Q4 【令和3年改正】結婚・子育て・出産等資金 贈与税非課税枠1,000万円はいつまで?メリットデメリットは?

 最終更新日:2023/12/27 閲覧数:18,527 views

扶養義務者間での生活や結婚等の資金については、「その都度支払う分」は贈与税がかかりませんが、一括贈与する場合は、原則として贈与税がかかります(Q2参照)

ただし、例外的に、「結婚や子育て等に対する資金」については、一括贈与の場合の特別の非課税枠が認められています。「結婚・子育て等資金の一括贈与の非課税制度」と呼ばれます(措置第70 条の2の3)

 
結婚資金

 

1.結婚・子育て等資金の一括贈与の非課税制度って?

期間限定で、非課税の上限が定められています。概要は以下の通りです。

期間 令和5年3月31日まで
非課税枠 受贈者(子供や孫など)1人につき1,000万円まで(※1)(Q2-3)
(結婚関係は300万まで)で(※2)
また、暦年贈与(年間110万まで)との併用も可能
終了時期
  • 受贈者が満50歳に達した場合などに終了し、口座残高に対して贈与税が課税される。
対象
  • 直系尊属からの「結婚資金等の贈与」(おじやおばは×、養父母は〇)(Q2-2)
  • 受贈者は、20歳以上50歳未満(※3)
  • 受贈者の合計所得金額1,000万以下(Q2-4)
  • 受贈者の配偶者(子や孫等の配偶者)の直系尊属は×

手続
  • 銀行等で「結婚・子育て資金専用口座」を開設して入金
  • 引き出す際は、領収書を銀行等に提出して引き出し(Q3-1,3-2)

 

(※1)贈与者1人ではない(例 子供1人に祖父1,000万円+祖母1,000万円=2,000万円×
(※2)非課税限度額の総額はあくまで1,000万円であり、1,000万円の枠内に、結婚関係支出300万円が含まれる
1,300万円までが非課税ではない。
(※3)2022年4月1日以後は、18歳以上50歳未満となります。
 

2.結婚・子育て資金の範囲は?

内閣府Q&Aで、細かく規定されていますが、実務では判断に迷うものも多いです。
以下、代表的なものを記載します(詳しくは内閣府HPをご参照ください。)

(1)結婚関係

  • ①結婚式・披露宴費用
    • 挙式費用、衣装代、披露宴、2次会費用等
    • (婚姻にかかる費用は入籍前1年前の日以後支払のものが対象)(Q1-3、1-4)

    • 婚活費用、結納式費用、指輪、エステ代などは×

 

  • ②新居の引っ越し、賃料
    • 新居家賃、敷金、礼金、新居引越費用等
    • 家賃・敷金その他は、入籍前後1年内契約で、契約日から3年間に支払われたもの(Q1-3、1-5,1-6)
      (「引越費用」は転居日が入籍前後1年内のもの)
    • 光熱費、家具家電購入費、引越レンタカー代は×

(2)妊娠・出産・育児関係

  • 不妊治療費用、妊婦検診、出産費用、産後ケア費用、子の治療費、予防接種、検診費、医薬品代(処方箋)、入園料・保育料(ベビーシッター代含む)等
  • (出産にかかる分娩費用、産後ケア費用等は、出産日以後1年経過日までに支払われる分に限定。子供の医療費に関しては、小学校入学前までの費用のみ)(Q1-3、Q1-7)

  • 上記に関連する交通費、宿泊費などは×

 

3.結婚・子育て等資金以外の支払いを行った場合は?

贈与税が課せられます。
結婚・子育て等資金以外の支払を行った場合、ご自身で「贈与税申告」を行わなければいけません
(銀行が申告してくれるわけではない)

4.終了時点と課税時期

次の場合に終了します。終了時点で課税されます(Q5-1,5-2)。
①受贈者が50歳に達した場合
②結婚等口座残高が0になった場合
③受贈者が死亡した場合
 

    • 原則として、終了時点で「結婚等資金支出額」を超える分に「贈与税」が課税されます。
      「結婚等資金支出額」は、金融機関等が領収書等で教育資金の支払事実が確認された金額となります。
    • ただし、上記③の場合は、たとえ口座に資金が残っていても贈与税は課税されません。残高は、贈与者の口座に戻されます