Q70【リフォーム】外壁や内装リフォームで本当に相続税が安くなるのか?固定資産税評価額との関係は?

公開日:2018/07/27 最終更新日:2022/01/17 閲覧数:8,319 views

 

相続税上、建物は、原則として「固定資産税評価額」で評価を行います。
「固定資産税評価額」は、「実勢価格」より低くなりますので(おおむね時価の70%程度)、相続税の観点からは、資産を現預金で所有するよりも、建物等を建築して現預金を少なくした方が、「相続税評価額」は下がることになります。
 
この点、建物等をリフォームした場合も同様です。
 
リフォームすることで、現預金は減少します。
しかも、リフォーム部分につき「固定資産税評価額」に反映されない場合もあります。
固定資産税評価額に反映されないということは、現預金が減少するだけですので、相続税評価額がかなり下がることになりますね。
 
しかし・・行き過ぎたリフォーム節税を防止する観点で、相続税上の規制が設けられています。
 
Q70-1
 

 0.YouTube

 
YouTubeで分かる「外壁や内装リフォームで本当に相続税が安くなるのか?」
 

 

1.  固定資産税評価額が増加する場合

一般的に、増築など、「床面積を増やすリフォーム」を実施した場合は、不動産登記の変更が必要となりますので、「固定資産税評価額」が増加します。その他、大規模工事や建築目的が変わる場合も建築確認申請や登記変更を通じて「固定資産税評価額」が増加するケースがあります。
 
一方、経年劣化部分、内装・家屋内設備リフォームの場合は、「固定資産税評価額」は改訂されず、評価が据え置かれます(というか・・役所も把握しきれないから)
 
なお、役所は、3年に一度、航空写真等で固定資産の実地調査を行っています。
この際、前回調査と比較して、見た目に増築等が明らかな家屋については、固定資産税課の独自の調査で「固定資産税評価額」を改訂する場合があります。
逆に言うと、見た目に判別のつかないリフォームの場合は、役所も把握しきれないので、「固定資産税評価額は据え置きされている」というのが実態です。
 
つまり・・リフォームの内容によっては、「固定資産税評価額」に反映されない場合がある!ということになります。

 

2. 相続税上の評価は?

(1) 原則

家屋と構造上一体となっている設備(電気設備・ガス設備・衛生設備など)は、家屋の価額に含めて評価できます
 
(財基通92(1) 家屋と構造上一体となっている設備)
家屋の所有者が有する電気設備(ネオンサイン、投光器、スポットライト、電話機、電話交換機およびタイムレコーダー等を除く。)、ガス設備、衛生設備、給排水設備、温湿度調整設備、消火設備、避雷針設備、昇降設備、じんかい処理設備等で、その家屋に取り付けられ、その家屋と構造上一体となっているものについては、その家屋の価額に含めて評価する。

 

例えば、浴室を取り換える、あるいはシステムキッチンに変更するなどのリフォームは、通常、家屋と構造上一体となりますので、「家屋の価額に含めて評価」します。
 
この点、上記の規定は、固定資産税とほぼ近い内容となっています。

つまり、家屋と構造上一体となるものは「固定資産税」上も家屋に含めて評価しますので、リフォームを行ったとしても、家屋の固定資産税評価額が据え置かれる以上、相続税評価額も増加しない!という結論になります。

 

したがって、原則として家屋と構造上一体となるリフォームは、現金が支出する分だけ相続税が安くなるということですね。
 

(2) 例外

しかしながら、過去の行き過ぎたリフォーム節税を防止する観点から、「増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない家屋の評価」という「質疑応答事例」が、10年ほど前に策定されました。
 

この「質疑応答事例」の内容は、簡単に言うと・・増改築部分はたとえ固定資産税評価額が改訂されていなくても、別途相続税上の評価が必要!ということが記載されています。

 

(抜粋 増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない家屋の評価)
固定資産税評価額が付されていない場合の家屋の価額は、・・当該増改築等に係る家屋と状況の類似した付近の家屋の固定資産税評価額を基として・・評定した価額・・

 
具体的には、以下の計算を行います。
●当該増改築等に係る家屋と類似したものの固定資産税評価額を基礎として、経過年数等を調整した価額
●上記が不明な場合は、(再建築価額-償却費相当額) × 70%

 

3. 増改築とは?

