神戸で相続のご相談なら濱田会計事務所 各線三宮駅より徒歩5分
0120-932-116
平日9:00〜18:00 ※土日でも電話対応可能です。

お問い合わせ




Q82 共有名義の自宅と貸家「両方」ある場合の評価

公開日:2019/01/18 最終更新日:2020/06/16

DR156
 

 

前回に引き続き、「共有名義の不動産相続」と「小規模宅地等の特例」の関係です。
今回は、共有名義の不動産が、「自宅」「貸家」の両方で利用されている場合を解説します。
(自宅のみ、貸家のみの利用の場合は、Q80Q81をご参照ください)

 

1. 共有名義でない場合

共有の論点に入る前に、前提として、共有名義でない不動産を、「自宅」と「貸家」で利用されている場合の「小規模宅地等の特例」との関係を考えてみます。
 

  • 父が亡くなり、すべて母が相続することになった(父母は同一生計親族)。
  • 生前、土地と建物は、どちらも父が100%所有(=共有関係はなし)。
  • 1Fは自宅、2Fは貸家として利用、小規模宅地等の特例要件は満たす。
  • 土地の全㎡数 100㎡。1F、2Fの面積は全く同じとする。
  •  
    (イメージ図)
    Q82_1
     

  • 土地の評価区分は、1F 自宅部分は「自用地評価」、2F 貸家部分は「貸家建付地評価」となります。
  •  

  • 「小規模宅地等の特例」との関係は、1F 自宅部分に対応する土地 50㎡( 100㎡ × 1/2 )は特定居住用宅地等の特例
    2F 貸家部分に対応する土地 50㎡( 100㎡ × 1/2 )は貸付事業用宅地等の特例の対象となります。
  •  

    生前区分 対象 評価区分 小規模宅地等との関係 利用区分
    父所有土地 1F 50㎡ 自用地 特定居住用宅地等 本人利用
    2F 50㎡ 貸家建付地 貸付事業用宅地等 本人利用

     

     

    2. 土地が共有の場合

     

  • 父が亡くなり、すべて母が相続することになった(父母は同一生計親族)。
  • 生前、建物は父が100%所有。土地は父と母の共有名義(50%ずつ)で登記されている。
  • 1Fは自宅、2Fは貸家として利用、小規模宅地等の特例要件は満たす。
  • 土地の全㎡数 100㎡。1F、2Fの面積は全く同じとする。
  •  
    (イメージ図)
    Q82_2

     

    (1) 土地の評価区分

     
    1F 自宅部分は「自用地評価」、2F 貸家部分は「貸家建付地評価」となります。


     

    (2) 小規模宅地等の特例の対象

     
    「小規模宅地等の特例」との関係では、父の土地共有割合は、全体の50%ですので、
    父共有持ち分 50㎡( 100㎡ × 1/2 )だけが、小規模宅地等の特例の対象となります。
    (母土地共有持ち分50%は、もともと父所有でないので、もちろん対象外です)

     

    (3) 小規模宅地等の特例の種類・対象面積

     

  • 1F部分は「居住用」ですので、「特定居住用宅地等の特例」の対象となります。
  • 2F部分は「貸付用」ですので、「貸付事業用宅地等の特例」の対象となります。
  •  

    ① 特定居住用宅地等の特例の対象面積
     
    50㎡ × 50% = 25㎡
     
    ② 貸付事業用宅地等の特例の対象面積
     
    50㎡ × 50% = 25㎡

     

    生前区分 対象 評価区分 小規模宅地等との関係 利用区分
    父所有土地 1F 25㎡ 自用地 特定居住用宅地等 本人利用
    2F 25㎡ 貸家建付地 貸付事業用宅地等 本人利用
    母所有土地 1F 25㎡
    2F 25㎡

     

     

    3. 建物が共有の場合

     

  • 父が亡くなり、すべて母が相続することになった(父母は同一生計親族)。
  • 生前、土地は父が100%所有。建物は父と母の共有名義(50%ずつ)で登記されている。
  • 1Fは自宅、2Fは貸家として利用、小規模宅地等の特例要件は満たす。
  • 土地の全㎡数 100㎡。1F、2Fの面積は全く同じとする。
  •  
    (イメージ図)
    Q82_3

     

    (1) 土地の評価区分

     
    ① 父持ち分建物に対応する土地 50㎡(すべて所有は父)
     

  • 1F 自宅部分25㎡・・・自用地評価となります。
  • 2F 貸家部分25㎡・・・貸家建付地評価となります。
  •  
    ② 母持ち分建物に対応する土地部分 50㎡(すべて所有は父)
    この部分の土地については、母は所有権を有していません。
    この場合、当該部分は父から土地を無償で借りる(=使用貸借)ことが一般的です。
    使用貸借の場合、「借地権はゼロ」で評価しますので、
    結論、母持分建物に対応する土地(所有権は父)は「自用地評価」となります。
     

  • 1F 自宅部分 25㎡・・・自用地評価となります。
  • 2F 貸家部分 25㎡・・・自用地評価となります。

  •  

    (2) 小規模宅地等の特例の対象

     
    ① 父持ち分建物に対応する土地 50㎡(すべて所有は父)
     
    「自宅」及び「貸家」として利用していますので、被相続人本人の「居住用」及び「貸付事業用宅地等の特例」の適用が認められます。
     
    ② 母持ち分建物に対応する土地部分 50㎡(すべて所有は父)
     
    「自用地」評価となりますが、「被相続人と生計一である母の居住用及び貸付事業用」ですので、
    「居住用」及び「貸付事業用宅地等の特例」の適用が認められます。
     
    結論、父が所有していた土地 100㎡すべてが小規模宅地の特例になります。

     

    (3) 小規模宅地等の特例の種類・対象面積

     

  • 1F部分は「居住用」ですので、「特定居住用宅地等の特例」の対象となります。
  • 2F部分は「貸付用」ですので、「貸付事業用宅地等の特例」の対象となります。
  •  

    ① 特定居住用宅地等の特例の対象面積
     
    100㎡ × 50% = 50㎡
     
    ② 貸付事業用宅地等の特例の対象面積
     
    100㎡ × 50% = 50㎡

     
    結論、たとえ、建物が共有名義であっても、「同一生計親族」の場合は、
    父所有土地100㎡すべてが「居住用」及び「貸付事業用」小規模宅地等の特例の対象
    となります。
     

    生前区分 対象 評価区分 小規模宅地等との関係 利用区分
    父建物共有持ち分対応土地 1F 25㎡ 自用地 特定居住用宅地等 本人利用
    2F 25㎡ 貸家建付地 貸付事業用宅地等 本人利用
    母建物共有持ち分対応土地 1F 25㎡ 自用地 特定居住用宅地等 同一生計親族利用
    2F 25㎡ 自用地 貸付事業用宅地等 同一生計親族利用