるもので一定のもの(教育に関する役務提供の対価など)。
    (平成31年度改正追加)

 

②上記以外で、物品の販売店などに直接支払われるもの
  • 通学定期券代、留学のための渡航費など

 

正直・・教育資金なのか?
迷うものが多いです。
支出内容が同じでも、直接学校に払えばOKだが、業者に払ったら×など・・。
 

扶養義務者相互間の「教育費」は贈与税の対象にならない内容でも、この教育資金一括贈与では×になったりするものがありますので・・
注意しましょう(詳しくは、文科省Q&A参照)。

 

3. 手続

(1)金融機関で口座開設

「教育資金口座」を開設して入金(口座は孫名義、信託会社の場合は本人名義)。

(孫1人につき1金融機関に限定+途中変更不可)

その際、「教育資金非課税申告書」を提出。

 

(2)税務署への提出

金融機関が「教育資金非課税申告書」を税務署に提出。

(消費者や税理士が、直接税務署にいくことはありません)

 

(3)払出方法を決定

  • 教育資金を立替払後に、領収書等を持参して銀行口座から払い出す方法
  • 先に口座から自由に引き出し、後で領収書等を金融機関に持参する方法

 

4. 教育資金以外の支払いを行った場合は?

贈与税が課せられます。

教育資金以外の支払を行った場合、ご自身で「贈与税申告」を行わなければいけません。
(銀行がやってくれるわけではない。)

 

なお、領収書等金額が1万円以下かつ、年間合計支払金額が24万円までのものは、領収書の代わりに、「支払先・支払金額の明細」を提出すればOKになりました。

(平成28年1月1日以後に提出する書類)

 

5. 終了時点と課税時期

次の場合に終了します。

① 受贈者が30歳に達した場合(学校等に在学している場合は除く)
② 口座残高が0になった場合
③ 受贈者が死亡した場合


 

  • 上記①②の場合は、「教育資金支出額」を超える分に「贈与税」が課税されます。
    注意点は、領収書等を提出しなかった場合も、残額がゼロになれば、「教育資金支出額を超える部分はあくまで課税される」という点です。
  • 上記③の場合は、たとえ口座に資金が残っていても贈与税は課税されません。
    (ただし、残額は、当然亡くなった方の「相続財産」として課税対象となります)
  • 銀行口座は、中途解約はできません。一度利用開始すると、後に戻れませんので!

 

6. 贈与者が先に死亡したら?

上記終了時点までに、贈与者が先に死亡した場合はどうなるんでしょうか?
一般的には、このケースが一番多いと思います。
 

(1)相続税の課税対象にならない

原則として、「贈与者の遺産」になりませんので、相続税の課税対象となりません。
ただし、一定の場合、(※)を除き、贈与者死亡前3年以内のものについては、死亡日の管理残額が相続又は遺贈により取得したものとみなされます(平成31年度改正)。

(※)受贈者が23歳未満の場合や学校等に在学している場合など
 

(2)教育資金支出を超える部分は?

次に、贈与者死亡後に、受贈者が30歳に達した場合の残額がある等、教育資金を超える支出がある場合はどうでしょう?

この場合、亡くなった方からの贈与というのはありえませんが、「架空の他人からの贈与」とみなされますので、一般の暦年贈与として課税されます(逆に、残額110万円以下であれば、税金はかからない)。
 
なお、受贈者が30歳になった時点の残額については、「相続開始前3年以内の生前贈与加算」の対象になります(贈与者が生存されている場合)。

 

7. メリット・デメリットまとめ

この「教育資金の一括贈与」を検討する前提として、「その都度」贈与は非課税(Q2)という点を理解されていない方が多いです。
まずはそちらを検討の上、不足分につき、
この制度を検討することになります。

 

メリット デメリット
  • 30歳までの間に使い切れば、贈与税も相続税もかからない
  • 贈与者が先に死亡した場合
    ①相続税の課税対象から外れる
    ②相続開始前3年以内の生前贈与加算」の適用がない
  • 使い切れなかった場合や、目的外支出の場合は贈与税がかかる
  • 金融機関への領収書提出が大変
    (毎年提出⇒30歳まで続く・・)
  • 贈与者の資金繰り
    贈与者自身の老後の資金繰りへの影響(現金贈与だし、特定の孫だけというわけにいかない・・)
  • 教育資金の範囲が決められていて、利用場面が限定される

 

~参照URL~

(教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度)

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku-zoyo/201304/01.htm