(1) リフォームはすべて相続税評価の対象か?

上記「質疑応答事例」の、「増改築」という言葉が、「具体的にどういったものを想定しているのか?」までは例示されていませんが、一般的には、法人税、所得税上の「資本的支出」の判断が目安になると考えられています。
 
資本的支出の判定は、以下の通りです。

 

(資本的支出とは?)

定義 具体例
収益的支出(修繕費)
  • 維持管理や原状回復のために要した費用
  • 維持に不可欠となる工事費(外壁塗装)
  • 経年劣化した「付帯設備」の交換
  • 原状回復工事(壊れた設備の修理)
資本的支出(資産)
  • 建物等の使用可能年数の延長が想定される支出
  • 資産価値が増加すると考えられる支出
  • 建替工事
  • 新たな設備の導入
  • 間取りの変更

 

つまり・・「資本的支出」に該当する大がかりなリフォームの場合は、たとえ「固定資産税評価額」が改訂されていなくても、70%部分は相続税評価に反映しないといけないということになります。それでも、30%評価はさがるので、「現金」で保有するよりは節税になりますが!

 

4. リフォーム部分の相続税計算方法

 

(1) 計算式

実務的には、「増改築家屋と類似した物件」を見つけるのは至難の業ですので、以下の計算式で評価します。
 
(リフォーム前固定資産税評価額 + (リフォーム費用 - リフォーム部分償却費(※)) × 70%
 
(※)リフォーム部分の償却費の計算方法
リフォーム費用 × 90% × (リフォーム日 ⇒ 死亡日までの経過年数) / 耐用年数

 
●経過年数は、1年未満の端数は切上

●耐用年数は、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」の耐用年数

 

(2) 具体例

●被相続人は、相続開始の3年半前に、大規模リフォーム3,000万円を実施(資本的支出とします)。
●現在の建物固定資産税評価額は500万円(固定資産税評価額500万円は、リフォーム部分の評価は反映されていない。
●リフォーム部分の耐用年数は70年とします

 
リフォーム日⇒死亡日までの経過年数・・3年半 ⇒ 切り上げで4年
リフォーム部分の相続税評価額・・3,000万円 - 3,000万円 ×90% × 4年 /70年 = 2,845.71万円
リフォームを含めた、当該建物の相続税評価額・・500万円 + 2,845.71万円 × 0.7 = 2,492万円

 
どうですか・・かなり相続税評価額が上がってしまうことになりますね。
なお、リフォームした場合は、市役所に言えば固定資産税評価額の改定もしてくれるようです。毎年の固定資産税支払額は上がるかもしれませんが、相続税上は、上記の評価よりも「固定資産税評価額」の方が安くなると思われますので、固定資産税評価額の改定を依頼することも一つの選択肢になります。
 

5. リフォームローンは債務控除の対象か?

リフォームローンも、債務控除の対象となります。
ただし、団体信用生命保険に加入している場合は、相続人はローンを引き継ぎませんので債務控除対象外となります。
 

6. 親子間のリフォームは?

親子間で、例えば、親が子供のマイホームのリフォーム代を出してあげる、あるいは逆に実家の親のリフォーム代を出してあげるケースもあると思います。
この場合・・税務上は・・「贈与」と取り扱われますので、注意です!詳しくはQ72をご参照ください。
 

7. (ご参考)住宅取得資金贈与の非課税枠

住宅取得資金贈与については、最大1,500万円までの、「贈与税非課税枠」があります。
当該制度は、「増改築やリフォーム」も対象となります。

 

8. 参照URL

(附属設備等の評価)財基通92(1)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/03/01.htm#a-92
 
(増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない家屋の評価)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hyoka/19/01.htm